7 │ アルテック 601A
宝石のような輝かしさと、しっとり感。優れた同軸型の本領を引き出せる
【Vintage/30cm同軸】
アルテック 601A
1948年発売の600BをLF部とし、HFユニット3000Aをマウントして同軸型とすることで1952~1957年の間に販売された。LF部は3インチ径ジュラルミン製エッジワイズ巻VC、HF部はジュラルミン製タンジェンシャルエッジ振動板+3/4インチ径ジュラルミン製エッジワイズ巻VCであるが、この仕様も601Bの初期型までとなり、それ以後のモデルは大幅に仕様が異なる。(杉井)
土井 先程のJBL D123は強めに締め付けていましたが、このアルテック601Aではメインのバッフルとウィングを繋ぐ縦3本のボルトナットを緩めました。どこを緩めるかはそれほど重要ではありません。音を聴きながら見当を付けて順に緩めていくわけです。高域のアッテネーターは0dBに設定にしてバランスをとりました。
新 ユニットが同軸2ウェイになり、音に素晴らしい輝きが加わりました。調整しながらローカットフィルターのコンデンサーなし、高域のアッテネーターを0dBの状態で鳴らしていますが、その効果は大きいでしょうね。
土井 そうですね。ここではアッテネートしないで鳴らすのがベストの状態でした。
杉井 601Aは個人的に思い入れのあるユニットです。アンプがアルテックということもあってか、「アルテックってどんな音?」と聞かれたときに「こういう音です」と聴かせたくなるほど典型的なアルテック・サウンドでした。614エンクロージュア入りだったり、あるいは家庭用でも使われる傾向があったユニットですが、同軸型として実に優秀なユニットだと思っています。アルテックにはもう少し派手な音をイメージする方が多いかもしれませんが、このユニットで聴けるのが私にとってはど真ん中のアルテックらしい音。2ウェイだから高域が伸びているはずなのですが、独特のしっとりした音に繋がっているんです。
「サン゠サーンス」は高域を誇張しないシックで上品な音。「エリントン&ベイシー」もエネルギーを押し出すというより、独特の陰影感がしっとりと出る。グッドマンAXIOM80とJBL D123を足して2で割った感じの音、と表現することもできるかもしれません。「ちあきなおみ」も同様で、内に秘めたエネルギー感が好印象でした。家庭で聴いてもやかましくならないので、使いやすいユニットです。ほとんどの個体がトゥイーターにダメージがあるのが難点でしょうか。
土井 想像していた通りの音でした。このユニットは3000Aトゥイーターの完成度が高いんです。ちょうどいいバランスで働いているというか。「サン゠サーンス」は輝かしくゴージャスで開放的。ピアノも宝石が散りばめられたような音でした。「エリントン&ベイシー」はピアノの立ち上がりが速く、ベースはJBL D123に比べると軽やか。いかにもアメリカのビッグバンドの音といえる再生が楽めました。
「ちあきなおみ」は、ギターも歌もストリングスも申し分ありません。バランスの良い「ちあきなおみ」でした。ただ、個人的にはJBL D123での再生の方が好みですね。601Aは指定箱でうまく鳴らすとこういう音が出るんですが、もしかすると756Bと同様に平面バッフルの方が音作りは楽なんじゃないかという気もしました。
杉井 601Aはフルレンジの600Bに3000Aトゥイーターを付けたユニットです。ネットワークのつながりに違和感のある方は、600Bを選ぶのもありではないでしょうか。
8 │ ウェスタン・エレクトリック 728B
ユニットの格が上がった片鱗が見える。WEアンプでまだまだ鳴りそうな感触
【Vintage/30cm】
ウェスタン・エレクトリック 728B
WE 728Bの登場はWE756A、754Aと同様1947年である。本機の主な用途にはモニター用で有名な757Aシステム(713CレシーバーとKS12027ホーンの組合せによる2ウェイシステム)がある。しかし757Aシステムは生産数が少なく、最近では目にすることがない。仕様はボイスコイルインピーダンス4Ω、再生周波数特性60〜10,000Hz、最大入力30W。またボイスコイルは銅ラウンドワイヤーの2層巻きが採用されている。エンクロージュアは密閉箱が推奨されている。(土井)
土井 ボルトナットはすべてアルテック601Aよりも強めに締めました。アルテック1520Tパワーアンプの出力端子は4Ωに変更しています。
新 アルテックの同軸2ウェイに続けてWEのフルレンジを聴いたわけですが、555ドライバーと15Aホーンでフルレンジ再生したときの音のイメージです。しかし、レンジ感からいっても、まだまだ鳴るはずだと思いました。この先の音がまだあるなと。その印象は、どの曲を聴いても同じでした。
杉井 私も、音が少し晴れないというか、これが本当に728Bの音かなあという感じが残りました。今回の平面バッフルは、総じて響きを生かす鳴り方に作用したように思うのですが、この728Bに関しては響きが本来の音を曖昧に感じさせるというか。やや焦点が定まらない音になったように感じましたね。特に「エリントン&ベイシー」を聴くと、低音が膨らんで制御しきれていない印象です。密閉箱でないとマッチしにくいユニットなのかなと。同じWEでも754Aならマッチしたかもしれませんね。
平面バッフルの背面に吸音層を作ってみると、余分な響きが消えるのかもしれないし、WEアンプと組み合わせることで、印象はまたかなり変わったりするのかもしれません。
土井 私は最初にこの組合せで音を出したときに1520Tでは役不足だと思いました。これまでの組合せではうまくバランスがとれていたのですが、この組合せではユニットとアンプが釣り合っていないんです。ただ、悪いわけではありません。
「サン゠サーンス」は音楽がひじょうにゆったりと進むようで、他のユニットとの次元の違いを垣間見ることができました。音数は少ないのかもしれませんが、表現の丁寧さ、演奏の巧さの表し方は際立っていたと思います。「エリントン&ベイシー」も曲の流れがゆったりとスムーズで、演奏に一体感がありました。しかも、左chのベイシーと右chのエリントンのバンドが火花を散らして戦う様子が感じられるんですよ。これまでの組合せでは両者の対決を意識することはなく、むしろ和気藹々とソロを分け合っていたように感じていたんです。「ちあきなおみ」も出だしのギターが情緒的な演奏で、ひじょうに懐が深い。歌い方もいかにもちあき節でいいなあと感じさせます。これでパワーアンプがWE143だったりしたら、別世界になるんじゃないかなという気がします。
新 その通りだと思いますね。
土井 それでも、ここまでのユニットはランクが違うという片鱗は見えるんですよね。