映画『向田理髪店』完成披露上映会が9月15日、東京・ユナイテッド・シネマ豊洲で行なわれ、主演の高橋克実、共演の富田靖子、白洲迅、筧美和子、矢吹奈子（HKT48）、運上弘菜（HKT48）、そして森岡利行監督らが登壇した。
本作は、寂れた元炭鉱町「筑沢町」にある理髪店の親子の葛藤を軸に、過疎化、少子高齢化、介護、結婚難など、どこの地方も抱える深刻な問題に直面しながらも懸命に生きる人々の姿を通して、現在の日本で忘れられてしまった家族の絆、人とのつながりの大切さを観る人に思い出させてくれる心温まる物語となっている。原作は、奥田英朗の同名小説。
本作で映画初主演を飾った高橋は、ステージに登壇すると「主演の…主演の！（笑）向田理髪店の店主・向田康彦を演じさせていただきました」と“主演”を強調し、「主演とかやったことがないので、真ん中にいることがドキドキです。いつも両サイドにいて『やーや！やーや！』と言っているので、こんなドキドキは久しぶりです」と吐露。改めて初主演を果たした感想を求められると「フワフワしています」といい、振り返って大きなスクリーンを見上げると「でかいんだなあ。こんなでかいので観る映画なのかってくらいの感じですけど、今日ここまでたどり着けて“嬉しい”の一言です」としみじみ。「キャストやスタッフのみなさんもそうですけど、（撮影の舞台となった）大牟田のみなさんの協力によって完成したと言っても過言ではない映画なので、大牟田のみなさん本当にありがとうございました」と感謝の気持ちを口にしていた。
その康彦の息子・向田和昌を演じた白洲は「向田家がきっかけに始まる物語なので、まずはちゃんと家族にならないといけないなと思っていたこともあり、お二人（高橋と富田）とはじめましてだったので緊張していたんです。けど、撮影に入ってすぐに“これは大丈夫だ！”と思わせてくれるくらい、お二人が親父でいてくれたし、お母ちゃんでいてくれたので、本当にお二人には心の底から感謝しています」と、二人の気遣いへの感謝をコメント。
それを受けて高橋は「こちらこそです。3人でパッと集まったときに息がぴったりな感じがしました」と笑顔で返し、康彦の妻・向田恭子を演じた富田も「（この日）久しぶりに会っても家族のような気がしていて、クランクアップしてこれだけ時間が経っているのにまだ映画が続いている感じがして不思議ですね」と笑顔を見せていた。
一方、スナックのママを演じた筧は、自身の役を演じての感想を聞かれて「みなさんがたくさん遊びに来てくれるお店でして、私はほとんどお店での撮影が多かったので、高橋さんや板尾（創路）さんと長く、実際にカウンター越しで接客している感じで撮影していました」と回顧。
また、国民的アイドル・大原零を演じた矢吹は「零は裏表があったりもするので、そういう部分は（自分とは）まったく違います（笑）！ 言い慣れない言葉もたくさんあったので、たくさん練習しました」とにっこり。
同じくHKT48メンバーで今回、中国から嫁いできた香蘭を演じた運上は「一言セリフをいただいたんですけど、私は中国語で挨拶すると思っていたので『ニーハオ』の発音を練習していたんです。でも、結局は片言の日本語に変更になって（笑）。大丈夫かなと思いながら演じさせていただきました」と裏話を披露していた。
続いて、司会より本作の見どころを聞かれた高橋が「劇中映画があるんですけど、ここの富田靖子さんは必見ですよ」とオススメすると、富田は「やりすぎました…。真剣に取り組みました」と苦笑。すると監督から「●●●●●なんですよ」と、思いっきりネタバレ発言が！ すかさず高橋は「それ、ネタバレだから。飲み屋の会話じゃないんだから」と、突っ込んでいた。
同じ質問に、富田は「矢吹さんが女優としてプロデューサーと言葉を交わすシーンがあって、機関銃のようにとんでもないセリフを言うところが必見です」とコメント。白洲は「まずは息子を演じさせてもらった僕からは、家族愛というものをこの映画から受け取ってもらえたら嬉しいなと思うのと、この映画ってほっこりもするし、ヒューマンストーリーではあるんですけど、けっこういろんな事件が起こるので、眠くならずに見られると思います」とアピールした。
なお、主題歌にはHKT48の『全然 変わらない』が採用されているが、同曲が主題歌に採用されていることを知らなかったという矢吹は「完成した映像を見たときに、最後に“あれ？なんか知ってる曲が流れてるな”って思って、そこで初めて知ったので、驚きと嬉しさでいっぱいでした」と声を弾ませ、運上は「自分たちのグループの曲が映画の主題歌にはなると思っていなくてびっくりしましたし、とても嬉しいです。曲名も歌詞もとってもこの映画にぴったりだと思うので、曲もみなさんに楽しんでいただけたらと思います」とアピールした。
次に、撮影の思い出を聞かれた高橋は「2週間ずっと大牟田にいて、終わった後も街に留まって撮影したのは初めてで、終わった後に街を歩いていても空気感とか、そういうのを体感しながら次の日に撮影現場に行くというのは、とっても贅沢ないい環境でさせていただきました」と目を輝かせて語り、「原作が短編なんですけど、監督がいろんなものをくっつけてくれて、それがとってもいい感じで、本当はあまり褒めたくないんですけど、あれがなかなか功を奏しているというか、いい展開になっていくんですよね。ところどころいらないギャグも入っているんですけど、それがいい具合に転んでいる感じがあります」と旧友である森岡監督を絶賛していた。
最後は高橋より、会場に集まった多くの観客へ向けたメッセージが発せられて終了となった。「共演者ともこうして久しぶりに会って、いいチームワークだったなと、改めて思いましたね。また、撮影で訪れた大牟田での2週間は、忘れられないものになりました。本当に大牟田の皆さんのおかげで、成立している映画だと思います。作品としても、家族、夫婦、親子、友達というそういう関係を、そのありようを、再認識できるような、とってもいい映画に出来上がっていて、ほっこりできると思います。ぜひ、最後まで楽しんで観ていただきたいです」。
映画『向田理髪店』
10月7日（金）より福岡＋熊本先行公開
10月14日（金）より新宿ピカデリーほか全国公開
宣伝・配給：キャンター
（c）2022映画「向田理髪店」製作委員会
