Mpow Japanから、アクティブノイズキャンセル(ANC)機能付きの完全ワイヤレスイヤホン「X3 ANC」が発表された。発売は2020年夏を予定している。価格は¥9,980(税別)。

 X3 ANCは、スティックタイプの完全ワイヤレスイヤホンで、1万円(税抜き価格)を切る価格で、近年流行りのANC機能を搭載しているのが特徴だ。

 ANCはフィードフォワード方式で、ハウジング外側、タッチセンサー上部(インジケーターの下)に内蔵されたマイクを使って、耳障りなノイズをキャンセルしてくれる。

 その効果は高い上に、少し前のANCのような違和感もなく、とても自然な印象。詳しくは後段で紹介するが、通勤時の満員電車(地下鉄)で使用した感想としては、新型コロナウイルス防疫のために窓が開いていたり、強めの送風が行なわれているような環境下(車内)においても、確実に耳につく低周波のノイズを除去してくれた。音楽を聴かなくても、ノイズキャンセルのための、耳栓代わりに使ってもいい感じだ。

 さて、本機の仕様としては、完全ワイヤレスモデルとしては大型となる、10mm径ダイナミック型ドライバーを搭載し、量感のある低域から、伸びやかな高域までを1Dで再現。

 ハウジング外面にはタッチセンサー(マルチファンクションボタンと表記)も装備されており、ANCのオン/オフ(右側を2秒長押し)、音量調整、再生/一時停止、早送り/早戻し、着信応答、AIアシスタントの起動(左側を2秒長押し)といった操作が、耳元で行なえる。

 内蔵バッテリーの再生時間は、連続で約7時間。ANCをオンしても約6時間の再生が可能だ。収納ケースには充電機能もあり、それを併用すれば、ANCオンでも合計で約24時間の再生が行なえる計算となる。充電端子は、USB Type-C。なお、サポートするコーデックはSBCとAACとなる。

 さて、短時間ながらサンプルを試聴する機会を得たので、そのインプレッションを紹介したい。まず、ANCオフでの再生(試聴)では、10mm径のダイナミック型らしい、押し出し感の強い低音が堪能できた。同時に、ボーカル帯域もくっきりと再現してくれるので、低域に埋もれることなく、クリアな歌声を聴くことができた。接続がSBCとなることもあって、高域については若干伸び切っていない印象も受けるが(詰まった感じはない)、音の広がり感もあり、全体的なバランスはまとまっている感じだ。音調はしっとりしたもの。

 そこで、ANCをオンにすると、景色(音調)が一変する。低域部分の余計なノイズがなくなった(キャンセルされた)からか、逆に高域がスッと立ち上がり、音に伸びやかさが出てくる。オフ時に感じたボーカルの再現性は、(ANCを)オンにするとさらに浮かび上がってくるよう。低域の再現性は少し抑えめになるが、中域と低域の音のつながりがよくなることで、低域~ボーカル帯域までの音のまとまり感というか、明瞭度は向上する。なにより、オンにした場合、ボリュームがアップする感覚もあり、試聴に使用したシャンリンのポータブルプレーヤー「M0」では、「+5」ほど音が大きくなる印象だ。これはもう、常時オンでもいいのではないか、と感じた次第。

 最近人気のスティックタイプの完全ワイヤレスイヤホンであり、しかも、1万円を切る価格で、上質なノイズキャンセルが味わえる、注目の製品が誕生した。

イヤーピースはハードタイプ(穴が大きい)とソフトタイプ(同小さい)の2種類6サイズを同梱する

X3 ANCの主な仕様
Bluetooth ver:5.0
ドライバー:10mm
再生周波数帯域:20Hz~20kHz
コーデック:SBC、AAC
搭載チップ:BES2300Z
バッテリー持続時間(連続再生):約7時間(ANCオフ)、約6時間(ANCオン)
質量:6g