6月20日(土)と21日(日)の両日、東京国際フォーラムで開催されるOTOTEN2026の一般公開。それに先立ち今年から実施されたプレミアデーを取材。カーオーディオを実車で体験できる展示がガラス棟B1Fコンコースに展開された。今年の展示は3台、カスタムインストールが2台とオプション設定の純正が1台である。各車をご紹介しよう。
文・写真=長谷川圭
GR86×パイオニア
高品位なサウンドパフォーマンスは現代随一の出来
東北パイオニアが持ち込んだ車両は、昨年のOTOTENでも話題となったGR86だ。搭載システムは昨年と同様、TS-Z1GRとサブウーファーの組み合わせである。高性能DSPとパワーアンプによって駆動されている。ただ、DSPの使い方には若干の変化があり、回路構成上、より理想的な“つなぎ方”を目指した使用法を実践したという。

昨年に続き登場したGRハチロク。

AピラーにマウントされたTS-Z1GRの中高域用同軸ユニット、CSTドライバー。

ドアにマウントされた170mmウーファー。

ラゲッジの最後方にレイアウトされたサブウーファー。傍には中高域ユニット用パッシブネットワークが置かれる。

デモカーの傍には、TS-Z1GRの実機が展示されている。試聴順を待つ間にじっくり見ることができる。

CSTドライバーのハウジングとモーター部。

CSTドライバーの振動板。左が蒸着ベリリウムのトゥイーターダイヤフラム。中央が開織カーボンクロスのミッドレンジコーン。

パッシブネットワークのサーキットボード。手前に見えるターミナルはバイアンプ接続にも対応する。切替はターミナル奥のジャンパープレートによって行う。
そのサウンドは、高解像度な音の描き方で、細かな音の表現まで聴かせながら、確かなエネルギーが乗った活きた音とでもいうべきものが耳に届く。耳だけでなく体全部でも感じられる印象だ。昨年同様の印象ではあるけれど、相変わらずのポテンシャルと感じられるということは、使い方を改めた効果が出ているといえるのかもしれない。
昨年末に当サイトで実施したグランプリ企画でゴールドアワードを獲得した実量は確かなものだったと改めて感じた次第だ。このクルマで聴ける音は、ある意味で現代最高のパフォーマンスを体現しているといえるだろう。
GR86は試聴体験のために整理券を発行している。行ってすぐに聴けるものではないので、まずはブースで整理券をゲットしよう。
GRカローラ×JBL
ダイナミズムを重視したサウンドは失踪していることを思い浮かべて聴きたい
ハーマンインターナショナルが展示するのは、JBLのシステムを搭載したGRカローラだ。トヨタ車で採用されるJBLシステムは、車種ごとにそのクルマのイメージに合わせた音作りをしている印象なのだが、GRカローラでもそのコンセプトに沿ったサウンドのようだ。繊細さを表現するというよりは、ダイナミズムを身上とした鳴り方で、どっしりとした低音の上に華やかな中高音が奏でられる。

ハーマンインターナショナルが出展しているGRカローラ。

ピラーにレイアウトされるのは象徴的なホーン付きトゥイーター。Tオィーターンすぐ右、ダッシュボード上には80mmWide Dispersionユニットが配置される。

フロントドアにマウントされるのは170mmEide Dispersionユニット。

ディスプレイユニットはトヨタの純正。カバーアートにはJBLの80周年を記念してデザインされたロゴマークが表されていた。

GRカローラに搭載されているスピーカーユニット。縁取りがJBLオレンジにデザインされている。

ラゲッジに載っているサブウーファー。224mmのユニットがマウントされているエンクロージュアは、GRカローラに合わせて設計されたものだ。

GRカローラに搭載されているJBLのオーディオシステムを紹介しているパネル展示。
充実した量感をもたらすのは、ラゲッジルームのサブウーファーで224mmユニットを15リットル弱の樹脂製専用エンクロージュアにマウントして載せている。
フロントスピーカーはダッシュボード上の両端にワイドレンジユニットを、そのすぐそばのピラーにはホーン付きのトゥイーターが配置され、ドアのウーファーと組み合わされている。リアスピーカーはトゥイーターとワイドレンジユニットが配置される。ピラーのトゥイーターが有するホーンは、GRカローラ専用のフォルムが与えられ、車室内に展開するステレオイメージを支配している。その音場は、楽曲が持つ情報に忠実というより、それを超えて包まれ感を重視している印象で、今時のスポーツカーとなるとこういう音世界になるのかもしれない。
デモンストレーションでは、前席と後席の両方を体験することができる。前後席でほど変わらないサウンドバランが聴けるうえ、音場の感じ方にも変化が少ないことが確かめられるはずだ。
以前、GRヤリスのJBLシステムを聴いたことがあり、音調としては近いものを感じるのだが、正直言うと停車時に聴くサウンドよりも走行中に聴く音の方が数段愉しさが勝っていた。それはとりもなおさずクルマのイメージにカーオーディオの音作りが合っていることの証だったのだろうと思う。となると、このGRカローラももしや……。会場で聴くことが適う方にはぜひ、疾走するイメージを妄想しながらお聴きいただきたい。
ALPHARD MODELLISTA Concept×Pioneerコラボレーション
新たな楽しみ方を体全体で感じられる1台に仕上げたクルマ
トヨタ車のエクステリア及びインテリアのアフターパーツなどを取り扱うモデリスタ。そんな同社がパイオニアとコラボして制作したのが今回展示されているALPHARD MODELLISTA CONCEPTだ。モデリスタでは、より上質なモデリスタを感覚的に感じ取ってもらいたいという想いから、「見る」、「聴く」、「香る」、「触れる」、「乗る」という部分を入念に作り込んだ1台に仕上げたという。
このクルマのフロントスピーカーには、カロッツェリアのトップモデルTS-V174Sを採用し、Aピラーに36mmトゥイーターを埋め込み、高さや向きを最適に装着したという。それに合わせたリアスピーカーとして、カロッツェリアTS-C1740Sをチョイスしている。ここで、『なぜVとCを組み合わせたのだろう』という疑問が浮かんだのだが、試聴体験をして納得した。

ALPHARD MODELLISTA Concept。エクステリアはグリルのほか、全周にわたりイルミネーション入りスカートや、オリジナルホイールなどでドレスアップされる。インテリアも証明や手に触れるパーツにこだわりが盛り込まれるなど、上質感が演出されている。

オーディオシステムで象徴的なのが、このAピラー。36mmのトゥイーターはカロッツェリアTS-V174Sのもの。同じコンポーネントの170mmウーファーはドアにマウントされている。

リアスライドドアには29mmトゥイーターと170mmウーファーからなるTS-C1740Sがインストールされている。

リアゲートを開けると開けると荷室スペースにエンクロージュアを設えて250mmサブウーファー(カロッツェリアTS-Z10LS2)を搭載するほか、サブウーファードライブ用デジタルアンプ(PRS-D800)とDSP(DEQ-2000A)が載る。
OTOTEN会場では、体験前に用意された楽曲メニューから2曲を選び、選んだ楽曲をフロントシートとリアシートで聴くことができるというもの。席が前後したところでどれほどの差が……と思われる人も多いことと思う。実際、筆者も聴く前はそう思っていた。しかし、聴いてみるとこれが明らかな聴かせ方の違いが存在していて驚かされた。
前提として、このクルマで聴ける音は真面目なHi-Fi調。その中で前席は前のめりに音楽を楽しんで聴きたいと思わせるサウンド。対して後席は、良い意味で緩く、リラックスして聴けるサウンド。TS-VスピーカーとTS-Cスピーカーが持つ特性から、音量レベルのバランスを絶妙にコントロールした結果もたらされたものだ。
聞けば、本車はパイオニアの車載用スピーカーを担っている東北パイオニアの作業ピットでオーディオの施工とサウンドチューニングを施したのだという。しかもDSPの調整は朝から夜まで、3日間をかけて取り組んだとのこと(当初2日間の予定を1日延長したという)。サウンドの点では今回出展されているGR86と同郷だったのだ。
できた経緯はともかく、前席と後席の聴こえ方の違いは誰の耳にも明らかに聴けると思うので、その違いを楽しんでもらいたい。
試聴体験には整理券が必要なので、争奪戦になる事は必至だろうから、会場に着いたら真っ先に整理券を入手しよう。

ALPHARD MODELLISTA Conceptのリアビュー。

カーオーディオブースの様子。


