ステラは、10月6日午後に東京国際フォーラムで恒例の新製品発表会を開催した。今回のテーマは、「Air Force Zero試聴会」。以前から予告されていたTechDASブランドの最高峰アナログターンテーブル「Air Force Zero」の最終のサウンドが体験できるという内容だ。それもあり、会場には100名を越す熱心な音楽ファンが詰めかけていた。

 その会場で発表された型番、価格、オプション機器は以下の通り。

Air Force Zero本体(左上段)と電源ニュニット(右側の3つ)。本体の下段はフォノイコライザー

●本体価格
Air Fore Zero ¥45,000,000(税別、チタン製トッププラッター)
Air Fore Zero ¥50,000,000(税別、タングステン製トッププラッター)

●オプション
Air Fore Zero本体専用ラックMaster Kio ¥5,000,000(税別)
Air Fore Zeroポンプユニット/電源ユニット/3筐体専用ラックMaster Kio ¥3,500,000(税別)
Air Fore Zero専用ラック2台フルセットMaster Kio ¥8,500,000(税別)
Air Fore Zero用プラットフォームベース ¥950,000(税別)
タングステン製アッパープラッター ¥5,500,000(税別)
追加用トーンアームベース(チタン製) ¥600,000(税別)
ディスクスタビライザー・アルティメイト ¥400,000(税別)

 Air Force Zeroについては、以前からその価格も注目を集めていた。本日発表されたお値段は通常モデルが¥45,000,000(税別)、タングステン製トッププラッターを取り付けたモデルが¥50,000,000(税別)というもの。製造の都合上10台単位での出荷となり、年内発売予定の第一ロットは既に予約完売、来年3月頃の第二ロットも半分近くは予約が入っているそうだ。

写真手前がモーター部で、ベルトドライブ方式で奥側の大型プラッターを回している

 Air Force Zeroは本体サイズも桁外れのW901×H335×D677mm、総重量は350kgに及ぶ。製品の構造自体は、重さ100kgのステンレンススチール製ベースフレームに設けられた4本の支柱にサスペンション機構が内蔵されており、ここに超々硬質ジュラルミンからなるプラッターベース(重さ35kg)がぶら下がっているイメージだ。これにより、プラッター本体に低周波の振動が伝わらないようにしている。

 そこに取り付けるプラッターは5層構造で、厚さ40mm/重さ34kgのステンレス、厚さ31 mm /重さ20kgのステンレス、厚さ31 mm /重さ20kgの砲金、厚さ31 mm /重さ20kgのステンレス、厚さ31 mm /重さ26kgのタングステンが重ねられている。この5つのパーツは一体化されておらず、再生時にエアーで吸着することであたかもひとつの塊のようになる。これは機械的ストレスがかかるネジなどを使いたくないという狙いだという。

 ちなみに電源部は別筐体で、エアーポンプ用を含めて3台準備される。それぞれW430×H205×D365mmというサイズなので、導入時にはこちらのスペースも考えておかなくてはならない。先述のようにオプションで専用ラックも準備されている。

 そのAir Force Zeroは、今年3月に今日と同じ会場でプロトモデルのデモが行なわれたが、その後、北米のサンタモニカ(その場で2人が予約したとか)やドイツのミュンヘンハイエンドショウ、さらに8月には香港といった具合に、世界中のあちこちで試聴会を開催してきたそうだ。いずれの会場でも大きな評判になったとかで、11月に開催される東京インターナショナルオーディオショウでも注目を集めることだろう(もちろん試聴会も予定されている)。

ウィルソンオーディオのALEXXといったハイエンド機器との組み合わせで音をデモ

 さて、本日の発表会ではステラの会長でAir Force Zeroの開発責任者でもある、西川英章氏が開発の経緯を紹介、その後アナログレコードを使って音を聴かせてくれた。

 Air Force Zeroの開発は4年前にモーターからスタートした。ドイツPapst社の高級シンクロナスモーターを使い、フライホイール式のエーベアリングドライブモーターを開発したそうだ。このモーターは、通常はアナログで駆動しているが、回転数が少しでもずれると即座にDSPを経由してクロックを送って補正するそうだ。この制御回路とソフトウェアの開発に2年の時間をかけたそうだ。

 ところで、Air Force Zeroで特徴的な点として、エアーベアリングでプラッターを浮かせつつ、同時にエアーバキュームでレコード盤を吸着するという複雑な構造を採用していることがある。この相反する要素を実現するためにも緻密な設計や高い加工精度が求められた模様だ。

 動作時には、下側のダクトから空気を送り出し、重さ120kgのプラッターを約10ミクロン浮かせている。これだけ重量のある物体をベルトドライブ方式で回転させることで、なめらかでかつ安定した回転を実現しているわけだ。

 一方のエアーバキュームはダクトの内部を通して空気を吸い出す仕組みで、5層のプラッターの間に設けられたスペースを真空状態にすることで、ぴたりと圧着するようになっている。天面に置かれたレコード盤も同様にスリットから空気を吸い込んでエアーチャッキングしているそうだ。

左がPapst社製のシンクロナスモーターで、右はエアバキューム用のポンプ

 試聴タイムでは、Air Force Zeroにふたつのトーンアーム(グラハムエンジニアリングPHANTOM ELITE Ti+TechDAS製カートリッジと、SMEのトーンアーム+オルトフォンSPU Royal)を取り付け、音楽の種類によって使い分けていた。なおその他のシステムはフォノイコライザーがコンステレーションオーディオのPERSEUS、プリアンプがALTAIR II、パワーアンプがHERCULES IIという超ハイエンド。スピーカーはウィルソンオーディオのALEXXだ。

 先述した通り、西川氏は自慢のアナログレコードコレクションから、クラシックやライブステージ、オペラなど様々なソースをかけてくれた。アルフレッド・ブレンデルの『へートーベン:ピアノコンチェルト5番』やハリー・ベラフォンテ、デューク・エリントン・オーケストラの『BIGBANDS LIVE』、さらには、弊社が現在制作中の小椋佳のSACD用マスターから製造したラッカー盤も再生している。

 それらすべてに共通しているのが、圧倒的な静けさだ。どのレコードでも、バックグラウンドノイズがぐっと小さくなり、スクラッチノイズが目立たない。西川氏によると、Air Force Zeroでは従来以上に、この2点の進化わかるようになってきたという。

 確かに今回と同じレコードを別の試聴会で聴かせてもらったことがあるが、その時の印象と比べても、S/Nは格段にいいし、音のダイナミックレンジ、低音の張り出しなど別次元のサウンドだ。価格と同様に、音も桁外れなのは間違いないだろう。

株式会社ステラ 会長でAir Force Zeroの開発責任者でもある、西川英章氏

 西川氏は、「最近は若い人の間で、ハイレゾとアナログレコードがブームだといいます。私もハイレゾを聴いたことはありますが、1時間で疲れてしまいました。アナログに勝るハイレゾはないと感じたのです。本当の音楽は、アナログで聴いて欲しいと思っています」とアナログレコードへの愛を語ってくれた。

 そして最後に、「ターンテーブルについては、今後バリエーションモデルはあるかもしれませんが、本格的な開発はAir Force Zeroで終了しました。これが究極のプレーヤーだと考えています。ただ、次の予定としてトーンアームを開発したいと思っています。2年くらいかかるかもしれませんが、究極のトーンアームです。完成の暁にはぜひAir Force Zeroと一緒に使って下さい」と、さらなる高みを目指すことを宣言し、試聴会はお開きとなった。

西川氏のアナログレコードコレクション(そのごくごく一部)