コンデンサーによるローカットのみで、ヴィンテージJBL製15インチフルレンジユニットD130とホーントゥイーター075を組み合わせ、現行/ヴィンテージのコンデンサーの種別と銘柄による音の違いを探る。コンデンサー種別の考察と使い方のガイドも盛り込む実践試聴企画だ。

・Part.2は、1月30日の正午に公開予定です。

フルレンジの音を生かしながら高域を伸ばす。純正クロスオーバーネットワークを確認し、コンデンサー1基のローカットで音を作る

事前テスト編

新 忠篤/岡田 章/杉井真人

──今回は、JBLの15インチフルレンジユニット名機D130をフルレンジで使いつつ、再生帯域を伸ばす目的で075トゥイーターを追加し、クロスオーバーネットワークを使わずコンデンサーだけで繋ぎます。そして、ローカット用コンデンサーを替えることで再生音がどう変化するのか、探っていきたいと思います。まず、事前テストとしてD130単体をフルレンジでお聴きいただくところから試聴を始めます。使用するエンクロージュアはアルテック612A(銀箱)です。

 D130を単体で聴いたことはほぼなかったのですが、とても良いですね。「パガニーニ」も上質です。プリアンプのトーンコントロールで調整すれば、それで十分にいい音で聴けそうに思いました。

杉井 もう少しプレゼンスが出てもいいという感じもありますが、クロス10kHz程度でトゥイーターを足して味付けがあれば十分という感じでしょうか。

岡田 「ブルーベック」(試聴ディスクは後掲)を聴いてよく分かりましたが、D130は15インチ口径のユニットにしてはそれほど下まで伸ばしていません。低域と高域をうまく落として、中域の音を美味しく聴かせる。改めて完成度の高いフルレンジユニットだと思いました。

 「ブルーベック」のCD-R音源を作るときに、ステレオカートリッジの原器といえるウェストレックス10AでLPを再生していることもあると思いますが、本物に近い音だと思いました。

JBL D130+075+アルテック612A

15インチフルレンジユニットのJBL D130をアルテック612A(銀箱)にマウントし、天板上に075トゥイーターを載せて試聴を行なった。接続方法は上図の通りである。試聴時はアッテネーターとプリアンプのボリュウムは固定、トーンコントロールはフラットにした状態で、C6のローカット用コンデンサーを繋ぎ替えて音の変化を探った。

JBL D130(16Ωタイプ)

D130はジェームズ.B.ランシング自身が設計し、1947年に登場した15インチフルレンジユニット。現在まで連綿と続くJBL製スピーカーユニットの源流にあたる。当時のアルテックや、前年に発売されたD101では3インチ径ボイスコイルを採用していたのに対し、D130では4インチ径ボイスコイルを採用している点が特徴。アルミのセンターキャップにより「エクステンデッド・レンジ」の名にふさわしい広帯域再生を可能にしている。初期型はバックカバー形状が平らなフラットバック仕様で、1953年頃に鋳鉄製のエッジが丸い形状に変わり、高域のレスポンスが向上した。その後も仕様変更を重ねながら、1980年頃まで販売されていたロングセラーモデルである。

JBL 075(16Ωタイプ)

左から新忠篤氏、岡田章氏、杉井真人氏