この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

DAN D'AGOSTINO Relentless 800

驚異的な物量を投入した超弩級モノブロック。
生気に溢れ、目が覚めるほど清冽な音に驚嘆

三浦孝仁

 1980年代からアンプ設計者として知られるようになったダニエル・ダゴスティーノ氏。彼が自ら主宰していたクレル・インダストリーズを辞したのは2009年のこと。2011年に興されたDDMAS(ダン・ダゴスティーノ・マスター・オーディオ・システムズ)は、ハイエンドなエレクトロニクスの最前線に陣取っている。

 ダゴスティーノ氏がデザインするパワーアンプは、一貫して強大な電源部を構築しバイポーラ・トランジスターによるプッシュプル構成。クレル時代のMRAも凄かったけれども、ステレオサウンド試聴室で聴いたリレントレス800は目が覚めるほどの清冽な音を聴かせてくれた。試聴室のB&W801D4シグネチュアがまるで別物といっても過言ではない、実に生気溢れる音で鳴ったのには驚いた。1台のパワーアンプに使われている出力トランジスターは84基(42組)という。写真ではわかりにくいが、モノーラル1台で、横幅が約54.9センチ、奥行き66センチ、高さ26.4センチ、そして重量145キロという巨漢なのだ。大型機にありがちな応答の鈍さや大味なところは皆無で、緻密さと力感を両立している色鮮やかな音で迫ってくるのだから素晴らしい。リレントレス800の音は驚異的な物量投入でのみ得られたわけではなく、高精度なコンプリメンタリー回路の研究や従来よりもハイスピードに動作するトランジスターを試験して採用するなど、音質に貢献する要素や可能性を常に研究してきた結果の産物だという。

 リレントレス800のような超弩級モノブロックは、たとえばギリシャのピリウムやイタリアのオーディア・フライトからも登場している。ハイパワーを必要とするオーディオ環境は少なからず存在する。ダゴスティーノ氏はそんな要求に応えてくれるレジェンドなデザイナーだ。DDMASのリレントレス800は、現代オーディオが到達した傑作であるのは間違いない。

いま聴きたい感動の音60選+α <35>

POWER AMPLIFIER
ダン・ダゴスティーノ「Relentless 800」
価格:問い合せ(受注生産品)
●出力:800W(8Ω)、1,600W(4Ω)、3,200W(2Ω)
●問合せ先:アクシス 03(5410)0071

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