18時半開始の部は「BAND LIVE」だ。共演メンバーは大久達朗(ギター、バンマス)、越川和磨(ギター)、鳴海克泰(ベース)、松浦碧(キーボード)、大菊勉(ドラムス)、エトウヒロノリ(トロンボーン)、PITARI(トランペット)、石井裕太(サックス、フルート)。このメンバーが織りなすサウンドにのって、WHY@DOLLのふたりは安定した、何があろうと揺るがなさそうな、確信に満ちたパフォーマンスで魅せた。
ふつう「安定」というとそれは相変わらずの、変化に乏しい、スリルに欠けるものになりがちだ。しかし青木千春と浦谷はるなは違う。常に進化と発展をしているから、おなじみの曲でも見るごとに、聴くごとにむしろ新鮮さを増してゆく。「こんなところに素敵なハモリを入れるようになったのか」(とくに「shu-shu-star」のハーモニーは鳥肌ものだった)とか、「以前は力んだ感じで音程を跳躍させていたところもあったのに、すんなりと、まるで呼吸するかのように自然に、ある音からある音へと移り変わっていくようになったなあ」などなど、書き残したくなる瞬間が山盛りだ。
バンド用に新たにアレンジされたナンバーでは、「Blue Summer」が強い印象を残した。未作品化のライブ限定曲であるこの歌を、昼の部に続いてパフォーマンスしてくれただけでもうれしいのに、バンド・アレンジではブレイク・ビーツ風のフレーズを刻むドラムに、ふたりが歌を乗せるパート(つまりドラム+2ヴォーカルだけしか音を出していない状態)がたとえようもなくスリリングで、この箇所だけあと32小節ぐらい延長してほしいほどかっこよかった。ほわどるディスコの定番「MAGIC MOTION No.5」も、この日はボサ・ノヴァ風の編曲で披露。石井裕太のフルートも存在感を発揮した。
前回のバンド公演で大好評だったというジャズ・アレンジ(4ビートを基調とした編曲)の「Ringing Bells」も引き続いて歌われ、「CANDY LOVE」では浦谷と観客が“やっぱり、ほわどるは、バンドが、最高”とコール&レスポンスを繰り広げた。昼公演でも歌われた『Hey!』収録曲「Mr.boyfriend」、「ケ・セラ・セラ」、「二人で生きてゆければ」も、もちろんバンド・サウンドによって装いも新たに届けられ、CDではテクノっぽい味付けもあった「秒速Party Night」もグルーヴ感たっぷりのテイストへと生まれ変わった。
「去年の11月に行なった生バンドのワンマンの評判が良くて、今年は大阪と名古屋もバンド編成で回ることができました。生バンドとライブをするたびに、WHY@DOLLがいい刺激を受けて、成長できているという楽しさを実感しています」(浦谷)
「これからはもっとバンドで歌う機会を増やしたいです。頼もしいメンバーが後ろにいて歌えるということがすごく楽しくて、音楽やっててよかったなと思います」(青木)
昼夜公演を通じて、改めてWHY@DOLL楽曲の持つ質の高さと、進境を示し続ける“ミュージシャン”青木と浦谷の歌心に表敬するしかない一日だった。
WHY@DOLL http://www.whydoll.jp/
青木千春 https://twitter.com/aokichiharu
浦谷はるな https://twitter.com/humhum0401