4K UHD BLU-RAY SHORT REVIEW:WHAT LIES BENEATH - 短評

タイトルホワット・ライズ・ビニース
2000
監督ロバート・ゼメキス
製作スティーヴ・スターキー ロバート・ゼメキス ジャック・ラプケ
製作総指揮ジョーン・ブラッドショウ マーク・ジョンソン
脚本クラーク・グレッグ 《原案》サラ・ケルノチャン クラーク・グレッグ
撮影ドン・バージェス
音楽アラン・シルヴェストリ
出演ハリソン・フォード ミシェル・ファイファー ダイアナ・スカーウィッド ジョー・モートン ミランダ・オットー アンバー・ヴァレッタ キャサリン・タウン ジェームズ・レマー レイ・ベイカー ヴィクトリア・バイドウェル

4K SCREEN CAPTURE

TitleWHAT LIES BENEATH
ReleasedMay 06, 2025 (from Shout Factory)
Run Time2:09:55.579 (h:m:s.ms)
PackagingSlipcover in original pressing
CodecHEVC / H.265 (Resolution: Native 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible)
Aspect Ratio2.39:1
Audio FormatsEnglish DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz / 24bit), English DTS-HD Master Audio 2.0 (48kHz / 24bit)
SubtitlesEnglish SDH
Video Average Rate76499 kbps (HDR10) / 7899 kbps (DOLBY VISION 10.3%)
Audio Average Rate4130 kbps (English DTS-HD Master Audio 5.1 / 48kHz / 24bit / English)

4K SCREEN CAPTURE

葬られた "何か" が、いる。この下に・・・

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』のオスカー監督ロバート・ゼメキスが、ハリソン・フォードとミシェル・ファイファーを主演に迎えて贈るスーパーナチュラル・スリラー。バーモント州の美しい湖畔の家に住むスペンサー夫婦。妻のクレアは言い争いを繰り返す夫婦が気になり、垣根越しに隣家を覗き見るようになる。雷雨の夜、クレアは隣家の夫が大きな荷物を車に積んで運び出す様子を目撃。夫による妻の殺害を予感したクレアは、ことの次第を夫のノーマンに話すも一笑に付される始末。ところがそれ以来、クレアの周囲で説明のつかない怪異が起こり始め・・・。原題の「WHAT LIES BENEATH」はWミーニング。 ひとつは「なにがその下に横たわっているか」、一方で「どのような嘘が隠されているのか」という意味を持つ。製作はゼメキスが設立したイメージムーバーズ(旧名サウスサイド・アミューズメント・カンパニー)。配給はドリームワークス(北米)20世紀フォックス(海外)。

4K SCREEN CAPTURE

原作はドキュメンタリー映画監督のサラ・ケルノチャンによるオリジナル・ストーリー。ケルノチャン自身の超常現象体験を基に書かれた草稿を、俳優兼脚本家のクラーク・グレッグが当初監督すると目されていたスティーヴン・スピルバーグのために大幅に改訂。スピルバーグは『未知との遭遇』のゴースト版といったストーリーを望んでいたとされるが、最終的に1998年、このプロジェクトをロバート・ゼメキスに託すことになった。『キャスト・ウェイ』の監督契約が決まっていたゼメキスは、主演のトム・ハンクスの体重増減に伴う撮影中断期間を利用し、『キャスト・アウェイ』のスタッフを動員して本作品を撮影している。映画は2000年7月に公開。海外を含む総興収は2億9142万ドルを記録、製作費1億ドルのほぼ3倍を稼ぎ出すメガヒット作となった。

4K SCREEN CAPTURE

ヒッチコックへの遊び心のあるオマージュに賛否が分かれたものの、ストーリーの断片を巧みに描き出すスケールと間合いが印象的な脚本に、フォードとファイファーが惹かれた理由は容易に理解できる。現にふたりは魅力的な演技を披露しており、さらに彼らの演技はゼメキスと彼が率いるチームの卓越した映画テクニックによって引き立てられている。『キャスト・アウェイ』でのハンクスの「変身」が刻々と迫っていたため、製作陣が満足できる撮影日数を得られなかったのは事実だ。終盤にメロドラマ的な熱気をもっと盛り込めば、間違いなくプラスに働いただろうという見方もある。それでも終盤にはゼメキスのキャリアの中でも屈指の場面が盛り込まれており、編集のアーサー・シュミットはサスペンスを最大限に高めるためにハイクラスのカッティングを行い、撮影監督ドン・バージェスは白いタイルに血痕が広がる様子を強調するためにカラータイミングを絶妙に調整した。これはほんの一例。観どころは山ほどある。なにしろ国内BLU-RAY未発売。期待に胸膨らませる向きも多かろうが、ご安心あれ、その期待に十分に応える仕上がりとなっている。また同梱BLU-RAYには82分の特典映像「You Know: Uncovering What Lies Beneath 」が収録されており、本作製作のあらゆる側面を深く掘り下げた興味深い内容となっている(BLU-RAYも4Kレストア・マスターを使用)。

2011 PARAMOUNT BLU-RAY

2025 SHOUT FACTORY 4K UHD BLU-RAY

撮影は(前述の)『フォレスト・ガンプ/一期一会』『スパイダーマン』のドン・バージェス。パナビジョン・パナフレックス/35mmアナモフィック撮影。CG/VFXはソニー・ピクチャーズ・イメージワークス。パラマウントとシャウト・ファクトリーによる4K復元プロジェクト。35mmオリジナルカメラネガからの最新4Kデジタルレストア/HDRグレード。HDRはHDR10とドルビービジョンHDRをサポート。バージェス自ら画質確認を行い、最終承認している。映像平均転送レートは2001年BLU-RAY(36.1Mbsp)のおよそ2倍。ピーク輝度は1039 nits、平均輝度332 nits。バージェスが「序盤(スペンサー家の裏庭での第1幕)を除いて、ヒッチコック作品に見られる鮮烈なテクニカラートーンを徹底して避けた」と言うように、終幕まで色数は限られているものの、アクセントとしての原色(特に赤)や二次色の色合いのレンダリングは鮮やかだ。また肌色階調の滑沢性も優秀である。とはいえ、これは明らかに光や影の強弱を駆使したアンダーな映画であり、テーマを強調するように設計された明暗法が生み出す緊迫感を味わってもらいたい。デジタルカメラが躍進し始める前夜の、心地よいフィルムルックな解像度を捉えており、一貫性があり忠実なプレゼンテーションとなっている。

4K SCREEN CAPTURE

2001年BLU-RAYにはドルビーTrueHD 5.1トラック(24ビット/4.8Mbsp)が収録されていたが、フロントヘビーで音像が薄く、味気ないものだった。本盤は2024年リマスター5.1chサウンドトラックを収録。新たな効果音が加えられたり、音楽キューの変更があるわけではない。派手なサラウンド操演とも距離を置いている。もちろん最新音響と肩を並べるわけでもない。だが明らかな音質改善を聴取できる。台詞は一貫して鮮明、定位も優秀。ここでは伝統的なホラードラマのトラックに求められる、静寂へと誘い込み、一転して神経を逆なでする、という効果的なジャンプスケア演出が施されている。サウンドトラックの分解能が高まったゆえに、ジャンプスケアがより効果を上げるのだ。また緊張感を助長する効果音や、アラン・シルヴェストリのスコアがオーバードライブ状態に入るたびに、音場空間は心拍数を高める迫真性と適切なカコフォニーで満たされるのである。本盤の鑑賞で再認識したのだが、シルヴェストリのスコアのトーンは容赦ない不安感に満ちていることだ。ジャンルを巧みに操るシルヴェストリの適応力と多才さを際立たせる 5.1トラックであり、その楽曲が活気づく瞬間には彼の作品のなかでも驚くほど凶暴な不協和音を楽しむことができる。

4K SCREEN CAPTURE

私は古典ホラー映画のファンであると同時に、古典ホラー映画の音楽のファンだ。もしかしたらホラー映画の愛好家は、この映画の音楽に真の革新性を見出すことができないかもしれない。なぜなら私がアランに求めたのは、さまざまな意味で、過去の傑作ホラー映画の音楽へのオマージュだったからだ。アランはその目的を果たし、決して型破りな音楽ではないが、十分に楽しめるものの決して難解ではないスコアを生み出してくれた。ロバート・ゼメキス

UHD PICTURE - 4.55  SOUND - 45

4K SCREEN CAPTURE

バックナンバー:世界映画Hakken伝 from HiVi
バックナンバー:2025年9月のクライテリオン (1)『ウェス・アンダーソン・アーカイヴ 4K BOX』
バックナンバー:2025年9月のクライテリオン (2)