オーディオ機器の持つポテンシャルを引き出すために様々な製品が生み出されているオーディオアクセサリーの世界。その中で音源に込められた情報を色づけなく引き出し、原音の持つ純度の高さや躍動感を蘇らせてくれる製品の数々を手掛けているのがアコースティックリバイブである。筆者もその脚色のないリアルで有機的なサウンド性に魅力を感じ、ケーブル類やルームチューニングに同社製品を愛用してきた。今回はディスク消磁器「RD-3」、接点導通クリーナー「ECI-50」、シェルリード線「absolute-LEAD WIRE」を自宅のリスニングルームにて試し、その効果について確認した。

※今回の取材に関する岩井さんのコメントはこちら ↓ ↓

画像: オーディオシステムの接点復活や再生用ディスクの消磁を行うと、音は本当によくなるのか。見逃しがちな改善ポイントを改めて整理する◆ステップアップ・無限大!(13) youtu.be

オーディオシステムの接点復活や再生用ディスクの消磁を行うと、音は本当によくなるのか。見逃しがちな改善ポイントを改めて整理する◆ステップアップ・無限大!(13)

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チェック1:CDやDVDの帯磁をなくすことで、本来の素直な映像や音が蘇る。
8cmディスク以外にも活用できる、多用途に活用する消磁器

CD & DVD消磁器 「RD-3」 ¥43,800(税別)

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 CDやDVDのディスクを消磁することで、クォリティの高い瑞々しい音質や画質を蘇えらせる事ができる。アコースティックリバイブ製品の記念すべき第一号「RD-1」の発展モデルで、多くのレコーディング会社でも使われている。●寸法/質量:W160×H56×D198mm/650g

 まずは消磁器RD-3からみていこう。アコースティックリバイブ初のアイテムである「RD-1」の後継機であり、ブランドの原点ともいえる製品だ。CDは信号のピットが形成されたポリカーボネートにレーザーを反射するアルミ蒸着、あるいは金やプラチナなどの蒸着を行い、紫外線硬化樹脂で蒸着層をコーティングした後、レーベル印刷されている。一見この工程の中に磁性素材もなく、CDが磁気を帯びるとは考えもつかない。2層式のハイブリッドSACDやDVD、BDについてもまた同様だ。

 磁気を帯びる要因、それはレーベル印刷に用いる塗料に強磁性体である鉄分が含まれているからである。赤や黄色、茶系には酸化鉄、青や緑系にはコバルト、銀系にはニッケルが含まれる。また、蒸着するアルミ素材についても純度はおよそ99%であり、残り1%は鉄やニッケル、コバルトを含んでいるのだ。そのため、CDなどのディスクを再生する際、ピックアップや駆動モーターからの磁束の影響を受け、帯磁が進んでいく。結果として帯磁したディスクが逆にピックアップなどにも悪影響を与え、音質や画質が劣化してしまうのだ。RD-3を使うことで、これら光学ディスクを消磁して、磁力による劣化を解消することで、ディスクに記録された本来の情報を引き出せるのである。

画像: RD-3はCDやDVDを本体に載せて電源を入れるだけと使い方はひじょうに簡単。これだけでディスクの帯磁をリセットしてくれる

RD-3はCDやDVDを本体に載せて電源を入れるだけと使い方はひじょうに簡単。これだけでディスクの帯磁をリセットしてくれる

 さらにアナログレコードについても素材となるペレットを鉄窯で練る際に鉄分が取り込まれる他、ニッケルメッキが施されたスタンパーでプレスを行う際にも強磁性体が混入するため、消磁の効果が期待できる。そしてディスクメディア以外にもニッケルメッキを下地に用いたり、強度を高めるために鉄芯を用いたプラグ、ケーブルなども帯磁する要素があり、消磁を行うことで歪みのない瑞々しい音質、くすみのない鮮やかな画質へと向上させることができるのだ。

 RD-3では12cm径のディスクに最適化された形状ではあるが、何回か分けることでアナログレコードも消磁可能だ。ケーブルや各種端子についてもRD-3に載せることで消磁できるため、その活用範囲は広い。ディスクの場合はRD-3にセットし、イレースボタンを押すと15秒ほどで緑LEDが消え、処理が終わる。ディスクを反転し、もう片面にも処理を行えば一連の消磁が完了。手間もかからず、ひじょうに簡単に処理が行える点もメリットといえよう。

 試聴では『StereoSound Hi-ResReference Check Disc』のCDを使用。5曲目の「アリス・イン・ワンダーランド」を聴いた。消磁前のディスクと比較するとピアノやハンドクラップのアタック感がより明確に感じ取れるが、高域の刺々しさやきつさが消え、音圧も上がり、音運びのスムーズさが際立っている。パーカッションのアタックや皮の質感もくっきりと引き立ち、個々のパート、楽器の位置も分離がいい。音場の奥行きも深く感じられ、抑揚豊かでリアルな空間が広がる。パーカッションの胴鳴り感も豊かに引き出され、躍動的なリズムが展開。ピアノの響きもクリアで、純度の高い生々しいサウンドに変化した。

チェック2:見逃しがちな接点を整える、導通向上クリーナー。ナノダイヤモンドカーボン粒子が接触面積を増大させ、導通特性を飛躍的に向上させてくれる

導通向上クリーナー 「ECI-50」 ¥9,800(税別、50ml)

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 ECI-50はオーディオ機器の接点をクリーニングすると同時に、導通特性を飛躍的に向上させる画期的なアイテム。従来の接点導通材よりも更に細分化されたナノダイヤモンドカーボン粒子を分散のいいハイテクオイルに添加しているため、従来のナノカーボン粒子を使用した接点導通材のように黒くならず無色透明を保っている。

 そのナノダイヤモンドカーボン粒子が接点表面の微細な凸凹に入り込み、時間の経過と共に接触部に集中して行くため、接触面積が増大し導通特性を飛躍的に向上させてくれる。

画像: 取材時は機器の音声出力端子やケーブルのコネクター部にECI-50を吹き付け、綿棒でクリーニングしている。軽く拭き取るだけでもこんなに汚れ(酸化した膜?)が取れて一同びっくり

取材時は機器の音声出力端子やケーブルのコネクター部にECI-50を吹き付け、綿棒でクリーニングしている。軽く拭き取るだけでもこんなに汚れ(酸化した膜?)が取れて一同びっくり

 続いて試したのは、接点導通クリーナーECI-50である。オーディオ機器の接点は手で触れたことでの汚れや、空気に接することで徐々に酸化し導通特性が落ちてしまう。この問題は接点をクリーニングすることで解決するが、クリーナーにどのような素材を用いるかによって思わぬ悪影響を及ぼすことがある。研磨剤や溶剤を用いているものは接点のメッキをはがしてしまうし、ポリマーなど表面に絶縁膜を形成し、導通性を劣化させてしまうものも存在する。さらに界面活性剤を使用したものでは端子の樹脂部分を壊してしまう恐れもある。一時的な大きな変化に惑わされず、長期間使用するオーディオ装置の重要性を見据えて、クリーナーに含まれる素材に注意しなくてはならない。

 ECI-50は接点のクリーニングを行うと同時に、導通特性を向上させるふたつの機能性を持ったクリーナーであり、研磨剤や溶剤、界面活性剤を使用しない、接点に優しい安全な素材を用いている。ECI-50には一般的な接点導通材に用いられているナノダイヤモンドカーボン粒子よりもさらに細分化されたものを分散性の高いハイテクオイルに添加しており、無色透明な液体であることが特徴だ。このハイテクオイルは一般的な接点導通材に用いられるスクワランオイルよりも長寿命・高安定であり、乾きにくいことが利点である。

 ナノダイヤモンドカーボン粒子が接点表面の微細な凹凸に入り込み、時間の経過とともに接触部に集まってくる量子効果を利用。これにより接点の接触面積が増えることで導通通特性を向上させる。素材による音質変化ではなく、純粋に導通特性のみを向上させるため、色付けのない高純度なサウンドへ改善させることができるアイテムだ。

画像: 端子部だけでなく、着脱式の電源コネクターもECI-50でクリーニングすることで接点のロスが抑えられ、音質改善も期待できるとか

端子部だけでなく、着脱式の電源コネクターもECI-50でクリーニングすることで接点のロスが抑えられ、音質改善も期待できるとか

画像: XLRケーブルは内側の接点部が酸化している場合もあるので、綿棒を使ってていねいに拭き取り作業を行った

XLRケーブルは内側の接点部が酸化している場合もあるので、綿棒を使ってていねいに拭き取り作業を行った

 試聴に当たっては同席いただいた、ACOUSTICREVIVEの石黒 謙さんにクリーニング効果のある接点へECI-50を塗布してもらうことに。今回はSACD/CDプレーヤーからプリアンプ間のXLRバランス接続の接点と、SACD/CDプレーヤーに用いている電源ケーブルのコンセント/インレット両端接点の2ヶ所に対してECI-50を用いた。

 綿棒にECI-50の液剤をしみ込ませ、接点を磨き上げてゆく。すると液剤をしみ込ませたときは色に変化のなかった綿棒が、黒く汚れている。特に手に触れる箇所ではないものの、ここまで汚れているのかと驚いた次第だ。量子効果がいきわたるまでは24時間見た方がいいそうで、抜き差しが頻繁ではなく熱を持たない箇所ならば、その効果は永続的であるとのこと。

 実際に接点を磨く前の状態と比較すると、高S/Nで分離のよい、鮮やかな音像が浮き立つ見通しの深いサウンドへ改善した。ピアノの響きは上品なタッチとなり、マイクが狙っている位置さえも見通せるほど、音場の静寂性、音が立ち上がる場所、定位の正確さが際立っている。パーカッションも胴鳴りの太さや響きの生々しさが向上し、余韻もひじょうにきめ細やかで、ひとつ一つの楽器が鮮やかかつ純度高く表現。シンバルのリリース音も響きの質が豊かに感じられ、演奏の機微、抑揚感もよりよくなっている。空間情報の多い、立体的なサウンドに改善。他の接点にもECI-50を使ってみたいと思える結果であった。

チェック3:導通率105%を実現したハイブリッド導体PC-TripleC/EXが、カートリッジの能力を最大限に引き出す。リード線の価値を再確認できる一品

PC-TripleC/EX製アナログリード線 「absolute-LEAD WIRE」 ¥98,000(税別、4本セット、取り付け費込)

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 absolute LEAD WIREは導体に導通率105%を実現したハイブリッド導体PC-TripleC/EXを、比誘電率と誘電正接に優れたテフロン絶縁の極太単線で採用することでアナログレコードの情報を損失や劣化なく伝送することが可能。

 absolute LEAD WIREはひじょうに硬いため、カートリッジとヘッドシェルへの取り付けには特別な技術を要する。そのため取り付けは、お使いのカートリッジをアコースティックリバイブに送って行うことになる。

画像: absolute LEAD WIREの交換作業はひじょうに難しいので、今回もアコースティックリバイブの石黒さんにお願いした

absolute LEAD WIREの交換作業はひじょうに難しいので、今回もアコースティックリバイブの石黒さんにお願いした

 最後はシェルリード線absolute-LEAD WIREである。リード線はカートリッジが拾い上げた微弱な信号をトーンアームへと橋渡しする重要な役割を担っているが、内部抵抗値の低い高性能なカートリッジを使っていても、このリード線の導通率が低ければ、カートリッジ本来のポテンシャルを引き出すことはできない。こうした問題を解決すべく開発されたのがabsolute-LEAD WIREであり、その導体には導通率105%(国際規格であるI.A.C.S.の基、銅を100%とした場合に対象の素材がどのくらいの導通率を持つかを測定したデータ)という、ひじょうに優れた特性を持つ、銀と銅によるハイブリッド鍛造導体PC-Triple C/EX(エクセレンス)単線を用いている。

 このPC-Triple C/EXは5N銀の肉厚パイプに6N銅を圧入後、鍛造製法にて70%近く圧縮し、結晶構造を銀と銅ともに電気の流れる横方向へ連続させた画期的な導体であり、前述の通り、銅に比べ導通率で5%のアドバンテージを持つ。優れた導通特性を持ちながらも、従来の銀線で感じられた高域のきつさなどの独得な癖を持たない、画期的な素材だ。そして導体を保護する絶縁材には比誘電率の低いテフロン絶縁を施していることも優位点である。比誘電率は電流の流れを止める力を表す指標であり、一般的なリード線に用いられるPVC(塩ビ)の比誘電率が5.6となるのに対し、テフロンの比誘電率は2.2と、およそ1/3も値が低く、電流の流れを阻害しない、圧倒的な伝送スピードを実現しているのだ。

 absolute-LEAD WIREは単線構造ということもあり、適度なカーブを持たせつつ、ストレスを最小限にした曲げ加工が必要となる。しかし、ヘッドシェルのピンとの接続では、ひじょうに狭い空間にabsolute-LEAD WIREをはめようとすると、接続が難しく、リード線を折ってしまったり、最悪大事なカートリッジを破損してしまう恐れがある。加えて優れた導通特性を持つからこそ、リード線の引き回しにも細心の注意を払わねばならない。

画像1: チェック3:導通率105%を実現したハイブリッド導体PC-TripleC/EXが、カートリッジの能力を最大限に引き出す。リード線の価値を再確認できる一品
画像: 写真上は岩井さんが愛用していたオーディオテクニカのカートリッジ「AT-OC9XSL」+シェル「AT-LH15H」。付属のリード線をabsolute LEAD WIREに交換して比較視聴を行った

写真上は岩井さんが愛用していたオーディオテクニカのカートリッジ「AT-OC9XSL」+シェル「AT-LH15H」。付属のリード線をabsolute LEAD WIREに交換して比較視聴を行った

 そこでアコースティックリバイブでは使用するカートリッジとシェルをユーザーから送ってもらい(もしくは販売店経由)、absolute-LEAD WIREを取り付けるサービスを実施しているという。税込み¥107,800というリード線としてはハイレンジな価格設定ではあるが、この取り付けサービス費用も含まれているので、安心を得られる保険料と捉えれば、そう高すぎるものではないはずだ。その際、カートリッジには針カバーを装着し、カートリッジケースなどへ収め、厳重に梱包したうえで依頼をしたい。

 試聴ではオーディオテクニカ「AT-OC9XSL」(シェルはAT-LH15H、リード線は付属OFC導体のもの)にabsolute-LEAD WIREを石黒さんに取り付けてもらい、標準状態との聴き比べを行った(LP『MIXER’S LAB SOUNDSERIES Vol.1』から「A列車で行こう」を聴く)。

 まるでカートリッジそのものを高級機にグレードアップしたかのような高解像度かつ目の覚めるような鮮やかなサウンドが目前に展開。エネルギッシュなホーンセクションの溌溂とした立ち上がりもキレ良く描き、厚みよく存在感のあるウッドベースも弦のエッジを明瞭に表現している。ピアノの響きも純度が高く、アタックのクリアーさ、しなやかな手の動きを緻密にトレースしてゆく。ドラムセットのパキっとしたアタックの際立ちとともに、空気の動きまで克明に描くキックドラムのリアルな胴鳴りに驚かされた。

 押し出しよく臨場感に溢れたサウンドであるが、勢いに任せるのではなく、各音像の重なりも自然に描き分け、誇張なく立体的な空間表現として聴かせてくれる点にとても魅力を感じる。PC-Triple C/EXならではのスピード感と色づけないリアルな音像&音場表現力によって、アナログレコードに刻まれた情報を損失なく拾い上げてくれる印象であり、改めてアナログ再生の奥深さを実感した次第だ。

画像2: チェック3:導通率105%を実現したハイブリッド導体PC-TripleC/EXが、カートリッジの能力を最大限に引き出す。リード線の価値を再確認できる一品

 今回試した3製品とも、確実に現状からの数段飛びとなる音質改善を実現してくれた。RD-3やECI-50は日々のメンテナンスにも重宝するアイテムであり、積み重ねの上に実現する良音の体験、その喜びを改めて得ることができた。absolute-LEAD WIREはレコードの世界観を一変させる、高解像度なサウンドへの向上を実現し、昨今のハイレゾ音源に負けない情報量の豊かさを実感できた。アコースティックリバイブ製品の活用によって、これまで気づけなかったより深い領域での音本来の姿を知ることができる体験は、数多あるオーディオアクセサリーの中でも別格のものである。これからもその音の感動体験を得るべく、オーディオ機器と向き合っていきたいと感じた取材であった。

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ルームチューニングや電源環境にも意を払った岩井さんのオーディオ室

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岩井さんの主な試聴システム(2ch用)
●SACDプレーヤー:ラックスマン D-06u
●レコードプレーヤー:テクニクス SL-1200GAE
●カートリッジ:オーディオテクニカ AT-OC9XSL
●フォノアンプ:アキュフェーズ C-47
●プリアンプ:アキュフェーズ C-2900
●パワーアンプ:アキュフェーズ A-75
●スピーカーシステム:TAD TAD-CE1

画像: 岩井さんは以前からアコースティックリバイブの電源タップや電源コンディショナーも愛用しており、プリ/パワーアンプもここから給電されていた

岩井さんは以前からアコースティックリバイブの電源タップや電源コンディショナーも愛用しており、プリ/パワーアンプもここから給電されていた

画像: 天井の梁で音が反射しないよう、アコースティック・コンディショナーも取り付けている。この製品はひとつ180gとひじょうに軽いのでマジックテープと画鋲で貼り付けているとか

天井の梁で音が反射しないよう、アコースティック・コンディショナーも取り付けている。この製品はひとつ180gとひじょうに軽いのでマジックテープと画鋲で貼り付けているとか

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