現役の日活社員・太田慶が監督を務めた『桃源郷的娘』が、いよいよ1月21日(金)より公開される。川端康成の「眠れる美女」をモチーフにしたという本作は、観るものの想像を斜め上に超えるシュールな仕上がり。ここでは、そのアイコンとも言える眠れる美女・春川桃子を演じたセクシー女優の川越ゆいにインタビューした。
――出演おめでとうございます。ようやく公開を迎えます。
ありがとうございます。公開が決まるまでの間は、本当に公開されるのかな、できるのかなって思っていましたけど、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」で「オフシアター・コンペティション部門 北海道知事賞」をいただけたことで自信も深まりましたし、ようやく観てもらえるという嬉しさが、いまは一番です。私も公開を心待ちしています。そして、たくさんの方に観ていただきたいです。
――まずは、出演が決まった時のことを教えてください。
お芝居自体は大好きだったので、嬉しかったと思う半面、セリフを覚えるのが本当に苦手だったので、不安も大きかったですね。けど、ほとんど寝ている役でしたから(笑)、セリフも少ないし頑張ろう、何とかなるだろうと思って臨みました。
――お芝居が好き?
はい。これまでもピンク映画とかVシネに出演させていただいたことがあって、とても楽しかったので、もっともっとやりたいという気持ちは強くありました。
――最初に台本を読んだときの感想は?
小さい時からテレビで拝見していた小宮孝泰さんと一緒にお芝居ができる、というのがまず、楽しみでした。ママに連絡したらすぐに“すごいね”って返事が来ました。
――その小宮さんからは、何かアドバイスはありましたか?
ものすごくお芝居に熱心な方で、私にアドバイスというよりは、現場をまとめて下さっている感じでした。そうそう、後でお話が出てくると思いますけど、裸で小宮さん演じる江崎宗介と鉢合わせするときの啖呵は、小宮さんにアドバイスいただいたアドリブなので、注目してほしいです(笑)。
――今回演じられた春川桃子の役作りについて教えてください。
監督からは、「常に眠たそうな子」とか「川越さんそのままでお願いします」と言われていたので、作り込むというよりは、自分でいることを意識しました。ファンの方には「そのまんまだ」って感じてもらえると思いますね。ただ、冒頭のシーンでは、胸をもまれているのに気づかないでいつまでも寝てるのって、どんだけ鈍いんだってツッコミたくなりましたよ(笑)。
――冒頭のバイト先のシーンでは、寝てるだけなのに給料くださいとか、図太い面もありました。
ねっ。よほどお金に困っていたんだろうなって思いましたもん。私だったら申し訳なくて、そんなことは言えませんよ。そこはまあ、私とは違う部分です(笑)。
――そのあと、三坂知絵子さん演じる三浦律子と出会い、とある仕事にスカウトされます。
怪しすぎてもう、私だったら絶対に逃げますよ(笑)。ただ、三坂さんご本人はお綺麗な方で、お芝居も上手ですし、セリフもすごく聞き取りやすかったので、一緒にお芝居するのが楽しかったです。楽屋でもいろいろと気にかけていただいて、お母さんというかお姉さんのような雰囲気で接してくれました。
――その仕事で、さきほどお話のあった小宮さん演じる江崎と出会います。
寝ている私の横で、必死に(EDと葛藤する)お芝居をされているんですけど、それが面白すぎて、いやもう、本当にダメでしたね。何回かNGを出してしまいました。申し訳ないと思いながらも、とにかく笑いが堪えきれなくて……。カメラマンさんにも、なるべく顔のアップを撮らないでくださいってお願いしたぐらいです。寝てるだけでいいと言われても、アレはきつかったですよ。
――印象に残っているシーンを教えてください。
公園で、象さんのオブジェ(?)に話しかけるところですね。カメラの位置を変えて何度か撮っているんですけど、途中から私自身も、何やってるんだろうな~っていう疑問がわいてきたりして。お色気のところだけでなく、そんなシュールな雰囲気も感じてほしいです。
――最後に今年の抱負をお願いします。
映画の公開に合わせて、こうして取材を受けることが多くなってきたことで、お芝居への意欲がより強く盛り上がってきました。監督の皆さん、オファーをお待ちしていま~す。
映画『桃源郷的娘』
2022年1月21日(金)よりアップリンク吉祥寺 ほかにて全国順次公開
<キャスト>
小宮孝泰 川越ゆい
永里健太朗 ヘイデル龍生 三坂知絵子 新納敏正 江端英久 鈴木宏侑 鈴木幸重 香川知恵子
<スタッフ>
監督・脚本・編集:太田慶 撮影:石山稔 照明:小林敦 録音:森元智典 助監督:陳詩涵 制作:島田薫 ヘアメイク:清水彩美 音楽:真野勉 宣伝デザイン:中村欽太郎 配給・宣伝:アルミード 2018年/日本/カラー/16:9/57分
(C)太田慶
<あらすじ>
老浮浪者が、公園のベンチで居眠りしている娘に恋をした。だが、浮浪者は既に男性機能を失っていて娘を抱くことが出来ない……。生涯の恋を叶えるために浮浪者が思いついた突拍子もないアイデアとは? そして「寝ているだけでお金持ちになってステキな彼氏が出来る」ことを夢見る「お気楽娘」を待ち受ける摩訶不思議な運命とは……?