“神様”に一番近い港町・島根県松江市美保関町を舞台に、ブラックユーモアを散りばめた弾丸ロードムービー『いざなぎ暮れた。』が、撮影地・島根県での先行上映を経て、いよいよ東京(テアトル新宿 3/20~)で公開される。
金策に困った男(ノボル)が、実の親族に詐欺を働くために帰郷。地元を代表する祭りが開催されている裏で、果たしてそれは実現するのか? ニヤリとする笑いが満載で、日本での上映に先駆けて、海外の映画祭では大好評。入選・受賞が相次ぎ、2月のモナコ国際映画祭では、ベストアクター賞(最優秀主演賞)、シネマトグラファー賞(最優秀撮影賞)を獲得している。
ここでは、主役ノボルを演じた毎熊克哉と、その恋人ノリコ役の武田梨奈の二人にインタビューした。
――出演おめでとうございます。まずは、出演が決まった時の感想を教えてください。
毎熊克哉 武田さんとは前にご一緒したことがあったので、再び共演できること、そして今度は、エッジの効いたカップル役を演じられると聞いて、うれしかったですね。
武田梨奈 結構、共通の知り合いがたくさんいて、実は弟も一度毎熊さんとお会いしているんです。
毎熊 そうそう、飲み屋でね(笑)。
武田 皆さん、本当に毎熊さんのことが大好きで、いろんな方から毎熊さんのお話を伺っていたので、こうしてまた共演させていただくことが楽しみでした。
――台本を読んでの感想は?
毎熊 節々で笑えたので、まあ二人のビジュアルは置いておいて(笑)、コメディだなって感じました。前々からコメディ要素のある作品に出たいと思っていたので、うれしかったですよ。描かれているのが、笠木監督流のジョークって言うんですかね、シュールな笑いが散りばめられていていたので、撮影が楽しみでした。笑っちゃいけないけど、思わず笑ってしまうようなものが好きなんですよ。
武田 私もシュールな笑いが好きなので、楽しそうって思いましたね。特にノボル君の、言葉にする必要がないのに、わざわざ口に出すっていうのが、面白かったし、愛おしくなりました。それが、この映画の魅力かなって思います。
――車のスペックをツラツラと話すシーンは素敵でした。
毎熊 台本を読んで、まあ、おもろいんだろうなとは感じていましたけど、言っている本人は真剣なので、雑念なくやろうと思って演じました。けど、実はそんなに車には詳しくないので、(セリフを)覚えるのはたいへんでした(笑)。
――女性から見て、そういう男性は?
武田 好きなことがあるのは素敵だと思いますね(笑)。ノリコは、そういうノボル君が好きなんだなって感じました。私も、アレもコレもじゃなくて、俺はコレが好きなんだっていう人が好きです。
――ノボルは、カッコはさておき、憎めないタイプの人間ですね。
毎熊 この役に限りませんけど、悪いことをしている人間の裏側とか、逆に、イイ行ないをしている人の裏側については、どの役でも考えるようにしているんです。今回のノボルについては、悪いヤツというよりも、ダメなヤツという雰囲気のほうが強いですね(笑)。
しかも、ホストとして新宿でナンバーワンになったとか言ってますけど、それも怪しいし(笑)。でも、そういう過去の栄光にしがみついている理由を考えていくと、憎めない部分も浮かび上がってくるし、金をだまし取るために田舎に行きますが、そこに彼女を連れて行く時点で、なんかダメなんじゃないかって。そういう面を見ていくと、最初からかわいいなって思いましたね。
――武田さん演じるノリコは、ノボルの親戚に逢うと、急に甲斐甲斐しくなりました。
武田 あははは、本当にノボル君のことが大好きだからでしょうね。必死に好き好きアピールをしているのに、ノボル君から返ってくる言葉とか態度はいつもそっけなくて……一方通行さも感じているんです。それでも、いつか褒められたいと思って頑張っているんです。こんなに尽くせるなんて、本当にピュアな子なんだなって思いました。
――冒頭から喧嘩していました。
武田 ねっ! 私だったら別行動すると思いますけど、それでもずっとノボル君について行くし、それも一歩下がって! 見た目と違って繊細な女の子ですよね。
――中盤、義理の弟に怒るシーンは、そんなノリコとは一線を画すキレ方でした。
武田 そこは、もともとアクションがたっぷり予定されていたんですよ(笑)。でも、キャバ嬢がいきなり格闘家みたいな技を繰り出したらおかしいし、現実味がなくなると感じたので、監督と相談して、見せ方を変えました。
――急にキレた感じがよく出ていました。何か参考にしたものはありますか?
武田 特にコレというものはありませんが、女性同士の激しい喧嘩は、髪を引っ張ったり、ビンタ等が想定できるんですけど、相手が男性だったらやはり急所かなと思って、派手に決めました(笑)。
――毎熊さん演じるノボルは、最後の最後で当初の目的を諦めます。その時の心境は?
毎熊 いざ目的のものを手にした瞬間、もう、どうでもいいや……という風にしたかったんですよ。せっかく手にしたのに……というところがまた、面白いかなと思って。そのため、割と早い段階から、何か、後ろ髪を引っ張られているような、何かを気にしているような、そういう芝居をするようにはしていました。途中には、盲目的に突っ走るところもありますけど、大事なものって、意外と身近にあるんじゃないかって、そういうものを表現するようにしたんです。ノリコとの関係も、劇中では喧嘩ばかりしていますけど、基本、かわいいものですからね(笑)。
映画「いざなぎ暮れた。」
2月21(金)島根県・東宝5で先行上映
3月20日(金・祝)より東京・テアトル新宿にて公開
<出演>
毎熊克哉 武田梨奈
青山フォール勝ち・岸健之助・和田まんじゅう(ネルソンズ) 山口提樹 潮 圭太(メンバー) 奥村隼也 どさけん 江西あきよし 大皷長次 蒼央 小池澄子
<スタッフ>
脚本・監督:笠木 望 製作:泉 正隆 エグゼクティブプロデューサー:新田敦生 プロデューサー:覚野公一 森田耕司 現地プロデューサー:住吉 裕 岩成優子 ラインプロデューサー:矢加部英達 撮影監督:原俊介 音楽:栗谷かずよ 録音:田中秀樹 ヘアメイク・衣装:長野一浩 監督助手:東畑渉 助監督:富澤昭文
協力:吉本興業 あなたの街に住みますプロジェクト 松江市 松江観光協会 美保関町支部 松江観光協会 たまつくらふと 松江フィルムコミッション協議会 大山隠岐国立公園満喫プロジェクト島根半島東部協議会 美保関地域観光振興協議会
製作:「いざなぎ暮れた。」製作委員会 制作:レフトハイ 配給・宣伝:吉本興業
(C)2018「いざなぎ暮れた。」製作委員会
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衣装協力:
黒ブラウス×スカート:panormo
花柄ワンピース:desigual
アクセサリー:flake jewelry