1月11日、アニメーション映画『音楽』の初日舞台挨拶が東京・新宿武蔵野館で開催され、声を担当する駒井蓮、前野朋哉、芹澤興人、平岩紙、原作者の大橋裕之、監督の岩井澤健治らが出席した。
この作品は、大橋の自費出版漫画を原作とした長編アニメーション。楽器経験のない不良たちが思いつきでバンドを組むところから始まる“ロック奇譚”で、バンド“古武術”を結成する研二役に坂本慎太郎、研二の同級生のヒロイン・亜矢役に駒井、“古武術”のメンバーである太田役に前野、朝倉役に芹澤、“古武術”をロックフェスに推薦する森田役に平岩がそれぞれ声を当てている。
「原作では(亜矢の)ビジュアルがスケバンの女の子だったので、“スケバンってどんな感じなんだろう”と思いながらオーディションに行ったんですが、“ビジュアルを気にせずにやってください”と言われたので、そこからはかわいらしさと(スケバン風の外見との)ギャップも意識しながら、青春感を意識して取り組みました。いちばん難しかったセリフは、いちばん最後に研二に“ディズニーランド行こうぜ”って言われたときに“気持ち悪っ”って言うところ。ホン読みの時に何回も何回も監督と話し合いました」(駒井)
そして、原作の大ファンであるという前野は「Twitterを通じて『音楽』が起動(映画化が始まっている)しているのは知っていたんです。激熱じゃん、映画館に観に行こうと思っていたんですよ。そう思ってたら大橋さんから“声優をどうですか”というLINEが来て、感激で手が震えちゃって。プレッシャーも感じましたけど、テンションも上がりましたね」と熱弁。
原作者の大橋にとって、自身の作品が長編アニメになったのはこれが初めて。「徐々に完成していくところをずっと見ていたんですが、すごいものができたなと思いました。原作は2005年に、割とパッと描いたんです。だからこっち(映画)が本物みたいな感じです」。大橋の近所に住んでいて、制作中にもコンビニ等でも顔を合わせたという岩井澤監督は「感無量です。一番印象に残っていて、一番大変だったのはフェスのシーン」と語り、実際にステージを組み立てて、動画を撮影して、それをもとに原画を起こした作業について振り返った。
制作期間7年5カ月と15日、作画枚数4万枚超、71分すべて手書き。その情熱のたぎりがロックだ。竹中直人、岡村靖幸、姫乃たま等も出演。ドレスコーズの主題歌「ピーター・アイヴァース」(謎の死を遂げたブルース~ロック~ジャズ界の鬼才と同じ名前だが……)も必聴だ。
テキスト:原田和典
映画「音楽」
新宿武蔵野館にて上映中
配給:ロックンロール・マウンテン
配給協力:アーク・フィルムズ
(C)大橋裕之、ロックンロール・マウンテン、Tip Top