新型コロナウィルス感染拡大という想定外の出来事もあり、この春はいつものように盛り上がらないと感じている方も多いだろう。周りを見渡しても、イベントの中止や外出自粛など、すっきりしない出来事ばかりだ。でも、せっかくお気に入りオーディオシステムやホームシアターを持っているのだから、こんな時こそこそいい絵やいい音に触れて気分をあげていきたいもの。ということで、これから数回に渡って、StereoSound ONLINE筆者陣が選んだお薦めコンテンツを紹介する。第二回は堀切日出晴さんが選ぶ“元気が出る日本映画”だ。(編集部)

『第1作 男はつらいよ 4Kデジタル修復版』¥3,080(税込)

 人情家で世話好きで、ちとズレていて妹さくらをはじめとする周囲を困らせる。そんなフーテンの寅さんが故郷・柴又に戻り、そこで失恋をして、また旅に出る。毎度毎度のお約束だが、大笑いさせて、ホロリとさせながら、エンディングはいつも元気な寅さんがいる。それを観て、ココロ豊かに身も軽く、ボクもワタシも頑張ろうとなるのだ。4Kデジタルレストアされたブルーレイの出来栄えも素晴らしく、シリーズ全作をごゆるりとご覧あれ。

『隠し砦の三悪人』 ¥4,700(税別)

 ときは戦国時代。敗軍の侍大将が行きずりの農夫ふたりを従えて、世継ぎの姫と砦に隠し置いたお家再興の軍資金とともに、絶体絶命の敵陣横断突破に挑む。黒澤明、菊島隆三、橋本忍、小国英雄の4人が練り上げた脚本の見事。脚本の弱点は演出では補えない、と言い切る黒澤ならではの絶品作劇術に加え、アクションに次ぐアクション、それも緩急自在に静から動の場面へと転ずるのだからタマラナイ。地殻変動級の元気をもらえる大傑作だ。

『シコふんじゃった。 4K Scanning Blu-ray』 ¥4,800(税別)

 春場所の無観客相撲を見て、胸が苦しくなったのはワタシだけではあるまい。思えばバブルが崩壊、製作本数も減少した日本映画界に元気を与えた映画のひとつ、それが本作であった。単位取得の交換条件で相撲部へ入った学生を中心に、弱小大学相撲部の面々が奮起、相撲を通じて成長していく。若貴人気による相撲ブームの只中で、周防監督のテンポよろしき演出、演じ手の好演によって爽快感が残る快作となった。今回も元気をもらおうよ。

『フラガール Blu-ray Disc』 ¥4,700(税別)

 昭和40年、常磐炭鉱の経営危機に際した町おこし事業、常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)の設立にまつわる実話の映画化だ。当時の世相を描きつつ、フラダンスに賭けた地元娘たちの素朴な青春エネルギーを迸らせた感動作である。その後、東日本大震災による被害から復興を果たすも、今回のウイルス被害によってショー休止に追い込まれている(執筆時点)。だがきっと、映画の元気そのままに再開されることだろう。