100万円で買えるネイティブ4Kプロジェクターも2モデル

 JVCから、ネイティブ4Kパネルを搭載した8K表示対応プロジェクター「DLA-V9R」が発表、10月下旬に発売される。価格は¥2,000,000(税別)。合わせて、ネイティブ4Kパネル搭載の4Kプロジェクター「DLA-V7」、「DLA-V5」も10月下旬に発売となる。価格は、DLA-V7が¥1,000,000(税別)、DLA-V5は¥750,000(税別)となる。

▲JVCの8K表示対応のプロジェクター「DLA-V9R」。10月発売で価格は200万円!

 今回発表された3機種は、すべて、0.69型サイズ、17:9のパネルアスペクトのDCI-4K解像度(水平4096×垂直2160画素)のスペックを備えた、JVC独自の反射型液晶方式のD-ILAデバイスを使ったプロジェクター。光源は265Wの高圧水銀ランプを用いている。

 このパネルは、「DLA-Z1」で初搭載された素子とほぼ同じ仕様だが、平滑さなどの点でパネル自体の性能は進化しているとのことで、後述するコントラストなどの諸性能が向上したという。

 最上位のDLA-V9Rは、JVC独自の画素ずらし技術「e-shift」を用いて、画面上での8K表示を果たした点が最大の特徴。業務用機器の世界では、JVCはすでに8K表示に対応したプロジェクターを市販しているが、家庭用モデルとしては世界で初めての製品になる。

 ただし、8K映像をサポートするHDMI2.1規格に対応したレシーバーICが存在していないため、残念ながら8K映像の入力には対応していない。つまり、本機は、「4K映像あるいはフルHD映像」を用いて内部的に8K映像へと変換、それを画素ずらし技術にて「8K表示」するという製品なのである。8K映像の変換は、JVCが磨き上げてきた「マルチプル・ピクセル・コントロール(MPC)」回路が使われる。

 JVCによると、4Kカメラでの映像収録の際には、実際の被写体に加えて、物体周辺の画素に滲みが発生した状態で収められているという。その信号情報をMPC回路を使って解析、被写体の周辺の情報を含んだオリジナルに近い情報へと復元/投写。結果的に、4K以上の情報を備えた映像描写をスクリーン上で実現する、としている。

 この考え方は、フルHDパネルを画素ずらしで用いて4K映像表示を実現していた「4K e-shift」と同様で、今回の8K表示は、JVCが培ってきた「e-shift」技術の8K適用ヴァージョンといえるだろう。

 3製品の共通点としては、
(1)HDR10コンテンツ再生時に最適な画質に自動調整する「オートトーンマッピング」機能の搭載
(2)HDR10、HLG(ハイブリッドログガンマ)対応
(3)新世代の外観デザイン
(4)18Gbps対応HDMI入力2系統の装備
(5)オールガラスレンズの採用
  (ただし、V9は100mm口径のハイグレード品、V7とV5は65mm口径仕様)
 などが挙げられる。

 「オートトーンマッピング」は、HDR10コンテンツに埋め込まれた最大輝度(Max CLL)や平均最大輝度(Mac FALL)などのマスタリング情報を活用して、画質を自動的に調整する機能。ダイナミックメタデータを使って、動的にHDR映像を表示する「ドルビービジョン」や「HDR10+」のプロジェクター向けの運用が定まっていない現状におけるJVCからの大画面HDR表示へのひとつの再生ソリューションといえよう。HDR信号は、HDR10とHLGの2種類をサポートする。

 新世代の外観デザインは、センターレンズデザインは変わらないが、従来機(DLA-X990R)など比較して、筐体全体の高さが増した格好だ。本体仕上げは、V9RとV7がブラックのみ、V5はブラックとホワイトの2カラーとなる。なお、奥行は518mmと従来機(X990R)が472mmと比較してわずかな違いとなっている。レーザー光源搭載の最上位機DLA-Z1が720mmだったことを考えると、既存の4K e-shift対応JVCプロジェクターからのリプレイスが、とても現実的だともいえよう。

▲ネイティブ4Kパネルを搭載した4Kプロジェクター「DLA-V7」

▲末っ子モデルの「DLA-V5」のみ、本体色はブラックとホワイト(写真)をラインナップする

 3モデルともに、18Gbpsの高速対応のHDMI端子2系統を装備しており、4K/60pのHDR信号を含む、主要な映像信号をほぼ受け付ける。

 画質品位に直結する光学レンズのスペックは3モデルとも2倍電動ズーム/フォーカス/シフト対応のレンズ機構を備えた「オールガラスレンズ」の仕様となっている。ただし、トップモデルのV9Rと、V7/V5ではグレードが異なり、V9Rは、5枚の特殊低分散ガラスを含む、16群18枚の100mm口径仕様を搭載。V7とV5は、65mm口径の15群17枚の仕様だ。

 3モデルの仕様は以下の通り。特に注目したいは、画面上の漆黒の表現をどこまで行なえるかの指標ともなるネイティブコントラストおよびダイナミックコントラストの値だ。特にV9は、100,000:1(ネイティブ)、1,000,000:1(ダイナミック)に達している。優れたコントラストを誇るネイティブ4Kパネルを用いた、漆黒と2200ルーメンの光出力を備えたHDR表現に期待が持てる。

DLA-V9Rの主なスペック

搭載パネル:0.69型D-ILAデバイス×3
パネル解像度:水平4096×垂直2160画素
パネルアスペクト:17:9
表示解像度:水平8192×垂直4320画素(※8K映像入力には非対応)
レンズ構成:2倍電動ズーム・フォーカス・シフト/100mm口径16群18枚オールガラスレンズ
レンズシフト:上下100%、左右43%(16:9投写時)
光源:高圧水銀ランプNSH 265W
光出力:2200ルーメン
ネイティブコントラスト:100,000:1
ダイナミックコントラスト:1,000,000:1
入力端子:HDMI2系統(18Gbps対応)
HDR対応:HDR10、HLG
3D対応:あり
オートキャリブレーションモード:対応
THX 4K認証:対応
寸法:幅500×高さ234×奥行518mm
質量:21.8kg

DLA-V7の主なスペック

搭載パネル:0.69型D-ILAデバイス×3
パネル解像度:水平4096×垂直2160画素
パネルアスペクト:17:9
表示解像度:水平4096×垂直2160画素
レンズ構成:2倍電動ズーム・フォーカス/65mm口径15群17枚オールガラスレンズ
レンズシフト:上下80%、左右43%(16:9投写時)
光源:高圧水銀ランプNSH 265W
光出力:1900ルーメン
ネイティブコントラスト:80,000:1
ダイナミックコントラスト:800,000:1
入力端子:HDMI2系統(18Gbps対応)
HDR対応:HDR10、HLG
3D対応:あり
オートキャリブレーションモード:対応
THX 4K認証:非対応
寸法:幅500×高さ234×奥行495mm
質量:19.8kg

DLA-V5の主なスペック

搭載パネル:0.69型D-ILAデバイス×3
パネル解像度:水平4096×垂直2160画素
パネルアスペクト:17:9
表示解像度:水平4096×垂直2160画素
レンズ構成:2倍電動ズーム・フォーカス/65mm口径15群17枚オールガラスレンズ
レンズシフト:上下80%、左右43%(16:9投写時)
光源:高圧水銀ランプNSH 265W
光出力:1800ルーメン
ネイティブコントラスト:40,000:1
ダイナミックコントラスト:400,000:1
入力端子:HDMI2系統(18Gbps対応)
HDR対応:HDR10、HLG
3D対応:あり
オートキャリブレーションモード:対応
THX 4K認証:非対応
寸法:幅500×高さ234×奥行495mm
質量:19.8kg