全段バランス増幅で、サークロトロン出力回路によるOTL設計+マッチングトランスの構成。ホワイト&ブラックの『管球王国』特別限定仕様
フロントビュー。『管球王国』特別仕様Limited Editionはシャーシがパールホワイト、トランスケースが黒のレザー調塗装で仕上げられる。天板上の中央が出力管のTung-Sol製KT120で、ウエスギ銘の選別管である。
リアビュー。シャーシ部に「UESUGI Limited Edition」のプレートが付される。4/8/16Ωが独立のスピーカー出力端子をリア側の天板上に装備する。
トップビュー。フルバランスの増幅段設計と、サークロトロン出力段採用のOTLアンプ+インピーダンス比[10:1]のマッチングトランスという構成が、本機の回路の骨格。写真左のトランスケースにマッチングトランスが納められ、サークロトロン回路に必須のプラスサイクル/マイナスサイクル用が独立した2組のフローティング電源を供給する2基の電源トランスが右のケース内にマウントされる。入力端子はリア側の天板上に配置。XLRバランス入力と、DIRECTおよびNORMAL(2系統パラレル)のRCAアンバランス入力に対応する。接続はトグルスイッチ切替え。フロント側左端のノブがNORMAL入力時のレベル調整用。その右が出力管バイアス調整とプッシュプルバランス調整のセレクターノブで、いずれの調整もLEDインジケーターを参照しながら天板のトリマー操作で行なえる。出力管KT120の左が、前段回路を構成する3本のMT管。上から、無帰還差動回路でアンバランス/バランス変換を行なう12AX7(松下電器製)、パワーアンプ部初段の12AT7(Philips ECG製)、ドライバー段の6CG7(Electro Harmonix製)。12AT7と6CG7による2段差動アンプでKT120サークロトロン出力段を励振するフルバランス増幅の回路設計である。スピーカー出力端子の右にはプリアンプによる電源オン/オフを可能にするトリガー端子を装備。
内部を見る。中央の増幅部はウエスギ伝統の手配線で構成される。同時に、写真左側の電源部などに回路基板が採り入れられ、内部レイアウトにはゆとりがある。負帰還がマッチングトランス1次側から初段12AT7カソードにバランス構成で戻される点が、出力トランス2次側の専用巻線から負帰還を戻していた前世代機U・BROS120Rの回路との大きな相違点。歪率特性の面では不利だが、音質面での優位性を採った結果という。負帰還ループから外れたマッチングトランスの代わりにボイスコイルインピーダンス800Ωのスピーカーが接続されると、95W/800Ωの真空管OTL動作となる。ドライバー管6CG7のプレート抵抗への供給電圧は出力管カソードの電圧によって底上げ(ブートストラップ)され、大振幅の出力管KT120励振電圧を得る設計である。サークロトロン出力回路には、写真左下のチョークコイルと、その右の整流回路基板に見えるリップルフィルター用コンデンサーを経てプラスサイクル用/マイナスサイクル用フローティング電源が供給される。
バランス構成の負帰還回路にはグレー被膜の二芯シールドケーブルが使われている。
MT管で構成される前段回路部はシールド板によって入念にノイズ対策が図られる。
トリガー端子の装備に伴って、前世代機U・BROS120Rに対して写真中央に見えるパワーリレーが1基増設された。
別売オプションの真空管保護カバー(G120X、¥50,000税別ペア)を装着した状態。