エミライから、Noble Audio(ノーブルオーディオ)の完全ワイヤレスイヤホン史上最高音質を実現した新製品「FALCON PRO」が発売される。市場予想価格は¥26,900前後(税別)で、12月18日の登場予定だ。

 同社の完全ワイヤレスイヤホンは、初代モデル「FALCON」が好評を博し、今年10月30日に第二弾となる「FALCON2」が発売されたばかりだ。今回のFALCON PROは、そのFALCON2をベースにしているが、さらなる高音質化のために多くの改良が施されている。

充電ケース表面には「FALCON PRO」の文字が見える

 その第一が、BAドライバー+ダイナミックドライバーというハイブリッド構成を採用している点だ。これまでの2モデルはPET振動板の上にカーボンファイバー層を重ねた「Dual-Layered Carbon Driver」によるフルレンジ再生だったので、音づくりの根本から見直されていることがわかるだろう。

 高域用にはアメリカKnowels製BAドライバー「SRDD」を、中低域用には6mm径のチタンコーティング振動板「Tri-layered Titanium-coated Driver(T.L.T. Driver)」を搭載した。

 SRDDはデュアルドライバー構成(2基のBAドライバーを内蔵)を採用したKnowels社の最新世代BAドライバーで、豊かな高域表現と広大な音場、精密なフォーカス感が再現できるという。今回はノズル先端に取り付けられている。

 T.L.T. Driverはポリウレタンとポリエーテルエーテルケトンを組み合わせた複合素材振動板にチタンコーティングを施こすことで、高い剛性と軽さ、高い内部損失を実現。スケール感豊かな低域表現が可能になっている。

イヤホン本体のタッチセンサー部の形状が変更されている

 心臓部となるSoCはクアルコムの最新世代チップ「QCC3040」で、これはFALCON2を継承。このチップを活かした高い性能と低消費電力が実現されている。左右のイヤホンへそれぞれデータを伝送する「TrueWireless Mirroring」にも対応済みだ。

 もうひとつQCC3040の特性を活かして、さらなる接続性の向上も図られている。Bluetoothの接続品質を高めるには、イヤホン装着時のアンテナの位置や角度を使用時の通信状況に合わせて最適化することも重要だ。FALCON PROのアンテナ基板はイヤホンを装着した際に信号強度がもっとも減衰しにくい配置となっており、電波干渉の多い環境でも安定した通信を実現できるように配慮されている。

 もちろん歴代のFALCONシリーズ同様に、“Wizard” の異名を持つジョン・モールトン氏によるチューニングも施されている。今回はSRDDとT.L.T.ドライバーとの帯域分割を最適化したクロスオーバーネットワークやアコースティックダンパーによる空気の流れの調整、DSPによる音響特性の調整などの3つの要素の掛け合わせで “完全ワイヤレスイヤホン史上最高音質” を目指したそうだ。

 コーデックはSBC、AAC、aptX Adaptiveに対応。aptX Adaptiveは通信環境に合わせてビットレートが自動調整されるもので、対応プレーヤーが必要にはなるが、aptX HD接続時には48kHz/24ビットでの伝送も可能になる。

ケースにフル充電した状態では、イヤホン本体4回分の充電が可能

 FALCON PROの本体デザインはタッチセンサー部がFALCON2の丸みを帯びたフォルムから三角形に近い形変更され、シャープな印象が増している。イヤーチップはePro Audioが新たに開発したTWS専用のホーン形状で、シリコンとグラフェンの配合比率を見直して、耐久性を向上させながら耳にフィットする柔軟性も備えている。

 充電ケースは天面に「FALCON PRO」という型番が入っている他は、FALCON2と同じデザインを採用。Qiによるワイヤレス充電も可能だ。連続再生時間は本体が最大5.5時間(最大音量時)で、充電ケースを使えば本体を4回充電可能だ(フル充電時)。

 また今回、直販サイトのエミライダイレクト、および家電量販店でFALCON PROを予約購入した方にはワイヤレス充電パット「NEST」をプレゼントするキャンペーンも実施される。キャンペーン期間は12月4日10:00〜12月17日23:59まで。

ePro製イヤーチップや充電用ケーブル、キャリングケースが付属

 さて今回、FALCON PROの試聴機をいち早くお借りすることができたので、数日間体験してみた。本体、充電ケースともFALCON2とほぼ同じサイズ、重さで取り扱いも快適だ。

 さっそくFALCON PROとiPhoneの組み合わせで、AACコーデックによる伝送での音を確認した。

 エリカ・バドゥの「Rimshot」(CDをリッピングしたFLAC)は冒頭から量感たっぷりの低音がはいっているが、ここでも安定感のある音場が楽しめる。豊かな低音と素直に伸びる高域で、彼女のヴォーカルもいっそう心地よく感じられる。

 アンネ=ゾフィ・ムター『アクロス・ザ・ユニバース』もとても自然な再現性で、再生を始めたら一気に最後まで聴き通してしまった。ムターが奏でるバイオリンの響き、劇伴とも違う情緒性が際立ち、収録しているスタジオの空間の広さもわかるようだった。

 それがより顕著になったのが『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラだった。11曲目「We Will Rock You(Movie Mix)」では、ステージから呼びかけるフレディと、それに応える観客の距離感が今までよりはっきり再現できている。

左が「FALCON2」で、右が「FALCON PRO」。サウンドにもそれぞれの個性があった

 そこで、この曲をFALCON2とFALCON PROで聴き比べてみることにした。FALCON2もさすがの安定感で、バランスのいいサウンドが再生された。フレディの声のニュアンス、音場感はFALCON PROとよく似ている。

 違っていたのはFALCON2が劇場に近い印象なのに対し、FALCON PROではもう少しモニターライクでダビングステージの音のように聴こえたことだ。といっても冷たい音というわけではなく、フレディと観客の間の空気が澄んで見通しがよくなった、それぞれの “声” にフォーカスがしっかり合って音に奥行が加わった、そんな感じだ。

 “完全ワイヤレスイヤホン史上最高音質” を目指したFALCON PROの音は、イヤホン愛好家なら一度体験してみる価値があるだろう。

「FALCON PRO」の主なスペック

●ドライバー:SRDD BAドライバー、Φ6mm Tri-layered Titanium-coated Driver
●チップセット:クアルコムQCC3040(TrueWireless Mirroring対応)
●再生周波数帯域:20Hz〜24kHz
●マイク:全指向性/クアルコムCVCノイズキャンセリング対応
●Bluetooth仕様:Version5.2/Class2/マルチペアリング対応
●Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
●連続再生時間(最大):5.5時間(最大音量時)/10時間(70%音量時)
●充電時間:イヤホン約1時間/充電ケース約1.5時間
●耐水性能:IPX5
●イヤホン重量:約6.0g(片側)、充電ケース52.5g