●PART.2、PART.3、PART.4はこちらから。なお、PART.2、PART.3、PART.4の記事は、それぞれ1月11日(PART.2)、1月12日(PART.3)、1月14日(PART.4)の12時に公開します。
5V/3Aの直熱整流管5U4G/GB。5U4GBはTV用に数多く作られ入手もしやすい。ヴィンテージ6V6ステレオppで差し替える
新 忠篤/岡田章/杉井真人
機種解説 岡田章/杉井真人
──整流管聴き比べは83号以来、久しぶりの企画です。67号、77号を含めた過去の取材は205F-300Bシングル・モノーラルパワーアンプ、350B単段シングル・ステレオパワーアンプ、600Ω送り出し単段構成ラインアンプ+300B単段モノーラルパワーアンプと、新さんが設計された無帰還パワーアンプで実施しました。
新 これまでは整流管の管種を絞らない試聴でしたが、今日は新旧の5U4G/5U4GBだけを聴き比べるということですね。パワーアンプはヴィンテージの6V6プッシュプル・ステレオ機です。
岡田 5U4G/5U4GBだけの聴き比べというのも妥当なアプローチだと思います。5U4Gと5U4GBは尖頭プレート電流が800mA、1000mAと内部電圧降下が異なりますが、フィラメントの規格は5V/3Aで共通です。初期の国産テレビから整流管を抜くと、5U4GBか東芝の5U4GB相当管の5G-K18がほとんどでした。大きな電流が流れるために劣化しやすいということもあり、5U4GBなどは相当な数が作られました。5U4GBの寿命を伸ばすことがメーカーにとって技術的なポイントのひとつでしたから、超高性能の整流管ともいえます。
出力管2A3の時期にUXベースの5Z3という球がありましたが、それをオクタル管にしたのが5U4Gです。さらに大型の白黒テレビに入れるために、カソードを改良して1954年頃に5U4GBが作られました。最初期の5U4GBのベースのみ、太いカップ(フランジ)型です。
新 NFBがかかった6V6プッシュプル・ステレオ機による試聴は興味深いところです。
杉井 今回はマグナボックス185AAで整流管を差し替えます。標準の整流管は5U4GBです。出力トランスを換装した個体ですが、電蓄でコントロールアンプ部と接続して使われていたものです。175AAというモデルも知られますが、12AX7×1本によるオートバランス型位相反転段兼ドライバー段という回路構成は共通です。185AAは、その前に圧電型カートリッジが直に入力できる7025×1本のフォノ段が入っていますが、今日の試聴機はフォノ段をパスしています。前段1段増幅、RCA型のオートバランスによる古典的な位相反転回路というシンプルな構成で、整流管の音の違いがストレートに出てくるのではないかと期待しています。
ステレオ機で整流管が5U4GB×1本で済むメーカー製ステレオアンプは極めて限られています。電源回路はチョークコイル採用で、フィルターコンデンサーは30 μFです。ラッシュカレントを考えても、5U4Gでも問題ないだろうと。最大出力時のB電流も175mA程度です。
岡田 5U4Gの定格に問題なく収まっていますね。
杉井 電源電圧は5U4GB規定のフィラメント電圧5Vを得るためにスライダックで115Vに昇圧しています。
新 マグナボックスの資料に1959年7月とありますから、ステレオ最初期のアンプですね。ちょうど私は大学に入った頃で、クラブで講堂を借りてステレオレコードコンサートを開いたのを思い出します。確かカートリッジは日本コロムビアから借りたのかな。人も結構集まって、ワルターのブラームス4番など、アメリカのサンプル盤をかけたんですよ。
岡田 見た目で良し悪しがわからないというのも整流管のポイントです。今日は真空管試験機TV7でコンディションを確認しながら試聴を進めます。本来、プッシュプルよりシングルの方が整流管の音が表れやすく、特に低音とピーク感で変化が聴き取りやすいんです。ステレオ構成では整流管の性能が落ちると音が中央に寄りやすくなることもあります。ヴィンテージのプッシュプル・ステレオ機で整流管の音質をどう聴き比べられるか、楽しみです。
左から杉井真人氏、新忠篤氏、岡田章氏
マグナボックス 185AA
試聴ではフォノ段をパスして175AA相当の回路に変更された185AAを使用した。出力トランスもオリジナル品からフェンダー製ギターアンプのリプレイスメント用トランスに換装されている。
マグナボックス社ではモノーラル時代から電蓄・ラジオ・TV内蔵用アンプとして、出力段に6V6を採用した様々な機種が生産されていた。1956年にまずはTVがステレオ化され、1958年よりステレオ構成の電蓄用のパワーアンプ部が登場すると、前段に7025を1本使用した圧電型STカートリッジ入力部を持つ185AAと、シャーシ・回路ともに共通で、前段の9Pソケット部をブランクパネルで埋め、1本の12AX7によるRCA型オートバランス式位相反転回路段からの入力部を持つメインアンプ部のみの構成とした175AAの2機種が代表的な機種となる。今回は前段部をパスし、RCAピン入力部も備える185AAを使用して試聴した。後に出力段が6BQ5のモデルも登場するが、そちらも整流管は5U4GB×1、あるいは6CA4である。(杉井)
RCA 5U4GB