このリッチな音にただ揺られていたい
映画の再生でも抜群のパフォーマンス

 イギリスのB&Wと並んでわが国でもっとも人気の高いスピーカーメーカーといえば、イタリアのソナス・ファベールだろう。本誌ベストバイでもSonettoシリーズを中心に同社製スピーカーが常に上位を占めているのはご承知の通り。ここでご紹介するエレクタ・アマトールⅢもスピーカー部門6(ペア100〜200万円) で単独1位を獲得し、今般のHi Viグランプリでも「スピーカー部門賞」の栄誉に浴している。

 エレクタ・アマトールのオリジナル機の誕生は1988年。日本で人気に火がつき、世界中のオーディファイルから注目を浴びたコンパクトスピーカーである。3世代めとなる本機は、オリジナル機の基本コンセプトを継承し、セルロース・パルプを自然乾燥させたダイアフラムの18cmウーファーと、ソフトドーム・トゥイーターの頭頂部をイコライザーでダンプしてスムーズな超高域特性を狙った同社独自のDADトゥイーターを組み合わせた2ウェイ機に仕上げられている(リアポートのバスレフ型)。キャビネットはウォルナットの無垢材で、底面にはイタリア北部で産出された白大理石が用いられている(付属のスピーカースタンドの台座部分にも。スタンドの支柱はアルマイト処理のアルミ製。スタンドと本体は大型ネジで連結される)。

 ステレオサウンド社から発売されたSACD『シナトラ・ライヴ・アット・ザ・サンズ』を聴いてみたが、このライヴ盤ならではのゴージャスでリッチなビッグバンド・サウンドを色鮮やかに描写し、心をつかまれた。シナトラのウォームなヴォーカル、ホーン・セクションのストレスを感じさせない吹け上がりのよさ、リズム・セクションのゆったりとしたグルーヴ、ホール・プレゼンスの豊かさ、すべて間然するところがない見事なパフォーマンス。目を閉じると、30cmウーファー級の大型スピーカーを聴いているかのようなスケールの大きさを実感させるところが本機のかけがえのない魅力だろう。本機のリッチでスウィートなミッドレンジは、映画再生との相性も抜群。米国盤UHDブルーレイ『YESTERDAY』のエド・シーランの声をことのほか魅力的に聴かせ、心が蕩けそうになりました。

 また本機はバイワイアリング接続の効能が著しいことも特記事項。2系統の入力端子をつなぐメタルバーが音質阻害要因となっているのは明らかで、オーナーになったアカツキには、メタルバーをはずしてスピーカーケーブルを短く切って代用するか、バイワイアリング接続をぜひ試していただきたい。

Sonus faber
ELECTA AMATORⅢ
¥1,300,000(ペア・スタンド付属)+税

●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:28mmドーム型トゥイーター、180mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.5kHz ●出力音圧レベル:88dB/W/m
●インピーダンス:4Ω ●寸法/質量:[本体]W233×H373×D348mm/14.8kg
[スタンド]W302×H716×D355mm/11.2kg
●問合せ先:(株)ノア TEL. 03(6902)0941

ウォルナットの無垢材をメインに、イタリア北部カッラーラ産の白大理石を底部に使用。リアパネルは黒いレザー張りと、高級素材を駆使した贅沢な作りだ。バイワイアリング接続するとさらに音質が向上する可能性が高く、ユーザーは積極的にトライしたい

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