ジョーダン･ピール監督SFスリラー『NOPE／ノープ』【海外盤Blu-ray発売情報】

米国盤『NOPE／ノープ』2022年10月25日リリース

NOPE - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY ATMOS

ユニバーサルから、『ゲット･アウト』『アス』のジョーダン･ピール監督SFスリラー『NOPE／ノープ』の4K UHD BLU-RAYリリース･アナウンスが届きました。アスペクトは2.20:1／1.78:1（IMAX）ミックス。ドルビーアトモス･サウンドトラック採用。

出演は『ゲット･アウト』『ユダ＆ブラック･メシア 裏切りの代償』のダニエル･カルーヤ、『ドリームズ･カム･トゥルー』『ハスラーズ』のキキ･パーマー。共演に共演にスティーヴン･ユァン、マイケル･ウィンコット、キース･デヴィッド。

撮影は『裏切りのサーカス』『007 スペクター』『ダンケルク』のホイテ･ヴァン･ホイテマ。パナビジョン65HR／同パナフレックス65スタジオ／65mm撮影。一部IMAX／MKIV、同／MSM 9802、ARRIアレクサ65（6.5Kオープンゲート／※赤外線モード）撮影。DIファイルは4K。音楽は『ゲット･アウト』『アス』『ナイトブック』のマイケル･エイブルズ。サウンドデザイン／音響編集監修／リレコーディングミキサーは『アンダー･ザ･スキン 種の捕食』『聖なる鹿殺し キリング･オブ･ア･セイクリッド･ディア 』『女王陛下のお気に入り』のジョニー･バーン。

SPECIAL FEATURES

DISC SPECS

赤外線モード／赤外線バージョン

「アメリカの夜」とは「疑似夜景」のこと。DAY FOR NIGHTフィルタ（暖色系の光を遮断するフィルタ）をかけて、ナイトシーンを昼間に撮るテクニックだ。だが『NOPE／ノープ』では非常に興味深い方法で疑似夜景を生成している。使用カメラはパナビジョン･システム65mmフィルムカメラ、そしてARRIアレクサ65／赤外線バージョン。この2台を独自のオリジナルリグ（DAY FOR NIGHTリグ）と組み合わせて撮影している（赤外線モードはARRIアレクサXTに初めて搭載）。

赤外線カメラは、基本的にベイヤーフィルタ（カラーフィルタの色パターンの配置法のひとつであるベイヤー配置によるフィルタ）、OLPF（複屈折板･波長板を用いた光学ローパスフィルタ）、および IR （赤外線） ブロック･フィルタを搭載しない。ベイヤーフィルタを削除したことにより、すべての色情報を表示･記録せず、生成される映像は白黒画像となる。ベイヤーフィルタを削除した結果、カメラのセンサアレイの各ピクセルは、可視光のスペクトル全体を記録、画像の解像感を大幅に向上させる（レンジは 15 ストップ以上、センサのネイティブ感度は 2000 ISO に拡張）。

すべてのデジタルカメラには、センサへ当たる赤外線をブロックするIRブロック･フィルタが搭載されている。赤外線カメラの真にユニークで重要なポイントは、このIRブロック･フィルタを取り外して、すべての可視光を遮断するフィルタに置き換えられることだ。これにより、赤外光のみがフィルタを通過してセンサに当たるようになる。

『NOPE／ノープ』の疑似夜景ショットは、太陽光の下の砂漠や平原などで撮影された。わずかにコントラストが上げた赤外線カメラで撮影すると、照度の明るい画像となるが、近赤外線光の波長領域のみを認識するため、砂漠の空（青空）は暗くなる。一方で、フィルムカメラには重要な色とテクスチャの情報がすべて含まれおり、ポストプロダクションで ふたつの画像を完全に合成／カラーグレードすると、砂漠は月面に酷似、月のライティング･キャラクターを生成できたという。

ふたつのカメラがまったく同じ画像 （1 機は赤外線、もう 1 機はフィルム）を撮影し、ポストプロダクションですべてのフレームが完全に重なるように調整する。大きな重要点は4つ。さまざまなゲート（センサーサイズ）とレンズが同一であること。被写界深度がまったく同じであること。プルフォーカス（フォーカスを同一ショットの中で移動させる撮影方法）がまったく同じように変換されること。ふたつの画像が完全に同期していること。2機をオリジナルリグで固定することで（写真参照）、重要なポイントを厳正にクリアしている。

バックナンバー：銀幕旅行
バックナンバー：世界映画Hakken伝 from HiVi