オーディオブランドfinalから、同社の完全ワイヤレスイヤホンの第一弾「ZE3000」のラインナップモデルとなる「『ウルトラセブン』&final ZE3000『ウルトラ警備隊モデル』」が発売された。これは既報の通り、円谷プロと共同開発された製品で、「ウルトラセブン」の世界観をデザイン・機能に落とし込んだファン垂涎のワイヤレスイヤホン。世界限定3000台で、価格はZE3000と同じ¥15,800(税込)となる。

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 ここでは発売に合わせて同製品を入手できたので、そのインプレッションについて簡潔に紹介していきたい。

 まずはデザイン(外観)から。充電ケースのフロントの塗装色は、警備隊ユニフォームのカラーをうまく再現していて、ワンポイントで入るエンブレムは、なかなかに所有感を満たしてくれる仕上がり。イヤホン本体についてはヘルメットカラーがあしらわれており、ケースに収納した状態で眺めると、ウルトラアイのようにも見えてきて、ファンには二重に歓喜したくなるような出来栄えとなっている。箱も同様の仕上がりで、永久保存しておきたくなる。

 蓋を開けてイヤホンを取り出すと、平成「ウルトラセブン」シリーズでハヤカワ隊員を務めた鵜川薫の声で音声ガイダンスが流れてくる。8種類が用意されているが、当初は出てこないガイダンスもあったので、はてどうしたものかと思ったが、いったん製品をリセットしたら、出てくるようになった。「ペアリング完了しました!」が出てこない場合は、本体リセットをした方がいいかもしれない。

 さて、ここからは音質について紹介したい。メーカーではZE3000と同じと謳うが、実際に聴いてみるとメリハリがついているようで、その音調は多少異なっている。組み合わせたプレーヤーは、Astell&Kernの「A&ultima SP1000」で、ワンポイントでソニーのウォークマン「NW-A106」も使ってみた。

 中高域はZE3000に比べて少し伸びている(強調している)ようで、本セブンモデルでは、高域が少し賑やかになる印象で、反面、ボーカルの再現性は少し薄くなる(弱くなる)ようにも感じた。高域が伸びているからか、定位感は少し上がり、ZE3000が目の奥ぐらいだったものが、セブンモデルではおでこの奥ぐらいに音像が存在する感じとなる。

 一方、低域についても少し強調されているようで、ZE3000に比べると、同じ曲を聴いても(低音の)存在感は増しているように感じる。ただし抜け感はよく、こもる印象はない。音場感についてはZE3000と同様、横方向にはあまり広くないが、上方向に少し拡大している印象も受けた。

 以上はCDクォリティのコンテンツで、次にハイレゾを再生してみると、音の粒立ちが繊細になり、空間(音場感)の広がりが増すのも如実に把握できるし、ボーカルにしっとりとした質感がプラスされるのも分かった。音の重心は少し下がるようだ。コーデック(aptX)が変わるわけではないが、コンテンツが持つ情報量を、うまく再現している感じだ。

 パーツやチューニングは変えていないということなので、オリジナルZE3000と比べてこれだけの音に違いがあるということは、外装=塗装の違いが影響しているのかもしれない。梨地処理で手に馴染む感触だったZE3000に対し、セブンモデルはツルツルで滑りやすく、ケースからの取り出しも滑ってしまうし、耳への装着時も滑りやすく落としやすくなっている。

 ちなみに、プレーヤーをA106に変えたところ、その再現性の変わりようにびっくり。これまでの他社モデルのテストと比べるとかなりの変化で、音数というか細かい音の再現性はグッと減り、大味なサウンドになってしまう。ボーカルと低域が強調されるようで、ある意味メリハリの効いたサウンドとなっていた。つまりは、セブンモデルはプレーヤーの違いを的確に描き分ける再現性を持った完全ワイヤレスイヤホン、と言えるだろう。