スリルいっぱい、爆笑必至のロンドンコメディ『Run For Your Wife』(作:レイ・クーニー、訳:小田島雄志・小田島恒志、演出:菅原道則)が2020年12月16日(水)~20日(日)、2021年1月13日(水)~17日(日)にかけて東京・六行会ホールにて上演される。

 タイトルは“命がけで走れ”という意味の「Run For Your Life」(ビートルズの曲名として覚えている方もいらっしゃるだろう)のパロディ。昨年、山本一慶が主演/ジョン役(“二重結婚”のタクシードライバー)を好演し、大きな評判を呼んだ。新型コロナウイルス拡散防止を考慮した二度の延期を経て、この度、感染拡大予防ガイドラインに沿って2カ月連続上演を実施することが決定、さらなる話題を集めている。12月公演のキャストに迎えられた大湖せしる(ジョンの妻のひとり=バーバラ・スミス役)、加藤将(トラウトン警部役)の両名にお話をうかがった。

――12月の『Run For Your Wife』公演で、大湖さんはバーバラ・スミス、加藤さんはトラウトン警部を演じられます。役作りへの意気込みを聞かせていただけますか。

大湖せしる コメディって一番難しい分野だと思うんです。ひとつひとつの動きや、間合いが重要になるので、本当にお稽古あるのみですね。お話をいただいたときの第一印象は……「私で大丈夫かな?」でした。コメディ作品には本格的に取り組んだことがなかったので。でも、以前の公演のDVDを拝見した時に、「出たい」という気持ちが高まってきて(笑)。バーバラは芯の強い女性というイメージ。そこは私とかけ離れていないと思いますね。

画像1: 舞台『Run For Your Wife』、2度の延期を経ていよいよ12月16日より上演へ。バーバラ・スミスを演じる大湖せしるは、「芯が強く、まっすぐな気持ちをしっかり出したい」と意気込む

加藤将 僕は普段からコメディのようなキャラクターだと思われているかもしれないですけど(一同爆笑)、そんなことなくて、ボケとかツッコミは加藤将の中には存在しないんです。だからコメディに出るのはすごく不安がありましたが、トラウトン警部のポジションは劇中でボケ役でもツッコミ役でもなくて、真剣に考えながら話す真面目な役。彼のイメージを自分なりにふくらませて演技したいと思っています。

画像2: 舞台『Run For Your Wife』、2度の延期を経ていよいよ12月16日より上演へ。バーバラ・スミスを演じる大湖せしるは、「芯が強く、まっすぐな気持ちをしっかり出したい」と意気込む

大湖 まずは自分のバーバラを固めつつ、彼女のまっすぐな気持ちをしっかり出せたらいいな、と思います。魅力的な女性になったら。

加藤 僕が映像(以前の公演のDVD)を見て、最初に思ったのは「俺は俺のトラウトンを作ろう」ということ。でも台本を見た瞬間に「なるほどね」と感じた。いろんな解釈のできる台本だし、誰が演じても絶対同じにはならないと思いますね。行動や発言から考えて、「絶対、渋い男じゃん」って感じていたんですけど、意外と彼(トラウトン)は年齢が若いんです。「意外と若いのに、なぜこの渋さがあるんだろう。これは、何か自分の中の哲学というか、譲れないもの、決まっているものがあるのかな」って想像しています。それをずっと考えていったら、トラウトンのアタマの中まで見えてくるんじゃないか。そこを自分の中で見つけて、明確に出していけば、自分のトラウトンがしっかり表現できるんじゃないかなって思います。

――バーバラのキャラクターは、先にジョンと結婚した良妻賢母型のメアリーとは対照的です。

大湖 宝塚雪組時代に男役から女役に替わってから大人のセクシー系の役がすごく多くなったので、その引き出しからも(キャラクターを)出していくでしょうね。かといって色っぽすぎることなく、妻として美しくセクシーでありたいです。大人な中から醸し出される色気が表現できたら。私は男役を経ているので前回とはまた違う色になるでしょうね。

――劇中ではジョンが、メアリーの前で「バーバラは実は男なんだ」と苦し紛れに説明するシーンもありますね。

大湖 黙っていてもきっと男要素が出てしまうかも。皆さんそうだと思いますけど、同じセリフを言っても同じ色にはならない。いつも私は「作品の中で自分の持っている引き出しをどれくらい出せるか」を考えて役作りしていくんですが、『Run For Your Wife』は特にいろんな部分が出せるんじゃないかと思っています。

――加藤さんは、ジョンを演じる山本一慶さんと今回が初共演になるのでしょうか?

加藤 映像作品(ドラマ『ギリシャ神話劇場 神々と人々の日々』)でご一緒したことはありますが、舞台では初共演です。控室でお話ししたことはありますが、板の上で演技するのは初めてなので、すごく楽しみですね。

画像3: 舞台『Run For Your Wife』、2度の延期を経ていよいよ12月16日より上演へ。バーバラ・スミスを演じる大湖せしるは、「芯が強く、まっすぐな気持ちをしっかり出したい」と意気込む

大湖 私はミュージカル『憂国のモリアーティ』、舞台『ジョーカー・ゲームⅡ』で共演しているので今回は3回目ですけど、いままで、直接対峙した芝居をしていないんです。『モリアーティ』の時にコートを肩にかけてくれて、そこで「やっと絡めたね」という感じ。あの時はみんな仲良しで色々おしゃべりしましたし、今回ガッツリお芝居することにまったく抵抗はないですね。たとえ私が失敗したとしても、山本くんは何でも受け止めてくれそうなので。稽古場も本番も楽しみです。

画像4: 舞台『Run For Your Wife』、2度の延期を経ていよいよ12月16日より上演へ。バーバラ・スミスを演じる大湖せしるは、「芯が強く、まっすぐな気持ちをしっかり出したい」と意気込む

――劇中でジョンは“二重結婚”がバレないように悪戦苦闘します。

大湖 バレずに二重結婚を続けてこれたことに驚きますよね。劇中でもバレそうになると次から次へといろんなことを思いついて、ウソにウソを重ねて……。でも魅力的な人だからこそ二人の女性に愛されるんだろうし。(加藤さんの方を見て)男性として、ジョンのようなキャラクターはどうですか?

加藤 (笑)人間力がすごいんだろうな。だけど僕とは別の生き物という感じがする……。人に好かれる強い何かがあって、ジョンも相手のひとを真剣に愛している。ストーリーを知っているとわかるんですけど、決してチャラいキャラクターではないんです。「俺は二人とも好きなんだよ」という、真剣な、ウソのない気持ちがある。ジョンだから許せちゃうのかな……(笑)。実際のところ、男性として僕たちには理性があるわけだけど。

――大湖さんと、メアリー役の宇月颯さんとの“元宝塚”どうしの共演も話題ですね。

大湖 彼女のことを私は“としくん”って呼んでいます。学年は近くても組が違うので(宇月さんは月組)、合同公演のとき以外は同じ舞台に立つことが少なかったんですが、楽屋ではいろいろお話をしました。彼女はすごいダンサーで、私は尊敬していますし、バーバラとメアリーとして同じ舞台に立てるのが嬉しいですね。この作品のキャストが発表になった時にも「ご一緒します、お願いします」って。宝塚を退団してからさらに会わなくなったのに、わざわざ連絡をくれて、気に留めていてくれたんだろうな、いい人だなって改めて思いました。息を合わせて、素敵な舞台を作れたらいいなと思います。

――『Run For Your Wife』初日まで、もう1カ月です。公演を楽しみにしているお客様に向けて、メッセージをお願いいたします。

加藤 舞台ができること、舞台をご覧いただけることが本当に幸せです。僕たちが取り組むことは感染対策をしっかりして、稽古をしっかりして、しっかり食べて、しっかり寝て、千秋楽まで気を抜かずに集中すること。大好きな舞台を皆さんの前でできることに感謝します。ぜひ楽しみにお越しください。

大湖 早く皆さんにお会いしたいです。初日をあけて千秋楽を迎えられていたこと、それは決して当たり前ではなくて本当に奇跡に近いことだったんだと痛感しています。しっかり感染対策をして、気を強く持って、素晴らしい舞台に立ち無事に千秋楽を迎えたいと思っています。素敵な台本で、出演者も個性的な方ばかりなので、すごく面白いものになると思います。この作品でお客様に元気を届けられることを心から願っています。

画像5: 舞台『Run For Your Wife』、2度の延期を経ていよいよ12月16日より上演へ。バーバラ・スミスを演じる大湖せしるは、「芯が強く、まっすぐな気持ちをしっかり出したい」と意気込む

ロンドンコメディ『Run For Your Wife』

2020年12月16日(水)~20日(日)、
2021年1月13日(水)~17日(日)、
それぞれ東京・六行会ホールにて上演

公式サイト
https://artistjapan.co.jp/performance/runfor202012/
https://artistjapan.co.jp/performance/runfor202101/

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テキスト:原田和典
写真:山副圭吾

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