独自設計・組立ディスプレイ搭載 技あり
4K有機ELビエラ パナソニック TH-65GZ2000
TH-65GZ2000の見事な階調情報。特に、強烈な太陽に照射された浜の砂の一粒一粒の色再現。砂の粒子は、珊瑚が砕けて生成されたという物語も伝わってくる、そんな精細な色の躍動は、これまでの有機ELテレビでは観られなかったものだ。これは高輝度側の階調情報がいかに多いかの証拠である。
高輝度側の反対となる、黒側(低輝度)階調再現も見事だ。有機ELテレビにとって、暗部階調はたいへんな難物だ。液晶テレビに比べ、黒の沈み込みが深いのがメリットだが、実は漆黒から光出し付近の表示が不安定で難しい。有機ELテレビが誕生して以来、有機ELパネル供給メーカーも、それをテレビとして製品化するテレビメーカーも、暗部階調の表現力向上を中心に表現力を競ってきたが、いまだ完璧な域には到達していない。その中で、65GZ2000の画質を観ると一歩抜けたパフォーマンスを得たことがわかった。
目的は画質改善
パナソニックが制作した、暗部再現がひじょうに厳しい4K&HDR映像がある。暗い森の中に、眼を見張ってやっと認識できるぐらいの木々や枝振りが存在するという暗闇の景色。以前のパナソニックの有機ELや他社の現行製品と比較すると、65GZ2000は暗い中にある個別の要素がより明瞭に認識可能だ。それは光出しから始まり、些細な階調の違いが適切に表現できているという証左に他ならない。
前述した有機ELテレビの課題に対して、数世代に渡ってパネルの使いこなしに徹底的に注力し、いま65GZ2000において、この階調特性を得たのだ。その原動力のひとつがパネルに独自に手を入れたことだ。パナソニックは、有機ELパネル側に関わる構成要素の中で自らが関与できる割合を序々に増やしてきていたが、今回、その割合を飛躍的に増加させた。
一般的に有機ELテレビを手掛ける多くのアッセンブルメーカーは、パネルメーカーからモジュールユニットを調達し、そのまま製品に組み込む。しかし、GZ2000は違う。有機ELのセル(発光層)部と最小限の必要部分だけを調達し、熱などを考慮した周辺構造・回路、安定したパネル制御を、パナソニックで独自で作り込むのだ。
目的は、もちろん画質改善だ。有機ELの課題である高輝度化と、白側と黒側の階調再現性をこれ以上高いレベルで追い込むためには、パネル供給メーカーからのパネルを、モジュールとしてそのまま使うのではなく、自らの関与部分を拡大することが必須と判断したのだ。同じ自発光ディスプレイであるプラズマを長く手掛けてきたことも、階調改善への大きなモチベーションになった。プラズマにも暗部の沈みと階調再現というふたつの問題を抱えながら、改善を追求してきた長い歴史があった。さらに有機ELテレビメーカー各社とも、同じパネル供給メーカーの同世代のパネルを使っているわけで、差異化という点でも、独自の作り込み開発は必須であった。
絵づくりを担当したエンジニアはこう言った。「多くの部分に独自に手を入れましたが、そのひとつだけが効くのではなく、あくまでも総合的な施策が互いに関係しながら効果をあげています。そのためには、パラメーターをさまざまに変えた組合せを試す必要があり、たいへんな作業でした」と。
だが、その効果は確実に画質に寄与している。冒頭の刮目の階調再現は、その大きな成果である。源流から改革することが、いかに本質的に画質に寄与するか改めて思い知る。
ドルビービジョンに対応したことも、HDR10+推進メーカーとしては天晴れだ。音声面、特にドルビーアトモスに対しても、本体背面に仕込んだイネーブルドスピーカーを使い、音を天井に反射させることで、バーチャル再生とは異なり、格段に実体的な立体音響を実現した。
TH-65GZ2000はさまざまな意味で、大いに注目しなければならない有機ELテレビだ。
提供:パナソニック
4K OLED DISPLAY
PANASONIC TH-65GZ2000 オープン価格
●画面サイズ:65型 ●解像度:水平3840×垂直2160画素 ●内蔵チューナー:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●音声実用最大出力:140W ●接続端子: HDMI入力4系統、色差コンポーネント入力1系統(3RCA、ビデオ入力兼用)、デジタル音声出力1系統(光)、USB タイプA 3系統、LAN 1系統、他 ●寸法/質量:W1446×H907×D310mm/約40.0Kg(スタンド含) ●ラインナップ:TH-55GZ2000(55型) ●http://viera.jp