10月28日から発売されるヘッドホンアンプの新ブランド「GoldenWave」。同日から開催予定の「秋のヘッドフォン祭2023」でも展示される注目の存在だ。もともとは2011年に中国で創業したブランドで、中国や東南アジアで人気となっていた。そして今回、HIFIMAN(ハイファイマン)に吸収合併され、日本への導入が決まった。そんなGoldenWaveの2モデルをハイファイマンのヘッドホンと組み合わせてレビューを行った。

ヒマラヤPRO R2R DAC搭載。ストリーミングも可能な「SERENADE」

画像1: 【Sponsored】HIFIMANから、ヘッドホンアンプのサブブランド「GoldenWave」が登場! 注目機「SERENADE」「PRELUDE」の2モデルを鳥居一豊さんが最速レビュー

ヘッドホンアンプ:Goldenwave SERENADE ¥196,000(税込)
●接続端子:USB Type-B、デジタル音声入力2系統(光、同軸)、アナログ音声入力(RCA)、
4ピンXLR/4.4mmバランスヘッドホン端子、6.35mmヘッドホン出力、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)、LAN端子
●周波数特性:20Hz〜20kHz、+-0.1dB@1kHz
●S/N:-110dB、0dBFS@1kHz
●チャンネルセパレーション:-120dB、0dB FS@1kHz
●DAC出力レベル:4.5V/XLR、2.2V/RCA、0dB FS@1kHz
●出力:3000mW@32Ω、2000mW@64Ω、1600mW@150Ω、900mW@300Ω(THD+N<1%、0dBFS@1kHz、バランス出力)
●寸法/質量:W300×H50×D255mm(突起部含まず)/3.5kg

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 DAC内蔵型の「SERENADE」は、ハイファイマン自慢のR2R DAC「ヒマラヤPRO」を内蔵。ハイファイマンとGoldenWaveの技術が融合したモデルと言える。デジタル入力はUSB Type-Bや光/同軸デジタル入力とRCAアナログ入力、そしてLAN端子も備える。

 パソコンやオーディオプレーヤーとの接続だけでなく、ネット上にあるNASのハイレゾ音源再生などにも対応している。対応するデジタル信号はリニアPCM最大384kHz/32ビット(光/同軸デジタルは最大192kHz/32ビット)、DSD 256(光/同軸デジタルはDSD64/DoP)まで。

 出力端子は、XLRバランス/RCAアンバランスのライン出力と、XLR4ピンバランス、4.4mmバランス、6.3mm標準ジャック(アンバランス)のヘッドホン出力を持つ。FETオペアンプを使用したディスクリート設計のLPFアナログ回路を搭載。電源部のトランスにはトロイダルトランスを採用している。

 試聴は自宅で行った。SERENADEはボディにはアルミ押し出し材(特注の金型を使用)を使用しており、頑強で継ぎ目の見えない仕上げとなっている。作りもしっかりしているし、シンプルですっきりとした外観も好ましい。

画像: 今回の試聴では、SERENADEにオープン型ヘッドホン「Anadana NANO」(¥99,550、税込)を組み合わせた

今回の試聴では、SERENADEにオープン型ヘッドホン「Anadana NANO」(¥99,550、税込)を組み合わせた

 組み合わせたヘッドホンは、ハイファイマンの「Ananda NANO」。ナノメーター厚振動板による平面磁界型ドライバーを採用したモデルだ。振動板を薄くすることで歪みを大幅に低減し、トランジェントの高さやダイナミクス、細部再現性をさらに向上している。Ananda NANOでは、5Hz〜55kHzというワイドレンジ化を実現しており、豊かな音場の再現を可能にしたという。

 アンバランス接続でAnanda NANOを聞いてみた。再生機器はMac miniで、USBケーブルでSERENADEに接続している。久石譲/ロイヤル・フィルによる『ジブリ音楽集』から『風の谷のナウシカ』の楽曲を聴くと、豊かなホール感が印象的で録音の行われた空間が豊かに描き出された。オーケストラの個々の楽器をきめ細かく描きつつ、激しく鳴り響くシンバルの音も耳障りにならずなめらかに再現。メインテーマを奏でるピアノも厚みのある力強い鳴り方だ。

 バトルシーンで流れた曲も打楽器のリズムをしっかりと出し、空間表現に優れるだけでなく、個々の音像も芯の通った力強いものだ。映画のラストで使われる「鳥の人」もドラマチックな演奏を力感充分に再現。エネルギー感のしっかりと出る再現ながらも、各楽器の繊細な響きもていねいに再現するなど、なかなかの実力だ。

 Ananda NANOとの音の相性もぴったりで、ヘッドホンアンプとしての駆動力も優秀だ。ヒマラヤPROのR2R DACはこれまでのハイファイマンの製品でも情報量の豊かさやアナログ的とも感じる密度の高い音が好ましいと感じていたが、その持ち味もしっかりと出ている。試聴時点ではもともとは別の会社だったとは知らなかったので、ハイファイマン純正の優れたサウンドだと思い込んでしまったほど。

画像: PCで出力したハイレゾ音源をSERENADEでD/A変換し、Ananda NANOで試聴した

PCで出力したハイレゾ音源をSERENADEでD/A変換し、Ananda NANOで試聴した

 先に書いた通り、ハイファイマンとGoldenWaveの組み合わせは中国や東南アジアで人気が高く、音の相性もいいことからセットで購入する人が多いそうだ。価格的にもハイファイマンの平面磁界ドライバーのヘッドホンを存分に楽しむにはぴったりの組み合わせだ。

 ヘッドホンアンプの実力を知るため、手持ちのゼンハイザー「HD800」とDITA 「dream」でも聴いてみた(バランス接続で試聴)。SERENADEは鳴らしにくいと言われるHD800もしっかりと駆動し、低域もローエンドまでしっかり伸びる。ヴォーカル曲でも、声が一歩前に出たかのような実体感のある音像定位とコーラスとの豊かなハーモニーが美しい。

 dreamでは、精密感のある再現を存分に楽しめた。打楽器の力強さはもちろん、スピード感やキレもいい。音の傾向としては中高域がやや強めにも感じるが、歪みや雑味はない。シンバルや金管楽器の輝きのある音色が印象的だ。ハイファイマンのヘッドホンとの相性のよさだけでなく、他のヘッドホンもきちんと鳴らし切る駆動力を持ち、ヘッドホンの持ち味を引き出してくれる。ヘッドホンアンプとしての実力の高さも充分だ。

アナログ入力専用、フルバランス設計。こだわりたっぷりの「PRELUDE」

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ヘッドホンアンプ:Goldenwave PRELUDE ¥399,300(税込)
●接続端子:アナログ入力2系統(XLR、RCA)、4ピンXLR/4.4mmバランス出力、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)
●周波数特性:20Hz〜50kHz、+-0.1dB@1kHz
●S/N:-113dB、0dBFS@1kHz
●出力(0.1%@1KHz,バランス):10W@32Ω、6W@64Ω、2.5W@150Ω、1W@300Ω、560mW@600Ω
●寸法/質量:W330×H56×D260mm(突起部含まず)/6.5kg

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 続いて上位モデルとなる「PRELUDE」は、フルバランス構成のA級アンプを採用したアナログヘッドホンアンプ。入出力はXLRバランスとRCAアンバランスが各1系統で、ヘッドホン出力もXLR3ピン×2、XLR4ピン、4.4mmのバランスのみとなっている。前面にはヘッドホン出力のほか、ALPS社製の4連バランス型ボリュウムがあり、入力/出力切り替えのほか、ゲイン切り替え(HIGH/LOW)を備えている。

 驚いたのが、重量が重いこと。6.5kgというとそれほどの重量とは感じないかもしれないが、横幅330mmほどのコンパクトサイズだとずっしりと重く感じる。継ぎ目のないボディはアルミ一枚板からの切削加工で作られているそうで、重量感だけでなく剛性の高さも一般的なオーディオコンポとはまるで感触が違う。音質に影響を与える共振を徹底して排除しようとするこだわりだ。

 バランス構成のアンプ回路は上記の通りA級増幅で、電源部はカスタム仕様のトロイダルトランスと高速ローノイズレギュレーターを採用。オーソドックスともいえるアナログアンプだが、そのぶん、ALPS社製ボリュウムやバーブラウンの超低雑音高速オペアンプ、特別設計されたクラスAのMOS FETなどの高品質パーツを厳選搭載している。

 試聴では、Mac miniに手持ちのD/AコンバーターからCHORD「Hugo2」を組み合わせ、RCAアンバランス出力をPRELUDEに接続した。組み合わせたヘッドホンはハイファイマン「Arya Organic」。ナノメーター厚振動板を初めて採用したモデルで、特殊形状のステルスマグネットで、音響的な乱れを抑えている。独自のウィンドーシェードシステムを採用したハウジングは形状こそハイファイマンのヘッドホンと共通するが、CNC加工で精密に切削された金属パーツとウッド素材を組み合わせ、より品位の高い仕上がりになっている。

画像: PRELUDEはオープン型ヘッドホン「 Arya Organic」(¥198,880、税込)で試聴していただいた

PRELUDEはオープン型ヘッドホン「 Arya Organic」(¥198,880、税込)で試聴していただいた

 なお、Arya Organicには6.3mm標準ジャックのケーブルが付属しているが、そのままでは完全バランス構成のPRELUDEとは接続できない。そこで今回はバランス/アンバランス変換アダプターを使用して聴いている。接続ケーブルは交換式なので、バランスケーブルに交換も可能。ハイファイマンからもヘッドホン「Arya」用の交換用バランスケーブルが発売されているので、これが純正のリケーブルとなるだろう。

 『ジブリ音楽集』を聴くと、空間再現のリアリティがさらに高まった。演奏しているホールの空間の奥行が増したような感じで、ホールの中で聴いている印象が強くなる。各楽器の音像は厚みのあるハイファイマンらしいものだが、さらにピントを絞ったような精密感が増している。シャープな音像と深みを増した音場で、空間のリアリティが一段と高まったのだろう。

 バトルシーンの楽曲での打楽器の激しい連打も力強く、アタックも鋭い。その一方で混声合唱によるコーラスが男性と女性、少年・少女のそれぞれの声の分離がていねいで、ハーモニーが美しく響く。楽器にしても人の声にしても、忠実感のある音色と実体感溢れる音の厚みがリアルだ。これはなかなか聴き応えがある。

 バランス接続で、ゼンハイザーHD800とDITA dreamでも聴いてみた。HD800では滑らかな音の持ち味はそのままに、フォルティッシモの雄大なエネルギーもしっかりと鳴らす。低音域の力感も見事だ。ゲイン切り替えは「LOW」で、ボリュウムは正午(12時の位置)だったので、それ以上の大音量もいけるはずだ。

画像: 両モデルともアルミを使った堅牢なシャーシを備えている。特にPRELUDEの剛性感には鳥居さんも驚いた様子

両モデルともアルミを使った堅牢なシャーシを備えている。特にPRELUDEの剛性感には鳥居さんも驚いた様子

 エネルギーや力強さもたいしたものだが、加えて繊細さやていねいな音といった面でも質が高いことも好ましい。こちらもヘッドホンの持ち味を引き出して鳴らすタイプだが、アタックの鋭さやリズムのキレ味をしっかりと描き出すなど、音楽を溌剌と鳴らすところがヘッドホンアンプとしての個性といえそうだ。

 dreamでは、より精密できめ細やかな鳴り方になる。こちらもゲイン「LOW」のままでも充分に鳴っている。ホールの広さや天井の高さなど、空間がより精密に再現される印象だ。そして音圧的にダイナミックレンジが広く、音楽が力強い。バトルシーンの曲では、精密さだけでなく暴力的と言えるほどの打楽器の連打が鋭く響くし、「鳥の人」の壮大な鳴り方はまさに映画のワンシーンを思い出させる。

 Arya Organicとの相性のよさはアンバランス変換で聴いても充分に感じ取れるし、バランス接続になればさらに優れた音が楽しめるだろう。そして、他のヘッドホンとのバランス接続も、それぞれの持ち味を十全に引き出し、生き生きとした音を楽しめることが気に入った。

 ハイファイマンのサブブランドとしてGoldenWaveのヘッドホンアンプが日本に導入されたことは大きなニュースで、高級ヘッドホンをお使いのユーザーにとっては新たな、そして強力な選択肢が増えることになるだろう。

 手強いヘッドホンをお持ちで、それを鳴らしきれるヘッドホンアンプをお探しの人は、ぜひGoldenWaveに注目して欲しい。ヘッドフォン祭のハイファイマンブースでは両機の試聴もできるそうなので、興味のある方はぜひ!

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