有機ELテレビの名機、パナソニックGZ2000シリーズがモデルチェンジを受け、新たにHZ2000シリーズとして生まれ変わった。インナープレートを自社開発、パネルに組み込み、映像のダイナミックレンジを格段に向上させたGZ2000の後継として、さらに技術とこだわりを投入したのがHZ2000。早速チェックしたが、前作を上回る高いクォリティに刮目した。この1年間、パナソニックの映像技術者たちは、なにをやったのだろうか。
画像1: ありのままの迫力!進化した独自設計有機ELディスプレイ。
パナソニック「TH-65HZ2000」

4K OLED DISPLAY

PANASONIC TH-65HZ2000 オープン価格

●画面サイズ:65型
●解像度:水平3840×垂直2160画素
●内蔵チューナー:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2
●アンプ実用最大出力:140W
●接続端子: HDMI入力4系統、ビデオ入力1系統(3RCA、ビデオ入力兼用)、デジタル音声出力1系統(光)、USB タイプA 3系統、LAN 1系統、他
●寸法/質量:W1446×H913×D350mm/約41kg(スタンド含)
●ラインナップ:TH-55HZ2000(55型)
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 19年のHiViグランプリで見事にシルバー・アウォードを得た65GZ2000は名機であった。まさに有機ELテレビに新局面を与えた金字塔モデルであった。19年モデルのできがあまりによかったので、後継となる20年モデルは、いったいどこまでのクォリティを獲得できたのか、期待と心配が入り交じった気持ちで、HZ2000の65型を観た。

 明らかに19年モデルを上回っていた。階調再現と色再現、そして輝度感で。私が観たインプレッションについては後ほど語るとして、19年モデルからHZ2000への過程で何が変わって、何が継承されたのだろうか。

 19年モデルが金字塔とされたのは、アッセンブルメーカーが、大胆に有機ELパネル構造に手を入れたからだった。従来、パネルメーカーとアッセンブルメーカーの関係は、前者が後者にパネル一式を納入し、後者がそれを自社テレビに組み込むというシンプルなものだった。ところが、パナソニックが19年モデルで行なったのは、パネル一式でなく有機ELセルと最小限の部品だけ購入し、その背後のインナープレート(放熱プレート)と貼付けシートを独自に自社工場で組み込むことだった。パネルメーカーが、それらをすべて一体として組み込んだ汎用パネルより放熱効率に断然優れるインナープレートを自社開発し、パネルに組み込んだのである。

 目的は輝度向上。有機ELは自発光デバイスだから、電流を掛ければ明るく光るが、その分、発熱量も上がる。発熱しても効率的に熱が逃がせるなら、輝度はさらに上げられるはず、という理屈だ。19年モデルでは、まさにドンピシャでこの措置が効き、ダイナミック(D)レンジは明らかに拡張された。

 ところが……である。新作の65HZ2000は、さらに拡張しているではないか。明らかに、白レベルは従来機を上回り、黒レベルはより漆黒度を増した。しかも階調感も細やかだ。何をやったのだろう。

 それを述べる前に、両者を同じ絵で比較したインプレッションを述べよう。定番のリファレンスソフト、ビコムのUHDブルーレイ『宮古島〜癒しのビーチ〜』。海岸に打ち寄せる波が、太陽の反射を受けてキラキラ光る。白のレベルが高い。紺碧の青空に雲が浮く。HZ2000では、雲の白側にもきれいな階調が生じていることがわかる。南国らしい透明な空気感が再現され、熱い風が吹いている。浜の砂の一粒一粒の色。微細な部分に内在する色のエネルギー量が上がったと観た。

 パナソニックが制作した、4K&HDRクリップ『ホラー』。光出し付近のきわめて暗い部分の階調再現をチェックするコンテンツだ。暗い森の中の木々や枝振りがより明確に認識でき、森を逃げまどう少女の赤い服も、暗部なのにより鮮やかになった。19年モデルでも同じクリップを観て大いに感心したものだが、HZ2000は光出しから始まる暗部階調がより繊細になった。黒がより締まった中に、微細な階調が存在するのが進歩だ。なるほど、白側と黒側の進歩はわかった。

 では、そのふたつが同時に表れる絵はどうだろう。NHK BS4K『北米イエローストーン 躍動する大地と命』(8Kからのダウンコンバート版)で観た。HZ2000では山の稜線が陰り暗くなるさまが、しっかり情景として捉えられ、つぎに全景が真っ暗になり、太陽が指輪になる皆既日食の様子も、ダイナミックに観察できた。黒い太陽の周りの光がすべらかな階調推移を見せる。この強い白部の階調再現はたいへん難しく、バンディングが出る有機ELテレビが多いなか、HZ2000はリニアな推移を見せた。19年モデルでは「階調はパナソニック」との定評を得たが、HZ2000ではさらにレベルが上がったことがわかった。

 何をしたのか。担当技術者が言った。「19年モデルで伸びた白レベルに合わせ、白側の階調制御をさらに緻密に行ないました。そのために、入力してきた輝度信号の分析にヒストグラムを応用しました。パネル駆動でもサブピクセルの発光の制御を見直し、高輝度部のS/Nを改善したことが効きました」。19年モデルで放熱動作にメスを入れ、HZ2000でさらに総合的に動作の完成度を上げたのだ。

 

明るさアップを実現するパナソニック独自の
有機ELディスプレイ
ディスプレイ構造のイメージです。

画像2: ありのままの迫力!進化した独自設計有機ELディスプレイ。
パナソニック「TH-65HZ2000」

HZ2000(65/55型)では、19年モデルから進化した「ダイナミックハイコントラスト有機ELディスプレイ」を搭載。パナソニック独自設計により、明るさ分布解析のアルゴリズムを追加し、自然でなめらかな明部の階調表現を目指した

 

 HZ2000の話題は、Dレンジ拡大だけに留まらない。音のしつらえで注目したのがSpace Tuneが進化した「Space Tune Auto」。部屋の音響特性に合わせ、周波数特性を整頓させる音機能が効果的なのである。「Space Tune Auto」ではリモコン内蔵マイクで、測定音の部屋反射を収集、分析し、スピーカーからの音に反映させる。AVセンターなどでお馴染みの機能で、テクニクスの一体型オーディオからの援用だ。試すと、オフでは奥に引っ込んでいた音が、オンでは解放され前に出て明瞭度も上がった。フレーム上部に設置されたイネーブルドスピーカーも含めて調整するので、効果が高いのである。

 

画像3: ありのままの迫力!進化した独自設計有機ELディスプレイ。
パナソニック「TH-65HZ2000」

ドルビーアトモス対応イネーブルドスピーカー搭載「Tuned by Technics」のスピーカーシステムは、最大出力140Wの3.2ch+2ch構成。リモコンマイクで音響測定して調整する「Space Tune Auto」で視聴環境に合わせた音環境が手に入る

 

 

 前モデルが拓いた地平を受け継ぎ、さらに発展させたHZ2000は、このシーズンのもっとも注目すべき有機ELテレビだ。

提供:パナソニック

 

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