アメリカ・サンタバーバラ生まれのオーディオブランド、SONOS。2018年10月の日本上陸以来、無線伝送を活用し、音にも留意したワイヤレススピーカーシステムや、サウンドバー、サブウーファーなどをラインナップしている。

 その最新サウンドバーとなる「Ray」(¥39,800、税込)が9月に発売された。横幅559×高さ95×奥行71mmの同ブランド史上もっとも小型のモデルで、各種ストリーミングサービス、AirPlay2にも対応済みだ。

 Rayの接続端子は、光デジタル入力とLAN端子が各1系統とひじょうにシンプル。光デジタルケーブルで接続するだけでテレビの音声を高品質で楽しめる。内蔵スピーカーは2ウェイ2スピーカーという仕様で、本体両サイドにトゥイーターを2基、中央寄りにミッドウーファーを2基搭載、それぞれのユニットを専用アンプで駆動している。

 トゥイーター部にカスタム設計されたアシンメトリーウェーブガイドを備えて、高域を左右の壁に向けて放射、その反射を利用して広がりのある音場を再生するとともに、独自の信号処理技術によって正確な空間表現を実現してくれる。またSonos製品でお馴染みのTrueplay機能も搭載しており、どんな部屋でも理想的なサウンド体験が可能になる。

 今回、Sonos Rayを試用する機会があったので、自宅の有機ELテレビTVS REGZA「55X9400S」につないで体験させてもらった。

 ちなみに55X9400Sは、画面下に6基のユニットを搭載したバースピーカーを、さらに背面上側にトップトゥイーター×2、下側には東芝時代からお馴染みのバズーカウーファー(とパッシブラジエーター)を搭載するなど、内蔵スピーカーの音にもこだわったモデルだ。それもあり、Rayを加えることでどれくらいの変化があるのか半信半疑のところもあった。とはいえ何事も確認が必要ということで、セットアップに取りかかる。

 まずはスマホのSONOSアプリから自宅のネットワークにRayを追加する。その際に、テレビのリモコンをRayに記憶させるメニューが出るので、ここでお使いのリモコンのボリュウムのコマンドをメモリーしておくこと。これでテレビの音量を操作している時と同じ感覚でRayの音量を操作できることになる。

 続いて55X9400Sの光デジタル出力をRayにつなぎ、55X9400Sの「音声出力詳細設定」から「デジタル音声出力」を「ビットストリーム」→「オート」になっていることを確認(設定内容はテレビのメーカーによって異なる)。というのも、Rayは放送で使われているAACのデコードに対応していないので、こうしておかないと音が出ない、なんてことになりかねない。ここはしっかり確認をしていただきたい。

 そしてアプリからTrueplayの測定を行って準備は完了。これで放送から外部接続したレコーダーまで、すべての “テレビの音” がRayから再生できるようになった。

 ということでまずは放送の音からチェック。そのサウンドは、ニュースのアナウンスが聞き取りやすく、バラエティなどのごちゃごちゃした会話も混濁することなく再現される。密度の濃い音場が画面に寄り添う印象で、これならRayを追加する価値ありだ。

 ただ、Rayを正面に向けて設置した状態では、音場が低めでセリフも若干下から聞こえてくる印象がある。わが家の場合、テレビ台の高さは45cmで、ソファに座って画面を気持ち見下ろした状態でテレビを見ているので、余計そう感じてしまうのかもしれない。

 そこで高さ1cmほどのウッドブロックを入れてRayが少し上を向くようにしてみると、セリフが下から聞こえる違和感が改善され、映像との一体感が増してきた。『鎌倉殿の13人』では長澤まさみの声が画面中央に定位し、小栗 旬や小池栄子のセリフの押し出し感も好ましい。

 サウンドバーはテレビの下に置けばいいと考えがちだが、そもそもテレビとセンターがずれていたり、画面と離れすぎていると画音一致という映像作品を楽しむ基本条件が崩れかねない。Trueplayのような補正機能も有効だが、補正量が少ないに越したことがないので、まずは物理的な設置にしっかり留意していただきたい。

 この状態でパッケージメディアや録画番組もチェックしてみた。UHDブルーレイ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、冒頭のゲイレン・アーソとオーソン・クレニックの会話の緊張感が感じられるし、チャプター42の惑星スカリフの攻防からダース・ベイダー登場までのシークエンスに求心力があって、作品をしっかり楽しめた。

 BS 4Kを録画した『小泉今日子 40周年スペシャル』は、ステレオ感はもう少し欲しいところだが、55インチ画面との馴染みはよく、音量も普段より上げて聴きたくなる。面白かったのが、デビュー当時の80年代の声と最近の声ではキーが変化しているところまでわかったこと。こういった細かい情報まで理解できると、ホームシアターがより楽しくなる。

 ちなみにRayはPCMとドルビーデジタル、DTSの入力に対応しており、これらの信号を2.0chスピーカーで再生する仕様だ。今回再生機のパナソニック「DMR-ZR1」側で出力信号を確認したところ、ドルビーアトモス収録の『ローグ・ワン』はドルビーデジタルで、『小泉今日子40周年スペシャル』(音声フォーマットはMPEG-4 AAC)はリニアPCMでRayに入力されていた。

 ここまでSONOS Rayをテレビの音声強化用として使ってみた。正直テレビの内蔵スピーカーの音質は機種それぞれなのでサウンドバーを加える効果は一概に言いにくい。しかし55X9400Sのように内蔵スピーカーの音質に配慮した製品であっても、Rayを追加するメリットがあることが確認できた次第だ。

 実はSONOSでは同社製サウンドバーと組み合わせて低音を強化するアイテムとしてワイヤレスサブウーファーもラインナップしている。次回はその最新モデル「Sonos Sub Mini」を追加した印象をチェックしたい。

 また現在SONOSでは12月1日(木)23:59までの期間限定でAmazonブラックフライデーに参加、以下の製品を約20%OFFで販売している(Prime会員限定)。残念ながらRayやSub Miniは含まれていないが、ドルビーアトモスに対応したサウンドバーの上位モデルがお得に手に入る貴重な機会なので、ぜひ関連リンクをチェックしていただきたい。

●開催期間:2022年11月25日(金)00:01〜12月1日(木)23:59まで
●対象モデル:Sonos Arc、Sonos Beam (Gen 2)、Sonos Sub (Gen 3)、Sonos Roam

(取材・文:泉 哲也)