この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

TAD TAD-ME1TX

徹底した技術探求と適材適所の素材選定。
音像の克明さは格別で低音の量感にも驚く

小原由夫
 ジェネレックのスピーカーに入れ替えたばかりの私が言うのもどうかと思うが、私は今でもTADは世界トップクラスのスピーカーメーカーと信じて疑わない。それは、スピーカーシステムとしてトータルにまとめあげる手腕もさることながら、適材適所に独自の材料にこだわる「目利き」的意味合いも大きい。そのひとつが、アイデンティティともいえる同軸構造「CSTドライバー」の「ベリリウム」振動板である。TAD-ME1TXは「エボリューション」シリーズの最小のブックシェルフ型で、初代から10年弱を経ての二世代目のモデルチェンジ機である。

 本機はミッドレンジこそマグネシウム振動板だが、トゥイーターはベリリウム製。しかも上位機と同じ真空蒸着法によるもので、組成がしなやかな反応をする。ウーファーはMACC振動板。このコンビネーションが聴かせる音像定位の克明さとつながりの良さは格別で、キャビネット側面にある独自のスリット形状バスレフポートのスムーズなエネルギー放出も相まって、サイズを感じさせない雄大なスケール感を味わわせてくれる。

傅 信幸
 山形県にあるTADの工場で働く設計責任者にテクニカル的な質問をすると、必ずと言っていいほどノートパソコン上に特性図や設計図面をひらいて、真正面から回答してくれる。技術的に探求することがごく自然であるかのように、まるで習慣であるかのようにまでスピーカーを分析して、深く深く探求しているのだ。

 言い換えれば、真面目なのである。物理的な特性の測定ばかりして、聴くことを忘れているわけでは決してないが、TADスピーカー製品のほとんどが徹底的に真面目な音をしているはずである。

 TAD-ME1TXを聴くと遊びが感じられる。同社としてはコストを抑えたスピーカーだから、技術志向に徹するばかりではない音のまとめ方の狙いがあったのだろうか? 手慣れた設計/造りの同軸ドライバーを搭載、小型なのにビックリさせられる低音が出るのは独自なBidirectional ADSポートの勝利だ。専用スタンドのペア率がとても高いと予想される。

いま聴きたい感動の音60選+α <18>

LOUDSPEAKER
TAD「TAD-ME1TX」
¥1,580,000(ペア・税抜)
※写真の専用スタンド(TAD-ST3TX)別売
価格はシルバーホワイト仕上げ
●型式:3ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●問合せ先:パイオニアカスタマーサポートセンター(TAD相談窓口) 0120-995-823

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