5U4G/5U4GBの変遷と差し替えの注意点
岡田章
UX280/80を原点に5U4GBは50年代に登場。電極電圧を測定し、定格内の正常動作を確認して差し替える
今日、整流管の使用が見直されている。最近の進んだ半導体素子に比べれば、効率は悪く、大型で発熱量も大きい。同じ電源トランスでも、得られる直流電圧は低く、電流にも制限があるので、大きな平滑コンデンサーは使えない。現在、整流管を使用しているのはオーディオ分野とギターアンプのみだろう。それでもなぜ整流管を使用するのだろうか。今回、5U4G/5U4GBの試聴を行ない、その魅力の一端が感じられた。あらためて整流管を使用することについて考えてみたい。
B電源に用いられる整流管は整流素子としての素直な特性が利点
現在、真空管アンプに使用できる整流素子の概要を第1表にまとめた。真空管を動作させるための電源には3種が必要だ。
A電源:フィラメント、ヒーターを加熱するための電源。主に低電圧(6・3V/12・6Vが多い)で交流でも直流でもよい。最初期は蓄電池、乾電池が使用され、トランスレス用では直列にして直接100/115Vから供給することもある。
B電源:プレート、スクリーングリッドに印加する比較的高電圧の電源。主に電源トランスで昇圧した交流電圧を整流し、平滑して供給する。
C電源:コントロールグリッドのバイアスのための電源。主にマイナス電源で、カソードバイアス、グリッドリークバイアスの場合は不要で、固定バイアスの場合には別途電源回路が必要である。最初期は乾電池も使用された。
これらのうち、B電源に整流管が使用されてきた。では、次にB電源用の整流素子の要件について考えてみよう。
整流管では、半波整流、全波(両波)整流回路が使用される。電源の性能は、一般に出力電圧、レギュレーション、平滑度等で評価される。まず出力電圧は、整流素子の電圧降下がもっとも影響する。レギュレーションは、トランス、整流素子、平滑抵抗(チョークなど)を含む直流抵抗の大きさによって決まる。平滑度は、整流後のフィルター回路、コンデンサー、チョークの容量によるが、最近では、トランジスター、FETによるフィルター回路により高度な平滑が可能だ。整流管は内部抵抗が大きく、一般的な電源の性能では、半導体素子には全くかなわない。平滑回路用のコンデンサーの容量にも制限がある。そのため、現在ではほとんど半導体素子にとって代わられた。
それでも真空管アンプで整流管を使用するメリットは何だろうか。それは、整流素子としての特性の素直さにあると考えている。半導体素子では、順方向電圧(VF)特性、逆回復時間(trr)と寄生する静電容量により、整流時にスパイク、高調波など高周波が混入する大きな欠点がある。最近のSiCショットキーバリアダイオードでさえ、ある程度の雑音を発生する。真空管オーディオでは、問題と感じることがあるようだ。
整流管の性能を発揮させ、寿命を伸ばすためには、以下の点に注意したい。
第一に最大定格を守ること。最大プレート電圧(V)、最大直流出力電流(mA)以下で8割程度に押さえたい。
第二に最低プレートインピーダンス(Ω)、最大フィルター入力容量(μF)を守ること。高性能な電源トランスは、直流抵抗が小さいので、各プレートに不足分以上の固定抵抗を入れることが必要で、最大フィルター入力容量も8割程度に抑える方が寿命を長くできる。