JANUARY 2025 NEW RELEASES - THE CRITERION COLLECTION

THE CRITERION COLLECTION has announced its JANUARY 2025 slate of 4K UHD BLU-RAY(6)releases. They are: WINCHESTER '73(1950)YOJIMBO(1961)SANJURO(1962)THE MOTHER AND THE WHORE(1973)JO JO DANCER, YOUR LIFE IS CALLING(1986)and THE GRIFTERS(1990).

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION

2025年、クライテリオンの新年を飾って登場するのが、黒澤明監督作『用心棒』(1961)と続編『椿三十郎』(1962)である。今年12月の『七人の侍』リリースに続いて、2か月連続で黒澤4K UHDを楽しむことができるわけだ。パッケージはBLU-RAYスリップボックスを受け継いだ形状ととなり、UHD BLU-RAY(2)BLU-RAY(2)の4枚組セット、単品販売は予定されていない。東宝から提供された4Kデジタルマスター採用となるが、(僅差ではあるだろうが)映像と音声の仕上げは異なるはずだ。完成度のアップグレードを期待する声に応えつつ、黒澤時代劇の魅力を余すところなく再現してくれるに違いない。リリースは1月7日。

 

4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES

  • 4K RESTORATIONS, presented in the aspect ratio of 2.39:1, with uncompressed monaural soundtracks (4K Blu-ray); restored high-definition digital transfers, presented in the aspect ratio of 2.35:1, with uncompressed monaural soundtracks (Blu-ray)
  • In the 4K Blu-tau edition: Two 4K Blu-ray discs of the films and two Blu-rays with the films and special features
  • Optional DTS-HD Master Audio Perspecta 3.0 soundtracks, preserving the original simulated stereo effects
  • Audio commentaries by Kurosawa scholar Stephen Prince
  • Documentaries on the making of Yojimbo and Sanjuro, created as part of the Toho Masterworks series Akira Kurosawa: It Is Wonderful to Create
  • Teasers and trailers
  • Stills galleries of behind-the-scenes photos
  • PLUS: Essays by film writers Alexander Sesonske and Michael Sragow and comments from Kurosawa and members of his casts and crews

Released: JANUARY 07, 2025
List Price: $79.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$69.95 USD(BLU-RAY)

Japan \ 1961 \ 110 minutes \ Black & White \ 2.39:1 \ Japanese

とある宿場に現れた、ひとりのニヒルな浪人。桑畑三十郎と名乗るこの男、宿場町でいがみ合うふた組のやくざを仕掛けて、双方鉢合わせにして壊滅させてしまう。単純明快なストーリーの中に加味されたハードボイルドタッチの味わい。日本映画の伝統芸たる時代劇の、新たな時代の幕開けを告げた黒澤娯楽時代劇の代表作。なにしろ桑畑三十郎のキャラクターがすこぶる痛快。従来の時代劇の主人公より劇画的なヒーローに仕立てながら、一方で殺陣はどこまでもリアリズムに徹した画づくりを追求している。日本映画で初めて刀で人を斬る擬音を入れたことでも知られ、スコープサイズでの撮影効果を高めるために道幅を広く設定して作った巨大な宿場町のオープンセットも大胆極まりない。

ここで黒澤は豊富な象徴的な動きの技法を駆使しており、しばしば動きのない視覚要素と、ダイナミックな動きの渦を並列的に配置することで劇的な緊張感を創り出している。なかでもクライマックスはその演出効果が発揮されるベストシーン。桑畑三十郎の周りで渦巻く猛烈な風など、それは支配的な映像となって三十郎の怒りと肉体的な強靭さを物語っている。同じ場面を標準と望遠のレンズで撮影、編集する黒澤独特の映像テクニックが、演出効果を高めていることは言うまでもない。

(三船敏郎の殺陣は)10人斬るのに、大体10秒ですよね。編集でひとコマ見ると、なにも写っていないコマがあるんですよ。これはえらいことになったと思って映写してみると、ちゃんと見えるんです。それくらい動きが速い。斬るときはまったく呼吸をしないと言うんだけど、息を詰めたまま、パァーッと斬りまくっちゃう。「カット」というと、ハァッハァッハァッハァッと凄い声なんだ。大丈夫かなと思うくらい。(黒澤明)

タイトル用心棒
1961
監督黒澤明
製作田中友幸 菊島隆三
製作総指揮N/A
脚本黒澤明 菊島隆三
撮影宮川一夫
音楽佐藤勝
出演三船敏郎 仲代達矢 司葉子 山田五十鈴 加東大介 河津清三郎 志村喬 太刀川寛 夏木陽介 東野英治郎 藤原釜足 沢村いき雄 渡辺篤 藤田進 山茶花究

Japan \ 1962 \ 95 minutes \ Black & White \ 2.39:1 \ Japanese

大ヒットを記録した『用心棒』に続く娯楽時代劇だが、当初は黒澤組のチーフ助監督であった堀川弘通の監督作品として黒澤が執筆した脚本を下敷きにしている。原作は山本周五郎原作の『日日平安』。気弱で腕もない食い詰め浪人が、お家騒動に巻き込まれながら知恵を武器に元の鞘に納めるという、ほぼ原作通りの脚本であったというが、東宝サイドが難色を示しておクラ入りの脚本となっていた。ところが『用心棒』の成功によって、続編製作依頼された黒澤は脚本を大幅に改訂、主人公を三十郎に置き換えてふたたび日の目を見させたという経緯がある。

ある藩のお家騒動のさなか、上役の不正を暴き出そうと立ち上がった9人の若侍たちと、彼らに協力することになった三十郎の活躍を前作よりユーモアを増して描いた痛快時代劇。『用心棒』より本作が好き、という映画ファンが多いのも頷ける。三十郎が血気にはやる若侍たちに舌打ちしながらも、行動を共にしていく過程の絶妙なやり取り、お家騒動の黒幕たちがみせる慌てぶりの面白さなど、黒澤の喜劇的な演出が存分に味わえる。なかでも三十郎が唯一アタマが上がらない、城代家老の奥方とのやり取りは必見中の必見。『用心棒』で大評判となった三船の立ち回りの迫力は本作でも健在、大きな見せ場を提供している。捕らえられた若侍たちを助けるため、20人にも及ぶ敵を一気に切り倒す場面の凄まじさ。そしてあまりにも有名なラスト、三船と仲代の決闘はまさに圧巻!

パンフォーカスの狙いは、黒澤作品では縦構図がベースだから。手前と奥の芝居のどちらも比重があり、どちらかをボカすわけにはいかない。一緒に写っている場合はすべてが重要で、誰が百で、誰が十なんてことはあり得ない。(撮影・斎藤孝雄)

タイトル椿三十郎
1962
監督黒澤明
製作田中友幸 菊島隆三
製作総指揮N/A
脚本菊島隆三 小国英雄 黒澤明《原作》山本周五郎
撮影小泉福造 斎藤孝雄
音楽佐藤勝
出演三船敏郎 仲代達矢 小林桂樹 加山雄三 団令子 志村喬 藤原釜足 入江たか子 清水将夫 伊藤雄之助 久保明 太刀川寛 土屋嘉男 田中邦衛 江原達怡 平田昭彦 小川虎之助

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION

1950年代後半から1960年代にかけてフランス映画界を席巻したヌーヴェル・ヴァーグ。その栄光が消滅し、さらには1968年のパリ五月革命が敗北に終わり、パリの街とフランス映画界は長い停滞を生き始めたかのように見えた。だが1970年代、ヌーヴェル・ヴァーグの作家主義の帰結としてポスト・ヌーヴェル・ヴァーグの作品群が登場する。ポスト・ヌーヴェル・ヴァーグを支えた映像作家といえは、モーリス・ピアラ、フィリップ・ガレル、ジャック・ドワイヨン、シャンタル・アケルマン、ブノワ・ジャコーの名が挙げられるが、本作の監督、ジャン・ユスターシュも重要なひとりである。

France\ 1973 \ 218 minutes \ Black & White \ 1.37:1 \ French

ユスターシュはポスト・ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として彗星のように登場し、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメールらに絶賛された。その作風と主題により特異なシネアストとして認識されているが、いまだに研究の余地の多い映像作家と目されている。ユスターシュ自身の人間関係からインスピレーションを得て脚本を書いたという本作は、最初の長編映画であり、彼の最高傑作とされている。公開当初は批評家の反応が分かれたものの、カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ、国際映画批評家連盟賞の2冠に輝いて以降、批評家や映画製作者から支持されるようになり、その評価は時とともに高まっていった。ユスターシュ自らを投影した主人公を演じるのは、ヌーヴェル・ヴァーグ時代を代表する俳優ジャン=ピエール・レオ。

アレクサンドルはパリに住む失業中の男。五月革命の記憶を引きずり、自分の将来を見失った生活を送っている。アレクサンドルは年上の恋人マリーと同棲とも居候ともつかないかたちで暮らしていたが、自己中心的な彼は彼女に対してまるで無関心であるかのように接していた。そんなアレクサンドルがある日、カフェで看護師のヴェロニカと出会う。アレクサンドルと奔放なヴェロニカ、そしてマリーは三角関係になるが、なんら生産的な関係が生み出されることなく、時間だけがズルズルと過ぎ去っていく・・・。上映時間は3時間38分。ユスターシュが「時間がテーマ」と語るように、効率的な時間の短縮編集などあり得なかったのだろう。撮影は『まぼろしの市街戦』『シラノ・ド・ベルジュラック』のピエール・ロム。撮影はモノクロ16mmフィルムで行われ、使用レンズは50mmレンズ1本のみ。ちなみに、画角が47度前後のレンズが人間の肉眼で見える範囲と近いと言われおり、一般的に標準レンズと呼ばれ、焦点距離でいうと50mm前後のレンズとなる。

 

4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES

  • NEW 4K RESTORATION, with uncompressed monaural soundtrack
  • One 4K Blu-ray disc of the film and one Blu-ray with the film and special features
  • New interview with actor Françoise Lebrun
  • New conversation with filmmaker Jean-Pierre Gorin and writer Rachel Kushner
  • Program on the film's restoration
  • Segment from the French television series Pour le cinéma featuring Lebrun, director Jean Eustache, and actors Bernadette Lafont and Jean-Pierre Léaud
  • Trailer
  • New English subtitle translation
  • PLUS: An essay by critic Lucy Sante

Released: JANUARY 14, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY)

- YouTube

youtu.be
タイトルママと娼婦
1973
監督ジャン・ユスターシュ
製作ボブ・ラフェルソン
製作総指揮ピエール・コトレル
脚本ジャン・ユスターシュ
撮影ピエール・ロム
音楽N/A
出演ジャン=ピエール・レオ ベルナデット・ラフォン フランソワーズ・ルブラン イザベル・ヴェンガルテン ジャック・レナール ジャン=モエル・ピック

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION

史上最高のコメディアンのひとりと言われるリチャード・プライヤー。イリノイ州出身の彼は、売春宿で生まれ育ち、7歳でナイトクラブにドラマーとして出演。14歳で学校を抜け出しコメディクラブの清掃員になった。高校卒業後に従軍、2年の軍隊生活を経て、スタンダップコメディアンとして全米各地のナイトクラブを巡業するようになった。1960年代後半から1980年代にかけて、『大陸横断超特急』『カー・ウォッシュ』などの映画に出演、映画ファンの人気も集めている。エディ・マーフィーやクリス・ロックなど、多くのスタンダップコメディアンに影響を与えたことから、プライヤーはこの時代におけるもっとも偉大なスタンダップコメディアンのひとりと見なされることが多い。その彼が、1982年の映画『おんぼろバスと8人の子供たち』の撮影中、コカイン使用の影響下で自らの身体に75度(151プルーフ)のラム酒をかけて火を点け、全身の50%以上に及ぶ大火傷を負い、一時活動を休止するという事件を起こした。本作はそんなプライヤーの半生を振り返った伝記映画兼バックステージドラマであり、製作・監督・脚本・主演を務めてマルチタレントぶりを発揮している。

United States \ 1986 \ 97 minutes \ Color \ 2.39:1 \ English

4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES

  • NEW 4K RESTORATION, with 2.0 surround DTS-HD Master Audio soundtrack
  • HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
  • One 4K Blu-ray disc of the film and one Blu-ray with the film and special features
  • New interview on the film with filmmaker Robert Townsend
  • Interview with director Richard Pryor from a 1985 episode of The Dick Cavett Show
  • English subtitles for the deaf and hard of hearing
  • PLUS: An appreciation by critic Hilton Als

Released: JANUARY 14, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY)

コカインのフリーベース中に重度の火傷を負った、人気スタンダップコメディアンのジョジョ・ダンサー。昏睡状態に陥って病院のベッドで横たわっている間、体から抜け出した彼の分身が、子供のころに売春宿で育ち、一流のコメディアンになるために困難を克服しようと奮闘した彼の半生を振り返返っていく。撮影は『バニシング・ポイント』『チャイナタウン』のジョン・A・アロンゾ。当初アナモフィック撮影される予定だったが、脚本を読み込んだアロンゾは汎用性のあるスーパー35方式を取り入れている。だがスコープサイズにトリミングした映像が鮮明すぎる印象となり、脚本のトーンを再現するためにアナモフィックレンズを使用して上映用プリントを生成している。スーパー35から作成されたスコープサイズ(2.39:1)リリースプリントは、スーパー35画像の一部が破棄され、アナモフィック・フォーマットで直接生成されたプリントよりも品質がわずかに後退するためである。音楽を務めたのはジャズピアニストのハービー・ハンコック。音響エンジニアはオスカー音響賞受賞の『大統領の陰謀』で高い評価を得たミルトン・C・ブロウ(音響編集)リック・アレクサンダー(リレコーディング)レス・フレッショルツ(同)のトリオ。

タイトルジョ・ジョ・ダンサー
1986
監督リチャード・プライアー
製作リチャード・プライアー
製作総指揮トム・マウント
脚本ロッコ・ウルビスチ ポール・ムーニイ リチャード・プライアー
撮影ジョン・A・アロンゾ
音楽ハービー・ハンコック
出演リチャード・プライアー アート・エヴァンス デビー・アレン フェイ・ハウザー バーバラ・ウィリアムズ カーメン・マクレエ ダイアン・アボット ポーラ・ケリー ウィングス・ハウザー デニス・ファリナ

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
DIRECTOR-APPROVED 4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION

原作は1963年に出版された同名小説で、著者はジム・トンプソンだ。映画ファンならば、スタンリー・キューブリック監督作『現金に体を張れ』や『突撃』の脚本家としてその名が浮かぶであろうが、1977年に70歳の生涯を終えるまで富と名声にはあまり縁のなかった作家だ。彼の死後に続々と作品が復刻されるようになり、いまでは暗黒小説の巨匠として高い評価を得ている。本作の舞台は1990年代のロサンゼルスだが、40年代のレイモンド・チャンドラー・ワールドに迷い込んだ錯覚に陥るのは、作家で脚本家のドナルド・E・ウェストレイク(『殺しの分け前/ポイント・ブランク』)がトンプソンの原作のハードボイルドなムードを生かし切った証であろう。監督はスティーヴン・フリアーズ。日本ではいささか馴染みのない名前かも知れないが、すでに長編監督デビュー作『探偵』(1971年/UK BLU-RAYあり)で犯罪映画演出の才を垣間見せている。一方で『マイ・ビューティフル・ランドレット』『クィーン』といった監督作からもわかるように、この多彩な英国人監督は複雑な心理描写でも定評がある。さらにプロデューサーにマーティン・スコセッシ、そして映画史研究者で映画保存修復の専門家ロバート・A・ハリスが名を連ねっている点にも注目だ。

United States \ 1990 \ 110 minutes \ Color \ 1.85:1 \ English

DIRECTOR-APPROVED 4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES

  • NEW 4K RESTORATION, approved by director of photography Oliver Stapleton, with 2.0 surround DTS-HD Master Audio soundtrack
  • HDR PRESENTATION OF THE FILM(DOLBY VISION / HDR10 COMPATIBLE)
  • One 4K Blu-ray disc of the film and one Blu-ray with the film and special features
  • Audio commentary featuring director Stephen Frears, actors John Cusack and Anjelica Huston, and screenwriter Donald E. Westlake
  • New interview with actor Annette Bening
  • Short making-of documentary featuring Cusack, Frears, Huston, Westlake, and production designer Dennis Gassner
  • Seduction, Betrayal, Murder: The Making of "The Grifters," featuring interviews with Frears, Stapleton, editor Mick Audsley, executive producer Barbara De Fina, and coproducer Peggy Rajski
  • The Jim Thompson Story, featuring Westlake and Robert Polito, biographer of The Grifters novelist Jim Thompson
  • Trailer
  • English subtitles for the deaf and hard of hearing
  • PLUS: An essay by critic Geoffrey O'Brien

Released: JANUARY 21, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY)

小銭を稼いで生計を立てているケチな詐欺師ロイ(ジョン・キューザック)。そんな彼の前に、8年前に家を飛び出したままだった母親のリリー(アンジェリカ・ヒューストン)が現れる。リリーは再会した息子の世話をしてやるが、ロイの恋人のマイラ(アネット・ベニング)と対立することになってしまう。主人公は騙すことに無上の喜びを覚える3人の三流詐欺師たち。ロイはインチキ・サイコロで小銭を巻き上げ、リリーは競馬のノミ行為の片棒を担ぎ、マイラは色仕掛けでカモから金を搾り取るのに忙しい。この3人を軸に本作は、厚かましいくらいの自信を漲らせながら物語が展開する、感傷のかけらも見当たらない強烈な作品に仕上がっている。アカデミー監督・主演女優・助演女優・脚色賞ノミネート。撮影監督は『マイ・ビューティフル・ランドレット』『サイダーハウス・ルール』のオリヴァー・ステイプルトンで、本盤の4Kレストア/HDRグレードの監修・最終承認も行っている。

タイトルグリフターズ/詐欺師たち
1990
監督スティーヴン・フリアーズ
製作マーティン・スコセッシ ロバート・A・ハリス ジム・ペインター
製作総指揮バーバラ・デ・フィーナ
脚本ドナルド・E・ウェストレイク《原作》ジム・トンプソン
撮影オリヴァー・ステイプルトン
音楽エルマー・バーンスタイン
出演ジョン・キューザック アンジェリカ・ヒューストン アネット・ベニング パット・ヒングル J・T・ウォルシュ チャールズ・ネイピア ヘンリー・ジョーンズ ゲイラード・サーテイン ザンダー・バークレイ ジェレミー・ピヴェン

4K UHD BLU-RAY/BLU-RAY COMBO RELEASE
4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION

1876年のカンザス、ダッジ・シティ。父の仇を追うリン・マクアダムは、独立記念の100年祭射撃コンテストに参加して優勝、賞品のウィンチェスター銃を手に入れる。だが勝負を競った男ダッジとその仲間がリンを待ち伏せ、ウィンチェスターを奪って逃げ去ってしまう。このダッジこそ、リンが追っていた父の仇であった。その後ウィンチェスター銃は、武器商人、ネイティブアメリカン、騎兵隊、おたずね者と次々に持ち主を変え、運命の転変。一方でウィンチェスター銃と仇を求め、リンの執念の追跡劇が繰り広げられていく・・・。西部劇の主役のひとり。コルト・ピースメーカーとともに西部を征服した銃として天下に名高いウィンチェスターM1873。その千に一挺と呼ばれる特別仕様の名銃をめぐり展開する西部のドラマ。『荒野の決闘』のスチュアート・N・レイクによる原作を、『命知らずの男』のロバート・L・リチャーズが脚色。当初はアメリカに移住した『メトロポリス』や『M』のフリッツ・ラングが監督するはずだったが、ユニバーサルとの確執により実現せず、主役に決まっていたジェームズ・スチュアートの意向でアンソニー・マンが監督に抜擢された。マンは『赤い河』の原案・脚本で知られる脚本家ボーデン・チェイスを雇い、大幅な改訂を施している。細かな改訂は西部劇というジャンルを再定義するという目的のために行われ、フィルム・ノワールの影が西部の辺境に広がる、画期的な西部劇に変貌を遂げることになった。

%%**%%%%{red}**United States \ 1950 \ 92 minutes \ Black & White \ 1.35:1 \ English%%{red}

4K UHD + BLU-RAY SPECIAL EDITION FEATURES

  • NEW 4K RESTORATION, undertaken by Universal Pictures in collaboration with The Film Foundation, with uncompressed monaural soundtrack
  • One 4K Blu-ray disc of the film and one Blu-ray with the film and special features
  • Audio commentary featuring actor James Stewart and film historian Paul Lindenschmidt
  • New interview with film programmer Adam Piron on the portrayal of Native Americans in the western genre
  • Lux Radio Theatre adaptation of the film from 1951
  • Trailer
  • English subtitles for the deaf and hard of hearing
  • PLUS: An essay by critic Imogen Sara Smith

Released: JANUARY 28, 2025
List Price: $49.95 USD(4K UHD + BLU-RAY 2-DISC SET)$39.95 USD(BLU-RAY)

アンソニー・マンとジェームズ・スチュアート。『怒りの河』『グレン・ミラー物語』『ララミーから来た男』など、ふたりの作品は8本あるが、本作は初のコラボレーション作品である。40年代後半にフィルム・ノワールの佳篇を監督して頭角を現し、新進気鋭の映像作家として注目されていたマンは、本作の成功により確固たる地位を得ることになった。撮影は『熱いトタン屋根の猫』『西部開拓史』のウィリアム・H・ダニエルズ。40年代の後半、緊迫したムードを画面に収めた『誘拐魔』『真昼の暴動』、そしてセミ・ドキュメンタリー映画の頂点を示す傑作として史上に残る『裸の町(オスカー受賞)』で大都会の鼓動を生き生きと伝えて絶賛された撮影監督である。

「主役に決まっていたジェームズ・スチュアート」と前述したが、スチュアートはユニバーサルの『ハーヴェイ』への出演を熱望しており、本作への出演はホンマルではなかった。そこで彼のエージェントは交渉に乗り出した。ユニバーサルは本作にスチュワートが欲しい。だが出演料20万ドルを支払う余裕がない。そこでエージェントは『ハーヴェイ』と本作の2本から出る収益の配当を支払うという交渉に臨み、ユニバーサルも提案を歓迎して承諾した。それ以前にも似たような取り決めはあったが、大規模な報酬交渉は初めてだった。いまでは誰もが歩合契約を行っているが、この交渉が歩合契約制を切り拓き、業界の仕組みが変わったのである。

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youtu.be
タイトルウィンチェスター銃 '73
1950
監督アンソニー・マン
製作アーロン・ローゼンバーグ
製作総指揮N/A
脚本ロバート・L・リチャーズ ボーデン・チェイス《原作》スチュアート・N・レイク
撮影ウィリアム・H・ダニエルズ
音楽ジョセフ・ガーシェンソン
出演ジェームズ・スチュワート シェリー・ウィンタース スティーヴン・マクナリー ダン・デュリエ チャールズ・ドレイク ミラード・ミッチェル ジョン・マッキンタイア ウィル・ギア ジェイ・C・フリッペン ロック・ハドソン トニー・カーティス ジョン・アレクサンダー

バックナンバー:世界映画Hakken伝 from HiVi
バックナンバー:銀幕旅行(クライテリオン)