4K UHD BLU-RAY SHORT REVIEW - FROM THE WORLD OF JOHN WICK: BALLERINA - 短評

タイトルバレリーナ:THE WORLD OF JOHN WICK
2025
監督レン・ワイズマン
製作ベイジル・イヴァニク エリカ・リー チャド・スタエルスキ
製作総指揮キアヌ・リーヴス ルイーズ・ロズナー ケヴァン・ヴァン・トンプソン ケイリー・スモーリー・ロモ シェイ・ハッテン
脚本シェイ・ハッテン
撮影ロマン・ラクールバ
音楽タイラー・ベイツ ジョエル・J・リチャード
出演アナ・デ・アルマス キアヌ・リーヴス アンジェリカ・ヒューストン ガブリエル・バーン ランス・レディック カタリーナ・サンディノ・モレノ ノーマン・リーダス イアン・マクシェーン

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TitleFROM THE WORLD OF JOHN WICK: BALLERINA
ReleasedSep 09, 2025 (from Lionsgate Films)
Run Time2:04:39.471 (h:m:s.ms)
PackagingSlipcover in original pressing
CodecHEVC / H.265 (Resolution: Native 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible)
Aspect Ratio2.39:1
Audio FormatsEnglish Dolby Atmos (48kHz/24bit/Dolby TrueHD 7.1 compatible), Spanish Dolby Digital 5.1, French Dolby Digital 5.1
SubtitlesEnglish SDH, French, Spanish
Video Average Rate67727 kbps (HDR10) / 6687 kbps (DOLBY VISION 9.87 %)
Audio Average Rate4837 kbps (English Dolby Atmos / 48kHz / 24bit / English)

4K UHD SCREEN SHOT

復讐が舞う

キアヌ・リーヴス主演ガンフー・アクション『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ。ジョン・ウィック”を生み出した闇の組織で暗殺者として育てられたヒロイン、イヴ・マカロ=バレリーナというキャラクターは短い尺であったがシリーズ第3作『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019)に登場しており、ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル、ユニティ・フェランが演じていた。本作品では『ブレードランナー 2049』でブレイクしたアナ・デ・アルマスが演じており、ストーリー構成も完全独立したスピンオフ作品ではなく、第3作とのパラレル構成によるクロスオーバー作品となっている。副題に『THE WORLD OF JOHN WICK』とあるように、期待に応えてジョン・ウィックも颯爽と登場。ジョン・ウィック・ジャンキーにとって胸ワクの作品であることは間違いなかろう。本作品だけを鑑賞しても十分楽しめる仕上がりとなっているが、シリーズ未見の方は予習(少なくとも第3作を鑑賞)しておくことをお薦めしたい。

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脚本は『ジョン・ウィック:パラベラム』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のシェイ・ハッテン。ハッテンは『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017)の予告編にインスピレーションを受け、バレエダンサーの暗殺者を題材にした脚本を執筆、当初は独立した企画として構想されていた。だがライオンズゲートはハッテンに『ジョン・ウィック』ユニバースの一部として脚本改訂を依頼、そのコンセプトの一部がシリーズ第3作に取り入れられたという経緯がある。監督は『アンダーワールド』シリーズや『ダイ・ハード4.0』のレン・ワイズマン。シリーズ4作品を監督してきたチャド・スタエルスキは、本作品ではプロデュースに回っている(クランクアップから1年後に行われた追加撮影ではワイズマンと共同で監督)。

HD SCREEN SHOT - BLU-RAY

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撮影は『96時間/リベンジ』のロマン・ラクールバ。ARRIアレクサ35/3:2オープンゲート/アナモフィック撮影/4.6K ARRIRAW収録。4K DI。映像平均転送レートは上記参照。ご本家シリーズに勝るとも劣らない4K/HDR画質。ご本家第2作以降、エッジの効いた高解像映像を披露してきたが(いずれもダン・ローストセンが撮影監督)本作品では第1作のオリジナルルックス(撮影監督ジョナサン・セラ)への初期化が試みられており(主要カメラがアレクサ35へと進化しているが)アナモフィックレンズはVANTAGE Film社のHawkスコープ(本作品はHawk class-Xを採用)に立ち返っている。Hawkシリーズ特有のオールドスクールでオーガニックな画調に加えて、アナモフィックならではの特徴(シネルックなボケ味、歪曲収差、周辺減光など)を生かした画づくりとなっているのだ。また本作品では国産KOWAのアナモフィックレンズも使用されており(イヴとウィンストンの出会い)オールドレンズ特有の柔らかさと味のある画調は必見。第2作以降の超尖鋭画調を期待すると肩透かしを喰らうかもしれないが、こうしたレンズの”味わい”を楽しんでいただきたい。

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とはいえ解像感や明瞭度は一級品、WCG(広色域)とHDRカラーの効果が全編を彩っている。光と影の戯れがシリーズに一貫するスタイルであり、本作品でも鮮鋭なコントラストと豊かな黒を誇っている。色彩デザインも映画のムードを大いに盛り上げており、決して色数が多い作品ではないものの発色は優秀。色彩に深みが増し、かつ鮮やかに再現。寒色系の青の色合い、アクションシーンの赤のアクセント、夜間やクラブのネオンの照射と配色。こうした光彩色彩のコントラストは、画面に強力な視覚的緊張を生み出している。クローズアップのシャープネスや視認性は申し分なく、アーティファクトと無縁。唯一気になったのは主宰(ガブリエル・バーン)のショット(8分40秒)。ほんの数秒ではあるが画質が著しく低下する。

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音響エンジニア(音響編集監修/リレコーディングミキサー)は『インフェルノ』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のケイシー・ジェントンほか。さすが『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフだけあり、並外れた分解能と明蝶度を持つ、硬質でキレのよいサウンドは期待通りの出来栄え。肉体と肉体が発するアクション音は完ぺきにチューニングされた打楽器のように鋭く響く。音を発するアクションは、すべて”音楽”として振り付けられており、"演技者"は"演奏者"として音の存在に昇華するかのようだ。クライマックスの凄まじい銃撃戦は圧倒的なダイナミクスを誇り、恐怖を感じるほどの衝撃を与え、"演奏者"のアドレナリン分泌の昂りまでも伝えるのである。

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『ジョン・ウィック』シリーズとドルビーアトモスは切っても切れない関係にあるが、もちろん本作品もドルビーアトモス仕立てだ。だが驚いたことに、開幕からほぼ1時間、トップチャンネルの使用は極端に限られ抑制される。エリート暗殺者がチュチュを脱ぎ捨てて反乱を起こし始めると、いよいよハイトスピーカーが開放、フロントハイトとリアハイトの使い分けも巧みだ。内臓に響く銃声への偏愛は『ジョン・ウィック』シリーズのお約束だが、本作品ではカスタムの火炎放射器が登場、熱風を感じさせるダイナミックな火炎音で圧倒、音像定位も完璧だ。

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私たちは『ジョン・ウィック』シリーズで確立された世界観の一貫性を保ちながら、イヴと彼女の戦い方に特有のニュアンスを盛り込む必要があった。だが観客は『ジョン・ウィック』の世界観に精通しているので、その世界観にそぐわないような奇妙な形で目立たせてはいない。それは微量のニュアンスだ。アクションシーンには繊細なエフェクトを盛り込み、イヴの多彩なスキルと融合させた。『バレリーナ』がこれまでの『ジョン・ウィック』シリーズと大きく異なる点は、タイトルが示す通り、イヴが暗殺者であると同時にダンサーでもあるという点だ。一例を挙げると、イブの動作音にバレリーナの要素を持たせたことだ。戦闘シーンの振り付けでは、彼女がピルエットを踊る場面があり、バレリーナの「シュッシュッ」という動きを少しだけ忍び込ませてみた。暗殺者であるにもかかわらず、優雅さが感じられるように。ルーク・ギブレオン(音響編集)

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最大の課題は、観客に息苦しさを感じさせずに没入させるサウンドスケープを創り出すこと。そして映画の独自性を生み出す重要なニュアンスを見失うことのないよう、観客を包み込むサウンドスケープを創り出すことだった。力強さとディテイルを同時に表現するのは、常に難しい。一度にたくさんの音が鳴り響くので、すべての音が聴き取れるようでありながら、圧倒されすぎないような空間を構築しなくてはならない。サウンドチームのさまざまなメンバー間の明確なコミュニケーションが、適切なバランスを見つける鍵となる。互いに協力し合い、試行錯誤を繰り返しながら、最終的に理想のサウンドにたどり着くことができた。アンディ・コヤマ(リレコーディングミキサー)

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UHD PICTURE - 55  SOUND - 55

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