本日9月16日(木)より、東京・池袋の東京芸術劇場 シアターイーストにて音楽劇『海の上のピアニスト』が上演中だ。原作はアレッサンドロ・バリッコのイタリア戯曲で、1999年にイタリア・アメリカ合作で映画化。昨年、4Kデジタル修復版が劇場公開されたことも話題を集めた。その人気作品の日本語による舞台化である。

画像1: 世界的名作を、オリジナル楽曲満載でおくる。音楽劇『海の上のピアニスト』、池袋で上演中

 主な時代背景は、1927年からヒトラー台頭の頃まで。主人公のノヴェチェントは、ニューヨークとヨーロッパを往復する船“ヴァージニアン号”に捨て置かれ、そのままそこで成長した。8歳の時に育ての親であった黒人機関士が亡くなり、再び孤児になったが、ピアノと出会ったことで才能が開花、やがて船上オーケストラのピアニストに抜擢され、そこのトランペッターが彼にとって唯一の親友になった。港に着くと、乗客も他のバンド・メンバーも地上に降りる。が、ノヴェチェントは船から降りない。それはなぜなのか、トランペッターがそっと問い、ノヴェチェントが自分の心にあるいくつもの壁を一枚一枚取り除いていくかのように、じっくりその理由を語り始める。

画像2: 世界的名作を、オリジナル楽曲満載でおくる。音楽劇『海の上のピアニスト』、池袋で上演中

 9月15日(水)、天才ピアニスト・ノヴェチェントを演じる内博貴、物語のストーリーテラーも兼ねる親友のトランペッターを演じる藤本隆宏、そしてピアノ演奏を担当する西尾周祐が会見を行なった。その模様を紹介したい。

内博貴 人物が脚本に描かれているので、それに忠実に従おうという気持ちで役と向き合っています。変に“こうやろう”というのはないですね。

藤本隆宏 「(彼は)作ってない」と言っていますけど、(ノヴェチェントの)キャラクターそのままですよ。孤独なピアニストというイメージそのままです。

 藤本さんはトランペッター役のほかに、ステージテラーというんですか、いろんな役をひとりで演じていらっしゃる。番組でいうならMCとひな壇を駆け巡りながらやっている感じです。僕はひな壇に座ってるだけ(笑)。僕がレベル1だとしたら、藤本さんはレベル100ですよ。

西尾周祐 僕は“もうひとりのノヴェチェント”という意識で演奏していますが、別のピアニストを演じる箇所もあるので、楽しみながらその違いに取り組んでいます。

 僕自身、こういったタイプの作品に携わったことがないので新鮮ですね。不思議な舞台だと思いますし、いろんなものが感じられるような、いろんな違った見方ができるような内容だと思います。

藤本 芝居に音楽がついてくるミュージカルは多いですが、この作品は音楽主体で、我々が芝居を創り上げていくところが違います。見どころとしては最後の内さんの長ゼリフでしょうか。魅力が集約されていると思います。

西尾 こんなにずっと舞台でピアノを弾いていられるのは、ピアニストとしてこれ以上ないことです。最初に流れるメインテーマは途中も、繰り返し何度も演奏されるので、そこにも注目してほしいです。ジェリー・ロール・モートンとノヴェチェントのピアノ対決のシーンも聴きどころですね。

 このご時世にも関わらず、こうやって舞台ができるということは本当に幸せです。感染対策バッチリの状態で楽しんでいただこうという気持ちでいっぱいです。演じながら思ったんですけど、本当にクルージング旅行と言いますか、船に乗っているような気分で楽しんでいただける作品になっていると思います。

 音楽はクラシック調あり、ジャズ調あり、ラップを取り入れたナンバーありと多彩。無論、ダンスも大きな見どころだ。また、ノヴェチェントと、自ら“ジャズの創始者”と名乗った実在のピアニストであるジェリー・ロール・モートンの“演奏による決闘”も実にスリルに富んでいる(私事だが、モートンの魅力、意義、略歴についてはジャズ批評社から出ている『ジャズ・ピアノ入門』という本にたっぷり書いた)。

 人気者が演じる人気作品だけに話題沸騰は必至だが、この音楽劇をきっかけに、ひとりでも多くのひとがモートンやジャズに関心を持ってくれることを願わずにはいられない。

 東京公演は9月20日まで開催、その後23日(栃木)、25日(富山 ピアノは宮川知子)、10月7日・8日(石川)、9日・10日(大阪)で上演される。

画像3: 世界的名作を、オリジナル楽曲満載でおくる。音楽劇『海の上のピアニスト』、池袋で上演中

カメラ:山副圭吾
(C)2021.海の上のピアニスト

音楽劇『海の上のピアニスト』

池袋・東京芸術劇場シアターイーストにて9月20日まで上演【東京公演】

【栃木公演日程】2021年9月23日(木・祝) @栃木県総合文化センター サブホール
【富山公演日程】2021年9月25日(土) @富山県教育文化会館
【石川公演日程】2021年10月7日(木)・8日(金) @北國新聞 赤羽ホール
【大阪公演日程】2021年10月9 日(土)・10日(日) @大阪市中央公会堂 大集会室

作:アレッサンドロ・バリッコ
訳:草皆伸子(白水社刊)
上演台本・演出:星田良子
作曲・音楽監督:中村匡宏
美術:齋藤浩樹
照明:阿部典夫
音響:秦 大介
歌唱指導:宮川知子
振付:KAZOO
衣裳:doldol dolani
舞台監督:西川 也寸志
製作:アーティストジャパン

◆キャスト
ノヴェチェント役:内 博貴
トランぺッター役:藤本隆宏
ピアノ:西尾周祐 宮川知子(富山公演)

テキスト:原田和典

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