コンデンサーによるローカットのみで、ヴィンテージJBL製15インチフルレンジユニットD130とホーントゥイーター075を組み合わせ、現行/ヴィンテージのコンデンサーの種別と銘柄による音の違いを探る。コンデンサー種別の考察と使い方のガイドも盛り込む実践試聴企画だ。

Part.1はコチラから。Part.3は、2月1日の正午に公開予定です。

ローカットコンデンサーでJBL D130を味わいつくす
――使いこなしの注意点とポイント

岡田 章

 LP盤の復権に伴い、ヴィンテージ機器が醸し出す善き時代のアナログ再生が見直されている。しかし、使ってはみたいが、わからないことがあり躊躇している人も多いようだ。現在では、ヴィンテージ機器の取り扱いや良質な音楽を再生する方法など当時のノウハウが失われつつあり、本来の実力が発揮できていないこともある。しかし、オーディオの基礎がある程度できていれば、いくつかのポイントを押さえ、自分の耳で調整することで、目指す音楽世界にたどり着くことができ、音楽再生の奥深さの片鱗も感じることができる。

 特に大口径スピーカーは、豊かな表情のある低音は魅力があり、ホーン型の中高音は、独特のリアル感の基となっており、往時のアナログソース再生の基盤ともいえる。一方、当時の販売価格やその実力を考慮すると、現在では案外安価になっていると感じている。

 今回は、有名なD130エクステンデッド・レンジスピーカーの魅力を引き出すため、弱点といわれた高音再生の改善を試みる過程で、ヴィンテージスピーカー取り扱いのノウハウ、音質調整法についても触れてみたい。

モノ~ステレオの端境期に登場した名器、D130とはどのようなユニットなのか

 ヴィンテージ機器に最初に触れる場合は、まず定評があり、自分が聴きたい音楽の時代にあったものを選ぶと良い結果が得られるようだ。SP盤時代のジャズも良いが、モノーラル~ステレオLP初期から、1960年代のモダンジャズ発展期にかけての時期は、聴くべき盤が多すぎる。ちょうどこの時代は、「Hi-Fi」に代表されるオーディオ機器の転換期でもあり、後に「名器」といわれる機種を多数輩出している。JBL D130もその一つである。劇場用やモニターで成功し、独立したJames Bullough Lansing(JBL)が設計した初期の大傑作で、1947年の開発当時としては先進的で独特な構造を持つユニットだ。

 15インチ(38㎝)口径で軽くコルゲーションのない浅いカーブドコーン紙を使用し、大口径4インチで(10.2㎝)のアルミリボンエッジワイズ巻きボイスコイルには中高域を受け持つアルミセンタードームを追加している。磁気回路も戦時中にレーダー用マグネトロンにも採用された高性能永久磁石材アルニコⅤを贅沢に外磁型として使用し、WE555やWE755Aと同様に振動板センター部からバックプレッシャーを抜く構造(最初期型はフラットバック)とし、高能率(103dB 新JIS)を達成している。それまでにウェスタン・エレクトリックと深い関係があったので、ほぼ同時期に登場したフルレンジWE728A、WE756Aなどの設計思想も取り入れているが、JBL独特の設計は素晴らしく、その後長く愛用され、改良(15Ω→8Ω)し、D130Hは1980年代初頭まで製造された。

 力があるが軽快に響く中低音部の独特の魅力には定評があり、このユニットのみでも案外バランス良く音楽を楽しめる。低音域/高音域のバランスに優れ、かまぼこ型の周波数特性で、WE555に大型カールホーンを付けたフルレンジと同様に濃密に100Hzから5kHzを再生しているためだと考えられる。開発当時は、音源は主にSP盤とAMラジオで、スクラッチノイズ等8kHz以上の高域が減衰した方が有利だったことも要因だと思う。しかし、現在の広いジャンルの音楽に対応するためには、D130の周波数レンジが狭いことは否めない。使っているうちに高音域を伸ばしたくなることも多いようだ。

フルレンジとしてのD130の魅力を生かし、いかにして不足がちな高音域を伸ばすか

 D130の一般的な箱での実測周波数特性は、概ね60 Hz付近から2kHzくらいのピークまで緩やかに上昇し、それ以上は−6dB/oct程度で緩やかに6kHzまで減衰し、それ以上の周波数はカットされている。ヴァイオリンの倍音やシンバルの響きを再生するためには、高音域を10kHz程度まで伸ばしたい。そこで、高音域専用のトゥイーターの追加を考える。まず、D130の周波数特性と音色から、クロスオーバー周波数を想定し、トゥイーターを選択する。D130の良さは、フルレンジとして再生帯域内で素直で音色が揃っていることなので、それを生かしたい。また、軽快で歯切れのよい低音部の音質と合うものが良い。そのような条件から、D130をフルに活用し、クロスは高め、落ち着いた音色のドーム型やコーン型よりホーン型で選択する。クロスは、

 D130が2kHzくらいから落ちてきているので、1kHzから3kHz程度の範囲で可能だ。また、ホーン型でも音色が振動板、メーカーによっても傾向が異なるので、アルミ振動板の同メーカーのJBL製品から選択する。クラシックならフェノリック振動板のジェンセンRP302等も候補になる。クロス1.2kHzでは有名な175DLHが候補になるが、今回はD130の良さを最大限活用したいので、クロス2.5kHzとしたい。

 候補として、この帯域で使用できるユニットとしては075、2402、2403、2405、076、077がある。この中では、設計時期が近い075との相性が良いだろう。075の実測周波数特性は概ね、2.5kHzから6kHzをピークに15kHzくらいまでの山型で特に2kHz以下は急激に減衰している。トゥイーターを追加する場合の注意点として、インピーダンスの整合と低音ユニットよりトゥイーターの能率が高い方がアッテネーターで調整がしやすい。075の能率は110dB(4kHz 新JIS)で適合する。