コンデンサーによるローカットのみで、ヴィンテージJBL製15インチフルレンジユニットD130とホーントゥイーター075を組み合わせ、現行/ヴィンテージのコンデンサーの種別と銘柄による音の違いを探る。コンデンサー種別の考察と使い方のガイドも盛り込む実践試聴企画だ。

コンデンサーの基本構造とクロスオーバーネットワークへの適用

 コンデンサーの容量は、クロス周波数(5kHz)とユニットのインピーダンス(16Ω)から計算で、2μFと決まる。コンデンサーの定格は、静電容量と耐電圧(耐圧)で決まる。耐電圧は、インピーダンス(16Ω)と取り扱う電力から決まるが、今回は余裕を見て最低50V以上は必要だ。

 それでは、どのようなコンデンサーを選べばよいのだろうか。今回の使用する回路では、コンデンサーはトゥイーターと直列につながれており、アンプからの交流信号電圧がかかり、交流信号電流が流れる。つまり、交流信号電流にも耐えることが必要だ。また、コンデンサーに交流信号電圧がかかると、コンデンサースピーカーの原理で振動が発生する。

 コンデンサーは、誘電体を電極ではさむ構造が一般的だ(第4図)。静電容量は、電極の表面積および誘電体の比誘電率に比例し、誘電体の厚みに反比例する。誘電体の材質は、電気絶縁性が必要で、耐電圧と交流電流を流した時の抵抗分に当たる誘電損失を決める重要な要素だ。

 今回の用途では、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレート[PET、マイラー]、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)、絶縁紙(MP、オイルコンを含む)、マイカ(スタック、シルバード、SEなど)、セラミック(チタン酸、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム系など)、電解酸化膜(電解コンデンサー、湿式/個体、Al、Ta、Nbなど)があり、電極は、箔型(Al、Sn、Cuなど)、蒸着型(Zn、Al、Agなど)がある。現在ではプラスチックフィルム系が主流で、オイルペーパー、MP(メタライズドペーパー)が使用されている。

第4図 一般的なフィルムコンデンサーの構造図

 構造としては、ロール状に巻き取った巻回型と電極を重ねた積層型があり、構造的にインダクタンス分を含む誘導型と無誘導型がある。また、用途により構造に工夫したものもある。交流モーターの進相用、交流電源の力率改善用など交流用(耐電圧はAC電圧表記)は、大きな交流電流に耐え、振動しにくい構造となっている。スイッチング素子保護のスナバ回路用は、パルス耐電圧が高く、インダクタンス、誘電損失が少ない特徴があるので、ネットワーク用としても適性が高い。

 普通の電解コンデンサーは極性があり、ネットワークには使用できないが、無極性のバイポーラ型電解コンデンサーは、小型で大容量のため、古くはメーカー製ネットワークにも使用されていた。だが、より高性能な大容量フィルムコンデンサーが開発されたため、現在では使用されなくなった。極性のある電解コンデンサーを逆に直列接続して無極性化できるが、直流電圧印加を想定しているので、交流使用では、酸化膜が劣化しやすく、容量抜けや漏れの増加も起こしやすく、寿命が短くなりやすいのでお薦めはできない。

 セラミックコンデンサーは容量の電圧依存性があり振動も大きいことから、また、マイカコンデンサーは大容量製品が少ないため、あまり使用されない。どのコンデンサーを選ぶかは、なかなか難しく、私も今回のように実際に聴いて試すことが多い。