この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

ESOTERIC Grandioso K1X SE

自社設計メカニズムをはじめ独自技術を網羅。
音楽文化への深い理解に立脚する存在

傅 信幸
 毎月定額料金を支払うことで音楽を聴き放題できる「音楽ストリーミングサービス」Qobuzがようやく日本でも始まった。わたしもその恩恵に浸っているので、SACDやCDの購入枚数が最盛期の約1/10へ激減してしまったことに自分でも驚いている。

 かつてはデジタルディスク再生の音に対しては聴き劣りしたネットワークプレーヤーの音だったが、追い付いてきて時には追い越すようにさえなった。進化してきたのだ。安定性も進歩した。ただしネットワーク環境の整備などが必須だ。ユーザーがやらなければならないことがたくさんあるので、汗をかく必要がある。いっぽう、SACDやCDをプレーヤーのトレイに乗せてプレイボタンを一押しするだけで、音楽が部屋に満ちる。ユーザーが整備しなければならないことが、ゼロだ。デジタルディスク再生の有難味を思い知ることになるのだ。

 ターンテーブル搭載メカニズムのVRDS-ATLAS、独自のディスクリート構成DACのMaster Sound Discrete DACなどエソテリックの独自技術を網羅している高級機。2024年ステレオサウンドグランプリを唯一のデジタルディスクプレーヤーとして受賞している。

山之内 正
 CDは40年を超える歴史を刻み、プレーヤーの技術は熟成を迎えている。エソテリックはいまもなおその領域でさらなる高みを目指す数少ないメーカーの一つだが、その探究心が翳りを見せる気配はなく、メカドライブからDAC、クロックまで、着実な進化を積み重ねてきた。その成果をフルに投入したGrandiosoシリーズのプレーヤーは、同社比で頂点を極めたのはもちろんのこと、ハイエンドオーディオ全体を見渡しても世界水準でディスク再生の頂点に到達したと断言できる。

 メカニズムを含む基幹部品を自社で設計・生産できるメーカーが減少するなか、ここまでのハイエンドモデルを持続的に開発できるエソテリックの存在は、音楽文化への貢献という観点からも特別な意味がある。同社がいち早く取り組んだ高音質SACDの復刻もその評価が日増しに高まっており、録音の真価を見きわめる視点の大切さにも思いが至る。特にハイエンドオーディオの世界で高みを目指すのであれば、音楽文化への深い理解と強い共感が重要な意味を持つのだ。

いま聴きたい感動の音60選+α <21>

DIGITAL DISC PLAYER
エソテリック「Grandioso K1X SE」
¥3,200,000(税抜)
●再生可能ディスク:SACDステレオ、CD 他
●問合せ先:ティアック㈱AVお客様相談室 042(356)9235

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