Integrated Amplifier
三栄電波
Allargando-MINI PMA099S
¥128,000(税込)

●出力:0.8W+0.8W(4Ω〜8Ω)●入力端子:LINE4系統(RCAアンバランス)●スピーカー出力端子:1系統(4Ω〜8Ω)●使用真空管:E88CC(JJエレクトロニック)×2、ECC99(JJエレクトロニック)×2●寸法/重量:W290×H180×D160mm(端子類含まず)/4.5kg●問合せ先:三栄電波(株)TEL.03(3253)1525

 三栄電波「アラルガンド」シリーズの小出力アンプの多くは、2段直結型かその発展形が基本。ロフチンホワイト型の現代版であり、出力管が傍熱管でもその基本形を維持して純度の高い音を追求している。 

 このPMA099Sは出力段に双3極管ECC99(12BH7)を並列接続して使用。初段は双3極管E88CC(6DJ8)をL/Rに1本ずつ使用。出力端から初段に負帰還を掛けている。高圧電源部はMOS-FETによるアクティヴ型平滑回路。入力4系統とアルプスの2連ボリュウムによる音量調整を備えている。入力ラインの配線にシールド線を使っていないのは音質的判断だろう。脚部はオリジナルの真鍮切削品を奢っている。 

 0.8W×2という小出力だがまずはB&W800D3で試聴。低域が薄めだが、音量を抑えて聴く「〈マクベス〉序曲」(ステレオサウンド盤)など、けっこうな鮮度と分解能、そして内声部が充実した美音が得られた。ピアソラ五重奏団は小気味良いリズムだし、ヴィック・ダモンも明敏な応答性と歌い口が楽しめる。 

 スピーカーをバックロードホーンに装着したフォステクスFE108Solに換えると、低域の力量が増し、ピークのゆとりも得られて快活な鮮明サウンドとなった。俊敏な応答性と密度感が確保されているので、適度な音量にてクラシックの大編成もタンゴやジャズやボサノバなどの小編成も快活な表情で楽しめる。出力の制約はあるけれど趣味性の高い使い方ができる秀作だ。

PMA099Sの前面。横幅29cmの比較的コンパクトなボディで、電源、ボリュウム、入力セレクターを装備。真空管は出力段のECC99(外側)と初段のE88CC(内側)を左右対象に配置。

リアパネルは、左側に4系統のRCAアンバランスのライン入力、中央に4Ω〜8Ω対応のスピーカー出力端子1系統を装備。

底面から見た内部。本機はキットでは販売されない完成品専用設計。直結2段構成で、回路はプリント基板を使わない空中配線。パーツ類は、KMGやニチコンの電解コンデンサー、シヅキのフィルムコンデンサーなどを採用。

付属の真空管カバーを装着した状態。

PMA099Sの操作感を確認。

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