4K UHD BLU-RAY SHORT REVIEW - THE NAME OF THE ROSE ー 短評
| タイトル | 薔薇の名前 |
|---|---|
| 年 | 1986 |
| 監督 | ジャン=ジャック・アノー |
| 製作 | ベルント・アイヒンガー ベルント・シェーファーズ |
| 製作総指揮 | ジェイク・エバーツ トーマス・シューリー |
| 原作 | ウンベルト・エーコ |
| 脚本 | ジェラール・ブラッシュ ハワード・フランクリン アンドリュー・バーキン アラン・ゴダール |
| 撮影 | トニーノ・デリ・コリ |
| 音楽 | ジェームズ・ホーナー |
| 出演 | ショーン・コネリー F・マーレイ・エイブラハム クリスチャン・スレイター エリヤ・バスキン フェオドール・シャリアピン・Jr ウィリアム・ヒッキー ミシェル・ロンズデール ロン・パールマン キム・ロッシ=スチュアート |
| 声の出演 | ドワイト・ワイスト |
ーーWhen viewing this trailer, please set resolution to 1080p/HDーー
| Title | THE NAME OF THE ROSE |
|---|---|
| Released | Aug 19, 2025 (from Second Sight UK) |
| Run Time | 2:11:53.906 (h:m:s.ms) |
| Packaging | DigiPack, Inner print |
| Codec | HEVC / H.265 (Resolution: Native 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible) |
| Aspect Ratio | 1.85:1 |
| Audio Formats | English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz / 24-bit) |
| Subtitles | English SDH |
| Video Average Rate | 81903 kbps (HDR10) / 66 kbps (DOLBY VISION 0.08%) |
| Audio Average Rate | 2026 kbps (DTS-HD MA / 48kHz / 24-bit / English) |
ーー4K UHD SCREENSHOT ーー
中世は壮大なミステリー
1327年、北イタリア。フランシスコ会修道士ウィリアム・オブ・バスカヴィル(ショーン・コネリー)と見習い修道士アドソ・オブ・メルク(クリスチャン・スレイター)が、神学会議のためにベネディクト会修道院に到着した。だがヨハネの黙示録の予言になぞらえたような、不審な連続変死事件に巻き込まれ、彼らは事件の真相に迫っていく。原作はイタリアの記号学者ウンベルト・エーコによるベストセラー推理小説。但し、プロットは大きく異なる。原作は犯人当ての興味をあえて抑え、なぜその事件が起きたのか、背後にある思想は何かなどなど、犯人捜しのプロセスそのものに集中させるための構成(神学、歴史、異端論争、記号論といった膨大な知的対話が圧巻)。全編が隠喩や引用に満ち、エーコが文章の隅々に隠した細工を見抜く面白さも話題となった。
ーー4K UHD SCREENSHOT ーー
対して映画化では殺人ミステリーとしての娯楽性を重視、プロットを簡略化し、132分に凝縮した作りとなっている。エーコも映画クレジットに「原作」ではなく、「『薔薇の名前』というパリンプセスト(上書きされた写本)に基づく」と表記することを提案している。とはいえ、原作から抜け出したような時代のムード、原作の精神を伝えることに成功しており、閉所恐怖症感覚に陥らせる美術セット、とりわけ重要な謎を秘めた文書館の、エッシャー風の迷宮が目覚ましい。ちなみに映画は欧州(特にドイツ)で興行、批評ともに成功を収めたが、アメリカでは失敗。日本では「中世を描いた映画は当たらない」というジンクスを破り、ミニ・シアター公開ながら大ヒットとなった。
私がこの小説の核心的な要素に惹かれたのは、探偵小説と宗教的偽情報の危険性に関する深い考察が融合している点だった。『薔薇の名前』は禁断の書物で満たされた禁断の図書館の物語である。ちなみに、この映画は権威主義体制下の国々、特に東欧諸国で大成功を収めた。人々に知識へのアクセスを禁じることは、人々を操るもっとも確実な方法なのだ。監督ジャン=ジャック・アノー
ーー2011 US. WARNER BLU-RAY SCREENSHOT ーー
ーー2026 UK. SECOND SIGHT 4K UHD BLU-RAY SCREENSHOT ーー
本作品のBLU-RAYは、2011年、ワーナーから米国版がリリースされている(MPEG4・AVC/映像平均転送レート18.97Mbps/北米公開35mmインターポジ使用)。当然ながらLDやDVDと比較すれば遥かに高画質なのだが、DNRの弊害、コントラストと彩度の不安定さ、平坦な解像感が散見される仕上がりであった。2013年に仏TF1がリマスター版(米国版より品質は高い)をリリースした後、いよいよ2024年にフランス(Seven7)とドイツ(Constantin Film)で4K UHD BLU-RAYリリースと相成っている。ちなみにフランス版は映像平均転送レート73.08Mbps(うち88Kbps=ドルビービジョン)音声平均転送レート4.44Mbps(DTS-HD MA5.1)。対するドイツ版は、映像51.7Mbps(NON-ドルビービジョン)音声2.05Mbps(DTS-HDハイレゾオーディオ5.1)となっている。
ーー2011 US. WARNER BLU-RAY SCREENSHOT ーー
ーー2026 UK. SECOND SIGHT 4K UHD BLU-RAY SCREENSHOT ーー
本作品は多国籍による共同製作(フランス/イタリア/西ドイツ)だったため、長年にわたり世界的な配信やリリース権利を巡る複雑な問題を抱えていた。その間、35mmオリジナルカメラネガはドイツのコンスタンティン・フィルムの管理下で、適切な環境で保存され続けていた。欧州地区の権利問題が解消した後、修復プロセスが本格始動、コンスタンティン・フィルムの主導のもと、35mmオリジナルカメラネガからの4Kスキャン/レストア/HDRグレーディングが行われている。ネガ洗浄・補修、4Kスキャンとデジタルレストアは、ミュンヘンに本拠を置くシネポストプロダクション(旧:バヴァリア・フィルム・ポストプロダクション)社が担当。HDRカラーグレードは、イタリア・ボローニャにある修復専門ラボ、イマージネ・リトロヴァータ(L'Immagine Ritrovata)が務めている。公開40周年を記念してリリースされた本盤は、2024年4KレストアDSM(DPXファイル)を採用したものになるが、発売元のセカンドサイトは新たなカラーグレーディング(補正)を施している。
ーー2011 US. WARNER BLU-RAY SCREENSHOT ーー
ーー2026 UK. SECOND SIGHT 4K UHD BLU-RAY SCREENSHOT ーー
(『薔薇の名前』の修復に関して)ボローニャを訪れた際に初めて知った。当時のドイツ人プロデューサー、ベルント・アイヒンガーの後継者たちが、私に何も知らせずにドイツの研究所で『薔薇の名前』の修復作業を行うことを決定していた。しかし、文句を言うつもりはなかった。修復は素晴らしい出来栄えだったから。以前にも増して美しい自分の映画を再発見した。オリジナルネガはノイエ・コンスタンティン社(旧社名/現コンスタンティン・フィルム)が所有するもので、オリジナルネガから修復されたのは今回が初めてだ。監督ジャン=ジャック・アノー
ーー2024 FR. SEVEN 7 4K UHD BLU-RAY SCREENSHOT ーー
ーー2026 UK. SECOND SIGHT 4K UHD BLU-RAY SCREENSHOT ーー
新たなHDRグレード版となる本盤と仏版(比較/同・独版)の差異は大きいものではないが、明らかに全編を通じて表現力に勝った映像を視認できよう。エンコードに関しては、圧縮アーティファクト、バンディング、その他の不具合といったデジタル異常は一切ない。
ーー4K UHD SCREENSHOT ーー
粒状感は昼夜のショットによって幾分異なるが、ディテイルやテクスチャ表現は非常にナチュラルで、肖像画のようなクローズアップから絵画的なロングショットに至るまで破綻がない。奥行きや立体感の再現も優秀。霧、スモーク、逆光やフレア光源は、長焦点レンズ使用のショットでシャープネスを遮ることがあるが、これは映画の視覚デザインの一部だ。ドルビービジョンは暗部と陰影部に深みを与えているが、ハイライトを抑制しているため、これまでより暗い印象を与えている。彩度の低いアースカラーと冷たい青い光で統一したカラースキームが映え、冷たく乾燥したムードを増幅している。低体温の肌色も優秀。欠点はいくつかあるが、特に気になったのは蝋燭の炎の外炎(もっとも色温度が高い)が強く表現されすぎることか(赤橙)。またオープニングとエンディングのクレジットはデジタルで再現され、エンドタイトルは独語表示となる。
ーー4K UHD SCREENSHOT ーー
本編の音響エンジニアは、オスカー候補となった『U・ボート』や『アメリカの友人』『ネバーエンディング・ストーリー』などで知られるドイツ出身のミラン・ボー。新たにリマスターされた5.1サラウンドトラックを収録。サウンド品質に関しては、仏版UHD BLU-RAYが上回っているように感じる。とはいえ高効率エンコードされた5.1サラウンドトラックも良好だ。明瞭でシャープ、中音域も滑らかで存在感がある。40年前のサウンドゆえにDレンジは抑制されるが、耳障りのない美しい周波数帯域を提供している。サウンドステージはフロントヘビーではあるものの、重要な効果音や音楽がフロントアレイ全体に広く深く広がっていく。リアスピーカーへ広がる音楽や環境音のアンビエントの効果も良好。静寂なシーンの解像感も高い。音楽・効果音に比べ、わずかにダイアローグが後退するレベル・バランスが惜しまれる。
ーー4K UHD SCREENSHOT ーー
UHD PICTURE - 4 /5 SOUND - 4 /5
THE NAME OF THE ROSE:LIMITED EDITION(SECOND SIGHT 4K UHD ALL REGION / BLU-RAY REGION B)