1947年にウェスタン・エレクトリック(Western Electric = WE)が開発した20cmフルレンジユニット755A。20cm口径フルレンジユニットの原器的な存在であるWE755Aを最初期アルテックA7で採用された大型エンクロージュアH825にマウントして鳴らし、未知の表現を引き出す。ホームユース機も交えた9機種のヴィンテージ真空管パワーアンプを組み合わせた。

20cm口径フルレンジWE755AをアルテックA7大型エンクロージュアと業務用/民生用パワーアンプで鳴らす

土井雄三/新 忠篤/杉井真人

1947年にWEが開発した20㎝フルレンジ。アルテックA7用バスレフ型エンクロージュアと多彩なパワーアンプ組合せで新境地を探る

土井 今回は、ウェスタン・エレクトリック(WE)の20㎝口径ユニット755Aを、アルテックの大型エンクロージュアH825に入れて、業務用/民生用を含めた様々なパワーアンプと組み合わせて鳴らしてみたいと思います。

 WE755Aは1947年にWEが開発したフルレンジユニットです。本来は主に列車の車内放送用スピーカーとして使われたほか、映画館や様々な公共施設のPAでも活躍しました。アルテックが755Aの製造を引き継いだKS14703は、国連ビルでも使われていたようです。

 今日聴くWE755Aは、アメリカのとある映画館チェーンがいくつかの映画館を解体する際に出てきたものです。累計では在庫が800本以上ありましたが、現在は残り数本となり、今回はその中から1ペアを持ってきました。

ウェスタン・エレクトリック 755A

画像1: ウェスタン・エレクトリック 755A
画像2: ウェスタン・エレクトリック 755A

1947年に発表された「ニューライン オブ ワイドレンジ ハイクオリティ ラウドスピーカー」シリーズとして8インチ径755A、10インチ径756A、12インチ径728B、754A/Bが登場した。8インチ径の755Aは列車の車内放送用として製造されたといわれているが、他にFM放送局やTV局のモニターとしても活躍した。再生周波数70〜13,000Hz、ボイスコイルインピーダンス4Ω、最大入力8Wという仕様である。エンクロージュアは2立方フィート(約57リットル)の密閉箱が指定されている。755Aは1949年まで製造され、1950年代に入ってKS14703としてアルテックが製造を引き継いだ。755Aの試聴は指定のサイズの密閉箱やアルテック618Cタイプエンクロージュアで行なってきたが、今回の試聴ではアルテックH825エンクロージュアの15インチ径用に8インチのサブバッフルを取り付け、755Aに対応できるようにした。初めての試みなので興味深い試聴となる。(土井)

●型式:シングルコーン・フルレンジ
●振動板口径:20cm
●バッフル開口径:178mm(リアマウント)
●外径寸法:φ213×D80mm
●重量:2.1kg

杉井 最近はWE755Aを見かけることが少なくなりました。一時は励磁仕様のレプリカ品が作られたりしていましたが。

土井 そうですね。励磁仕様のレプリカ品は私はまだ聴いたことがありません。ただ、磁気回路を強化すればいいというものでもないと思うんです。以前、WE755Aの磁気回路を励磁型に作り替えたものを聴いたところ、音はまるで別物でした。

 フェライトよりアルニコ、アルニコよりフィールド型という発想で作られたものだと思いますが、設計当時と違うマグネットを使うと音は変わってしまいますから。

杉井 アルニコよりフィールド型の方が磁力は強いと思われていますが、同一磁気回路の場合、実はアルニコの方が磁力は上です。その理由は、フィールド型の場合、長時間使用すると必ず発熱の問題が生じてきますので、設計上、むやみに電力で磁力ばかりを上げるわけにはいかないためなんです。

 減磁を理由に改造される場合もありますが、少しぐらいの減磁では能率は下がらないんです。アルニコ磁石は減磁しやすいといわれていますが、スピーカーの磁気回路は閉磁路ですので、適切に扱われてきたものであればそう簡単には減磁はしません。

土井 すべてはコンディション次第だと思います。アルニコ磁石の寿命は80年といわれるけれども、それ以上古いものでも劣化を感じさせず、ちゃんと鳴る場合はあります。むしろ、コーン紙が劣化してしまっていることが少なくありません。

 WE755Aのコーン紙のセンターキャップは一体成型です。なおかつ、紙は1枚ではなく2枚。表紙と裏紙を熱で圧着しているようです。レプリカなどでは紙1枚のものがあり、音を聴くとオリジナルよりも粘りがないように感じます。

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