ドラマデザイン社製作の舞台「清らかな水のように~私たちの1945~」が現在、新宿のシアターモリエールで上演中だ。修学旅行で沖縄に来た現代の女子高校生の二人が、ひょんなことから戦争中の1945年6月にタイムスリップしてしまう、というストーリー。そこでは、同年代の少女たちが女子学徒隊を編成して、わずかな人数で侵攻してくる米軍に立ち向かっていた。ここでは女子学徒隊のリーダー神里いずみを演じている桜城りのんに話を聞いた。

――出演おめでとうございます。(出演が)決まっていかがですか?
 ありがとうございます。ちょうど昨年この舞台を観てすっごく感動して、いずみ役をやりたいと思っていたので、今回そのいずみ役をいただけて本当にうれしかったです。

――いずみはどんな女の子でしょう?
 戦時中に生きていた子なので、心の中に強い芯を持った女の子だなと思いました。大切な人を亡くしたり、自分の夢が失われていってしまう中でも、悲しさに負けず、いつも仲間のことを想っていて、自分の命に代えても仲間を守りたいという強い意志を持った、すごくかっこいい人なんです。

――昨年観劇して、感動した部分というのは?
 舞台上に、当時の風景がホントに見えたんですよ! 同じぐらいの年代の子が演じているのに、戦時中に生きていた女の子たちの背負った悲しみや強さが感じられて、お話しに引き込まれていって、自然と涙が出てきてしまったんです。

――これまでの稽古の印象はいかがですか?
 A/B/Cの3チームがあって、私はCチームのいずみを演じています。A、Bには経験のある方が揃っていて、稽古を見ていてもすごいなって思うほどなんです。それに比べるとCはよく言えばフレッシュな子が揃っているので、歌とかダンスで、明るくて元気のあるところを表現しようって頑張っています。そのおかげか、この間の反省会では、歌とダンスが一番良かったってほめられて、嬉しかったです。

――チームごとに色(演出など)は異なりますか?
 基本は全チーム同じお芝居(演出)になりますけど、それぞれの良さというか、色はあって、通して観ていただいても楽しめると思います。Cは、歌とダンスに特に力を入れていますので、ぜひ。

――ほかのチームの子と、役づくりについて話したりしますか?
 特に同じ役での話合いというのはしていませんけど、お互いの稽古を見て、いいなって思う表現などは参考にしています。

――役づくりでの苦労は?
 お話し自体はフィクションですけど、実際にあった戦争をテーマにした物語になっているので、当時生きていた人たちの想いや苦悩、悲しみをどう表現したらいいのかという部分は、すごく難しいです。実際に、経験者の方の手記や映像(ドラマなど)を観て、役づくりに活かしています。
 いずみとしては、芯があって、ドシンとしていなくちゃいけない子なので、強い面を見せつつも、けどまだ17歳という女の子の人間味というか弱い面も出さないといけないので、そのバランスが難しいです。反省会では一番注意されるポイントなんです。

――台本や稽古を通じて、印象に残ったシーンは?
 やはりラストシーンですね。ネタバレになってしまうので、詳しくはお話しできませんけど、生きている時代によって、何が正しいのかという判断は異なるんだなというのが如実に感じられるものになっているんです。その時の感情と感情のぶつかり合いによって、今の時代ではあまり経験できない辛さが、より強調されていくようで、演じていても感動というか、気持ちが昂るところなんです。

――雨倉役の重松隆志さんは、本作の全公演に出演されていますが、なにかアドバイスはもらいましたか?
 常に重松さんがおっしゃっているのは、台本にはセリフや(物語の)流れは書いてあるけど、登場人物たちは、次に何が起こるか分かっていないんだから、急に爆弾が飛んでくるかもしれない! 常にそうした緊張感を持って舞台に立つようにっていうことなんです。稽古では、急にボールペンが飛んできたりして、びっくりします。そうしたリアルなお芝居、感情を表現できるように頑張ります。

――さて、上演が迫ってきました。桜城さんの見どころは?
 戦時中に、イマドキの女子高校生がタイムスリップしてしまうという非現実的なお話しなんですけど、その中でも、戦争という人類が忘れてはいけない大切なテーマを、演劇という形を取りながら伝えてくれるところに注目してほしいです。生きることの大切さはもちろん、戦時中でも健気に生きている女の子たちの姿を通して、自分たちも頑張ろうとか、一日一日を大切に生きようって感じてもらえたらうれしいです。
 私の演じるいずみでは、強さとともに、その根底にある悲しみを表現できるように頑張りますので、注目してほしいなって思います。

――今後の目標は?
 女優として演技力を磨いていって、いろいろな役を演じられるようになりたいです。

――憧れの人は?
 水野美紀さんです。ものすごく振り切った役を演じているのを拝見したことがあって、自分もそういう役が演じられるようになりたいって、強く思ったんです。

――振り切った役の経験は?
 少し違うかもしれませんけど、AIのお題で、カンフーの達人というのを演じたことがあります。それは自分でもうまく(振り切って)できたなって思っていて、いまでもファンの方から、「桜城のカンフー見たい」って言ってもらえるので、よかったなって感じています。

――そうすると、今後演じてみたい役や設定は?
 今回の作品で言えば、新関碧さんや長谷川美蘭さんが演じている、イマドキの女子高校生とか、あるいは、めちゃくちゃに暴れたり、騒いだりする役にも興味はあります。あとは機会があれば、アクションにも挑戦してみたいです。ただ、ダンスは得意なんですけど、運動神経がないので……。

舞台「清らかな水のように~私たちの1945~」

新宿シアターモリエールにて、7月29日(日)まで上演中
<キャスト・Cチーム>
新関碧、長谷川美蘭、桜城りのん、永田凜、松村玲、大野みさき
※Cチームの出演は7/27(金)15:30~/7/28(土)12:00~
<キャスト・共通>
重松隆志(A/B/C)、緒川佳波(B/C)、山口諒太郎(B/C)
<スタッフ>
企画・演出:山本和夫
脚本:千葉美鈴
原案:神楽坂淳
企画・製作:ドラマデザイン社

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