世界第二位の液晶テレビ出荷台数を誇る、世界的テレビメーカーTCL。QLED液晶+Mini-LEDバックライトを搭載したC825シリーズを始めとする4Kテレビの新製品シリーズを発表し、注目を集めています。ここではTCLの最新テクノロジーに注目、同社の高画質戦略に迫る連続企画をお届けします。(編集部)
液晶テレビの2方式
数多くの新製品が出揃った2021年の4Kテレビ。現在の家庭用テレビは、大きく「液晶テレビ」と「有機ELテレビ」の2方式に分けられますが、実は液晶テレビの中にも、「VA液晶」と「IPS液晶」という、それぞれ持ち味の異なる方式が存在しています。
そもそも液晶テレビは、シャッターの役割を果たす「液晶層」の裏や画面の端に取り付けた「バックライト」が光り、そこを通過した光で映像を表示する仕組み。「液晶層」の特性の違いでいくつかの方式が開発されてきましたが、現在の家庭用液晶テレビでは、「VA(バーチカル・アライメント)」と「IPS(イン・プレーン・スイッチング)」の2方式が主流です。詳細は割愛しますが、大きく分けて以下の特徴が挙げられます。
色純度に優れるQLED液晶
TCLでは、基本的にVA方式液晶パネルを家庭用テレビを採用していますが、そのVA方式の液晶パネルに、近年QLED(キューレッド)という新しい方式の液晶パネルを開発。上級モデルに搭載しています。ここで紹介する65C825が、まさにそのQLED液晶を採用したテレビです。
では、QLEDとはどんな特徴を持った液晶技術なのでしょうか。細かくなりますが少しお付き合いください。
もともと液晶テレビでは、光源(バックライト)の白色光(いまはLEDが主流ですが)を、液晶シャッターで制御し、その前面に配置されたRGB(赤/緑/青)のカラーフィルターを経由させることで、フルカラー映像を取り出す仕組みです。
QLEDとは、量子化ドット(Quantum Dots)という、ナノメートル単位で細かい半導体微粒子が敷き詰められたシートで光源である青色LEDからの青色光を通過させて、粒子の細かさごとに光の波長を変化させることで青色からRGBに色を変換、フルカラーを得ています。QLEDでは、青色光を粒子に当てて色の波長を変換する仕組みのため、高純度の色(R・G・B成分)を再現することができます。
従来の液晶では、フィルターを光が通過する際に、どうしても無駄になる光の割合が多くなりますが、対するQLEDは、光のロスが少ないため、明るくて色の再現性にも優れているとされています。
TCLの2021年4Kテレビの最上級シリーズC825では、グループ会社のTCL-CSOT(Shenzhen China Star Optoelectronics Technology=TCL華星光電)が開発/製造を手掛けている最新のQLEDパネルを搭載しています。前述の通り、QLEDパネルでは、色変換のロスが少ないため、とても明るくしかも純度の高い色が表現できるという優位性があります。
いま4K放送やUHDブルーレイ、あるいはネット動画サービスなどで採用が進んでいる色域規格「BT.2020」では、自然界に存在する色のほとんど(99.9%)を表示できますが、このQLEDパネルではそれが約80%もカバーしています。一般的な液晶パネルでは70%前後にどどまると言われていますので、色再現性の良さは明らかです。
「Mini-LEDバックライト」は明るく高寿命
そのQLED液晶を照らす光源には、注目の「Mini-LED」バックライト技術が使われています。こちらはミクロンサイズの小型LEDを透明度の高いガラス基板に数千個を並べて、液晶テレビのバックライトに使用するもの。プリント回路基板に配置した通常のLEDバックライトに比べると効率に優れて、明るくしかも高寿命です。
またMini-LEDバックライトは、絵柄によってLEDの光量をエリア別に点滅させる「ローカルディミング」技術と相性がよく、C825ではきめ細かな制御を行ない、画面のメリハリ(コントラスト)を高めています。そのエリア制御数は、55インチ機では128、65インチ機では160にも達しています。
つまりC825シリーズでは、「QLED液晶」技術で色純度の高い鮮やかさを、「Mini-LEDバックライト」技術で明るく、メリハリに優れた表示を追求しているというわけです。
高い実力を備えた最新QLED液晶テレビ
色再現に優れたQLED液晶とダイナミックレンジの広さが特徴のMini-LEDの組み合わせたTCLの2021年のフラッグシップ4Kテレビ。単に色の鮮度が高いだけでなく、明るいシーン、暗いシーンを問わずに、安定した色再現が特徴。世界の巨人、TCLが本気になったことを実感する高い実力を備えた注目の存在だ。(藤原)
提供:TCLジャパンエレクトロニクス