4Kレコーダー兼UHDブルーレイプレーヤーのDMR-ZR1の刮目の画質、音質については、私が委員長を拝命しているHiViグランプリで、最高位の金賞を獲得したことからも、十分以上に知悉している。でも実際に自宅で再生してみると、改めてその凄さに感嘆するのである。私のフェイバリットのエアチェックBD-R「松田聖子・赤いスイートピー」(NHK総合『音楽夢倶楽部』で2005年に放映)を、パナソニックが誇る単体UHDブルーレイプレーヤーDP-UB9000(Japan Limited)とZR1で比較再生したが、あまりの違いに唖然とした。

 そもそもUB9000はきわめて水準の高い再生を見せ、聴かせるプレーヤーだが、それに比して、ZR1はきわめてクリアーで、ベールが1枚剥がされたような印象。絵の質感が格段に高く、光と影の抑揚、対比感が実にダイナミックだ。頬の肌色や口紅のグロスの質感もリアル。音にはさらに感心した。HDMIで聴く音はひじょうに品位が高く、濃密。音が核を持ちながらもしなやかだ。ヴォーカルの細かなニュアンスの感情感、豊潤な歌声は私を感動させるに充分であった。改めて、エアチェックディスクにはここまでのリソースが収録されていたのかと驚き、同時にそれを引き出したZR1の再生能力にも驚いた。

 

画像: オーディオビジュアルの最高峰!パナソニック 4K DIGA「DMR-ZR1」

4K RECORDER
PANASONIC DMR-ZR1
オープン価格

● 再生対応ディスク:UHDブルーレイ、BD、DVD、CD
● 内蔵HDD容量:6Tバイト
● 内蔵チューナー:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×3
● 接続端子:HDMI出力2系統、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、他
● 寸法/質量:W430×H87×D300mm(突起部含まず)/約13.6kg
https://panasonic.jp/diga

 

 

 俄然、興味が湧いてきた。このスーパークォリティは、いったいどのようにして獲得されたのであろうか。よく「こだわり」と言うが、只者じゃないこのクォリティは、もの凄いこだわりの成果ではなかろうか。そこで開発を統括した甲野和彦氏に、もっともこだわった部分を訊いてみた。「“前人未踏の最高の4Kレコーダー”をつくるという目標なのですから、こだわりは山ほどあります。その中からふたつ挙げるなら、まずひじょうに重かったのが“アナログ出力を削ったこと”です」

 確かにこれは重い決断だ。ハイエンドモデルなのに、アナログ端子がないということ自体は、少し前なら考えにくい。その決断の背景を甲野氏は、明瞭に語る。

 「UB9000を圧倒的に凌駕する、“オーディオビジュアルの最高峰”をつくりたかったのです。ディスクパッケージ再生、放送のエアチェック録再、そしてネット配信とすべてのAVソースに対応するのが、HDMIです。それを最高度のクォリティで再生するためには、工業製品なので物理的に限られたスペースの中にあっては、アナログ回路を外すという決断がどうしても必要だったのです」(甲野氏)

 アナログ回路の跡地をどうするか。ここできわめて幸運な選択をした。電源強化を行なったのだ。これまで同一電源から取っていたのをデジタル系とドライブ系電源に分離し、それぞれで独立して取った。「UB9000で試したところ、たいへんな効果がありました。この効用ならと即、採用を決めました。デジタル電源に余裕度を与え、モーターの回転から生じるノイズの回路への混ざり込みを排除したのが、音質と画質に効いたのです」(甲野氏)

画像: デジタル専用電源とドライブ専用電源を独立させることによりノイズ混入を大幅に低減。理想的な電源回路を搭載

デジタル専用電源とドライブ専用電源を独立させることによりノイズ混入を大幅に低減。理想的な電源回路を搭載

 

 この試みは、実に適切なタイミングだった。甲野氏は「デジタル信号処理の基本性能については、UB9000でもうやり切ったというレベルまで来ていました」と言った。つまりクォリティ環境がきわめて高い状態にあったところに、良質の電源を与えたから、驚く程の画質、音質向上が確認されたのだ。そこまでのデジタルクォリティでなければ、メリットは顕著ではなかっただろう。技術者たちの驚きは、冒頭の松田聖子のエアチェックBD‐Rで私が驚いたことに直結した。確かにUB9000を圧倒的に越えていた。レトリックをつかうと、アナログを外して、デジタル映像、音声をアナログ的に強化したのである。

 もうひとつのこだわりが、業界初の「22.2ch/ドルビーアトモス変換」だ。まさにこれこそ、HiViグランプリ獲得の決め手だった。「私は22.2chをパブリック・ビューイング以外では体験したことがなかったので、余計に聴きたかった。でもその内容には体験がないので不安がありました。その時、唯一の拠り所が、麻倉先生の記事でした」(甲野氏)

画像: 22.2ch音声をドルビーアトモス信号に変換して出力する機能を搭載。ドルビーアトモス対応のシステムで立体音響が楽しめる

22.2ch音声をドルビーアトモス信号に変換して出力する機能を搭載。ドルビーアトモス対応のシステムで立体音響が楽しめる

 

 確かに2020年の春、東映とポニーキャニオンのスタジオで体験した、22.2ch/アトモス変換の記事をステレオサウンドオンラインに上げた。私も実は詳しく22.2chを聴くのは初めてだったので、その抜群の臨場感と、半球音場を飛び回る音像の華麗さに素直に興奮して、記事を書いた。「先生の記事で、やることに自信が付き、開発を貫徹することができました。ありがとうございました」(甲野氏)

 それはともかく、NHKとAVセンターのメーカーが推進しているはずのアンプ内アトモス変換より、プレーヤーのZR1での変換の方が遙かに合理的だ。AVセンターにてAAC22.2chを全部デコードする必要がなく、デフォルトのアトモスデコード機能だけで済むからだ。ZR1はこれまで誰も体験できなかった22.2chの凄さを万人に解放したのである。その開発の前進に私の記事が役立って、嬉しい。ZR1はまさにこだわりの極の新時代のリファレンス・レコーダー/プレーヤーだ。

提供:パナソニック

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