2020年に誕生した新興のイヤホンブランド、3ee(スリー)。年齢、性別、ユーザーの個々の能力などに影響されることなく、できるだけ多くの人が使いやすく、いい音で楽しんでもらえる製品を目指し、日本で発売されるモデルについては、極力、日本語の音声ガイダンスを採用。付属の取扱説明書についてもわかりやすく、親切な記述で、ひじょうに分かりやすい。

 今回取り上げるネックバンドタイプの、Lambda 01(ラムダ・ゼロワン)と、完全ワイヤレスタイプのAlpha 01(アルファ・ゼロワン)についても、イヤホンとしてのクォリティを追求しつつ、使いやすさ、耐久性を重要視した設計で、製品の企画、デザインに加え、基本性能の検証についても熟練の日本人エンジニアが関わり、厳格な品質管理を行なっているという。

 いずれも防水機能を備えたBluetoothイヤホンで、ドライバーはオーソドックスなダイナミック型だ。ここで注目されるのが、ダイヤモンドを超える硬度を誇る結合炭素素材「グラフェン」をコーティングした振動板を採用していること。

 グラフェンは炭素原子とその結合からできた物質で、炭素同士の結合が強く、硬度ではダイヤモンドに勝ると考えられている。振動板のコーティング素材は数多いが、そのなかでも剛性に優れ、特に“引っ張り”に対する強さでは群を抜くという。

 

ワイドレンジながらクセがなく、気持ちのいい音が魅力のLambda 01

 まず左右2個のイヤホンをフラットケーブルで結んだLambda01だが、コンパクトなメタル素材のハウジングには大口径(10mm径)ダイナミック型のドライバーが組み込まれ、ケーブルにはリモコン、マイクを配置している。

 iPhone12Proとの組合せで、Amazon Music音源から「悲しみがとまらない/杏里」、「風立ちぬ/松田聖子」などを聴いたが、そのサウンドが音像の骨格をはっきりと描き出し、中/低域が厚く、ベース、バスドラが気持ちよく躍動する。

 ボリュウム感に富んだ柔らかな感触を大切にしながら、ほどよく音の芯を出す感じで、声のニュアンスは生々しく、感情表現も豊かだ。一定の分解能を備え、ワイドレンジ志向ながら、低域、高域ともにクセっぽさはなく、正攻法の仕上がり。この価格でここまでのサウンドクォリティを獲得するとは、驚きだ。

WIRELESS EARPHONE
Lambda 01
オープン価格(実勢価格2,860円前後)

● 型式:ネックバンド式ワイヤレスイヤホン
● ドライバー:10mmダイナミック型ドライバー
● Bluetoothバージョン:5.0
● Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC 
● 最大再生時間:約10時間
● 防水性能:IPX5 
● カラリング:ブラック、ダークグレー

 

フットワークのいい軽快な音。ニュートラルな音調のAlpha 01

 続いて完全ワイヤレスイヤホンのAlpha 01。本体は手触りのよいマット仕上げで、タッチセンサーの基本操作も比較的分かりやすく、反応も良好だ。刺激臭のない穏やかな聴かせ方で、フットワークのいい軽快なサウンドが確認できる。

 特定の色合いを感じさせないニュートラルな音調はLambda 01に通じるもの。厚みのある低音を聴かせようとか、すっきり伸びた高音を出そうとか、派手なサウンドチューニングを行なう考えはなく、透明感や繊細さを大切にした飾り気のない仕上げだ。

 

TRUE WIRELESS EARPHONE
Alpha 01
オープン価格 (実勢価格5,480円前後)

● 型式:完全分離式ワイヤレスイヤホン
● ドライバー:9mmダイナミック型ドライバー
● Bluetoothバージョン:5.0
● Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC
● 最大再生時間:約10時間(ケース併用で約25時間)
● 防水性能:IPX4
● カラリング:ダークグレー、ライトグレー
● 問合せ先:3eeお問合せ窓口 e-mail:support@3ee.fun

 

 トータルとしての表現力となると、左右のドライバーを有線で結んだLambda 01がやや有利。ただAlpha 01のスマートさはもちろん、片側だけでも使用できる手軽さは、魅力的。どちらを選ぶか悩ましい。新星3eeに注目だ。