死霊伝説（1979）【世界映画Hakken伝 from HiVi】

海外盤発売情報
米国盤『死霊伝説（1979）』2026年3月31日リリース

SALEM'S LOT - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY VISION
4K DIGITAL RESTORATION

アロー･ビデオから届いた4K UHD BLU-RAY『死霊伝説』（1979）リリース･アナウンス。110分劇場公開版と183分オリジナルTVミニ･シリーズ版（aka. 完全版）を収録。いずれも35mmオリジナルカメラネガからの4Kデジタルレストア／HDRグレード。HDRはHDR10とドルビービジョンHDRをサポート。サウンドは2014年リマスター･オリジナルMONOトラックを収録。

この町には近ずくな！　恐しい事件が待ちうけている ――

作家ベン･ミアーズ（デヴィッド･ソウル）は、25年ぶりに故郷セーラムズ･ロットに戻って来た。丘の上には悪しき噂の絶えない不気味な屋敷マーステン･ハウスがあり、この町と屋敷をテーマにした小説を執筆することが目的であった。屋敷の最初の所有者ハビー･マースティンはそこで自らの命を絶ち、ミアーズは屋敷でハビーの幽霊を見たという幼年期のトラウマを抱えていた。ミアーズが屋敷を借りようとしたところ、すでに町にやって来ていたリチャード･ストレーカー（ジェームズ･メイソン）なる人物が購入していた。ストレーカーは、彼のストレーカーのビジネスパートナーであるカート･バーロウと骨董品店を開く予定だという。仕方なくミアーズは町の下宿に滞在することになり、そこで地元の女性スーザン･ノートン（ボニー･ベデリア）と親しくなる。そんな折、町に住む少年の失踪事件が発生、それを機に不可解な事件が相次いで起こり始める･･･。

原作はスティーヴン･キングの傑作吸血鬼小説『呪われた町（邦題／1975年刊行）』。これをテレビ脚本家で『明日に向って撃て！』『キャリー』のプロデューサーであるポール･モナシュが脚色、世界中で大反響を巻き起こした『悪魔のいけにえ』のトビー･フーパーが監督を務めている（初のメジャー作品）。『呪われた町』が出版されるや、早々と映画化権を取得したワーナーであったが、満足いく映画脚本が仕上がらず、しばらくプロジェクトは停滞してしまう。プロデューサーのリチャード･コブリッツは、原作小説の長さから、長編映画よりもテレビ（ミニシリーズ）の方が適していると判断。モナッシュは原作の大筋を踏襲しつつ、いくつかの要素を変更して脚本を完成させている。製作費400万ドル。撮影日数は実質37日間。通常の4分の1の時間で、しかも海外マーケット用の別ショットも撮り上げている。本作品は1979年11月にCBSで初放送（2夜連続）。予想を上回る好評を得て、放送後数年でカルト的な人気を獲得。その後の吸血鬼映画に大きな影響を与えている。ポストプロダクションでは国外での劇場公開用に110分の短縮版（1.85:1トリミング）も制作され、後にパッケージソフト化されている（LD／DVD／BLU-RAYでは183分版を収録）。1987年にはラリー･コーエン監督による続編『新･死霊伝説（A Return to Salem's Lot）』が劇場公開。またリメイク作『死霊伝説 セーラムズ･ロット（2004）』『死霊伝説 呪われた町（2024）』も製作されている。

撮影は『ジョニーは戦場へ行った』『デリンジャー』のジュールス･ブレンナー。ARRIアリフレックス35 ⅡAほか／球面レンズ／1.33:1フルフレーム撮影（劇場公開版はソフトマット1.85:1）。音楽はシカゴ生まれのピアニスト兼作曲家で『わが恋は終りぬ（オスカー受賞）』『歌え！ドミニク』などで知られるハリー･サックマン（本作品が遺作）。伝統的なゴシックホラーの慣習に則り、ミニシリーズの二部構成に合わせた約100分のオーケストラ･スコアを披露している。音響エンジニアは『ホットスタッフ』『ロンリー･ブラッド』のロン･クラーク。

この作品では生々しい暴力よりも、微妙な心理的恐怖を優先することがテーマであった。だが、複雑なポストプロダクション効果に頼る時間も、予算もなかった。特殊効果でミスをする時間もない。しかも放送に適した、リアルでありながら、抑制されたゴア描写を実現しなくてはならない。そうした制約の中で多くのアイデアが生まれた。たとえば浮遊する子供の吸血鬼のシーンでは、普通のタイタンクレーンを使い、その先端に長い棒を取り付け、ボディハーネスを装着した若い俳優の背後から固定した。こうすることで、彼を部屋に押し込むと同時に、体の動きをコントロールすることができた。棒が映らない限り、俳優の動きに自由度がある。上から吊るすワイヤーがないので、独特の浮遊感を出すことができた。そしてスモークを噴出させ、逆回転撮影を行った。非常にローテクな特殊効果なのだが、生々しい緊迫感を生み出し、ハンドヘルド（手持ち撮影）とライティングによって、方向感覚を失わせるような恐怖感を増幅させている。その結果、テレビ映画史上もっとも記憶に残るホラーシーンのひとつを生み出すことができた。フランク･トロ（特殊効果コーディネーター）

（1970 年代のテレビ映画に、新進気鋭のホラー映画監督を起用したことについて）いくつかルールがあると思う。まず、テレビの監督経験がなく、おそらく組合映画の監督経験もないが、組合に属さない長編映画を監督した経験のある監督を探すこと。（『クリスティーン』で起用した）ジュン･カーペンターの場合は『ダーク･スター』と『要塞警察』、トビー･フーパーの場合は『悪魔のいけにえ』だ。何よりも、視覚的な監督、セリフや従来のカメラワークではなく、カメラを通して物語を伝える術を知っている監督を選ぶ。カメラにズームレンズはつけたくないし、カメラは動き続けたい。残念ながら、それがテレビのやり方になってしまった。だから私は、短い撮影スケジュールで短編映画を作ろうとしている。リチャード･コブリッツ

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