8月31日〜9月5日まで、ドイツのベルリンで開催された「IFA 2018」。スマホやAIスピーカーから高級オーディオ機器まで揃う、国際コンシューマ・エレクトロニクス展となる。
今回もお馴染の麻倉怜士さんがIFAに参加。StereoSound ONLINE読者が気になるアイテムを、麻倉目線でピックアップしてくれた。以下に各リポートをまとめてみたので、じっくりチェックしていただきたい。
「シャープの製品デザインは少しコンサバ。もっとスタイリッシュにしたい」。 SHARP UMC(シャープのヨーロッパ子会社)のバイス・プレジデントSascha Lange氏が、8月29日に開催されたシャープのプレス・カンファレンスで言及した。その心はイタリアの有名なデザインハウス「ピニンファリーナ(Pininfarina)」との提携だ。 ピニンファリーナデザインのテレビ。脚に色を配して、パネルとの素材感の違いを演出している 会見会場では、ピニンファリーナがデザインを手掛けたテレビ、オーデ...
遂にパナソニックが「テクニクス」ブランドでSACDに進出。 テクニクスブランドで、ついにパナソニックがSACDプレーヤー(画像上段)のプロトタイプを発表。DVDオーディオとの戦争は過去の話となった 20年近く前、ポストCDフォーマットとしてパナソニック(当時は松下電器)が押すDVDオーディオと、ソニーが押すSACDが争い、結局、DVDオーディオは敗退し、SACDが勝った。とはいえ、SACDがポストCDのメインフォーマットになったのかというと、実情はそれほどのことでもない。 がしかし、ハ...
音場がきわめて広く、低音の塊感が充分に感じられる 昨年のIFAではテクニクスブランドのCDドライブ一体型スピーカー内蔵/一体型ステレオシステムの「SC-C70」が話題だったが、今年は、その弟分の「SC-C50」が登場。ペットネームは“OTTAVA S”だ。CDドライブは省かれたが、技術的には音場再生、低音再生に特にこだわった構造設計、ユニット設計、音づくりがなされている。 特に注目は「ベルリン・フィルモデル」。パナソニック(テクニクス)が、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と協業を開始...
いわゆるスマートスピーカーは、声でのやり取りを通じて生活を便利する「情報スピーカー」なのだが、声機能が、本格的なハイファイスピーカーに入ってはいけないという決まりはない。 IFAのハーマンブースの奥深くに展示されているのが、「Citation」シリーズのハイレゾ対応ワイヤレススピーカーだ。 Citationは数多くのスピーカー製品を抱えるHarman Kardon(ハーマン・カードン)の中で、ミドルハイクラスのステイタスを持つシリーズ。液晶のタッチスクリーン、クロームキャスト、Goog...
ビクター(JVCケンウッド)のプロジェクターづくりには、ふたつの法則がある。 ①まずはハイエンドのB to B用に先端映像技術を開発し、数年を経て家庭用に移管する。 ②家庭用では数年に一回、画期的な技術アドバンスを成し、それも数年掛けて移管 −−である。マーケティング用語では「スキミング戦略」もしくは「展覧会戦略」という。 e-shift・8Kの「DLA-NX9B」 今回のIFAでは、「8K」「ネイティブ画素数」のふたつで、これが見られた。ビクターはNHK技研とのコラボレーションにて、...
「音の常識を超えた、新しい次元の音をつくりたい。イメージをまったく、根底から変える製品をつくりたい」と、桑原英二(V&S事業部商品設計部門商品技術1部2課)は、言った。 その結果、開発されたのがフラグシップイヤホン「IER-Z1R」だ。ソニーの音のクライテリアをマークするシグネチャー・シリーズで初のイヤホン。私のインプレッションは、掉尾に記すが、まさに「イヤホンの音はこんなもの」というこれまでの常識を一変させる、ここまでの再現性を持つのかと刮目した。 フラグシップイヤホン「IER-Z1R...
日本のオーディオメーカーでは、オンキヨーグループが今回のIFAから姿を消したのとは対照的に、ヤマハブースは大躍進。毎年、訪れるごとにブースが広くなっている。 プリアンプ、C-5000 これまでも「ヤマハ=音楽会社」というイメージづくりのために、オーディオとピアノなどの楽器を同一ブース内に置いていたが、今回はブース自体が拡張されたので、今やオーディオと楽器が隣り合った別ブースとなった。来年はさらに拡張する計画で、第1ホールのオーディオハピリオンの入り口はヤマハで占拠されるだろう。 日本メ...
ドイツのヘッドホンメーカーの話題の新製品は、意外にも音が空中に放出されるサウンドバー、それも立体音響の「3Dサウンドバー」だ。視聴したが、サウンドバーなのに、立体的に音場が形成され、方向性・音場密度も予想外に素晴らしいではないか。 名称は「AMBEO Soundbar」。AMBEOはゼンハイザー独自の「3D技術プログラム」だ。再生環境だけでなく、録音、伝送、再生の各分野で独自技術を展開するのがAMBEO。3Dサウンドバーはその一環である。 ドイツの研究機関「フラウンフォファー」と共同開...
ソニーがIFAで発表したデジタルオーディオプレーヤー兼ヘッドホンアンプ「DMP-Z1」には、これまで体験したことのない音の凄みがある。 初めに、私のインプレッションから述べよう。きわめて微細なディテイルまで音の情報量が豊富だ。特筆すべきは低域から高域まで速度が揃っていること。一般に低域は遅れがちになるが、それが中高域と同じハイスピードで進行することは、驚異だ。 その結果、音の鮮明度がひじょうに高く、内声部までクリアーに見渡せる。ヘッドホンながら音場の広さと共に、細部の音像まで凝縮感を持...
IFAでは毎回、パナソニックと共にベルリンのコンサートホール「フィルハーモニー」を訪れ、両者の協業の内容と成果を取材している。今回は同社がサポートしているコンサートストリーミングサービス「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」の現状と、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ベルリン・フィル)側がパナソニック(テクニクス)の技術者に施している耳の訓練の内容、テクニクスブランドのステレオ製品への音質アドバイスについて取材した。 ベルリン・フィルメディア・マネージングディレクターのロバー...