・Part.1はコチラから、Part.2はコチラから、Part.4は、2月11日の正午に公開を予定しております。お楽しみに!
②アルテック802C+H811
パワーアンプ
アルテック 1520T 低域用
IPC AM1027 中高域用
アメリカン・サウンドの魅力が際立つ。最初期のアルテックA7を想起する
アルテック802C+H811
アルテック802C
本機802Cの前身モデルである802Bは、1947年に登場した800システムにおいてH808B/H808Cホーンとの組合せで800Hz以上を受け持っていた。802Cは、1954年に登場したA7システムでH811ホーンとの組合せで使用された。また、1957年には802Dが登場した。これらのボイスコイルインピーダンスは15〜16Ωであったが、1973年に登場した802-8D、1975年の802-8E、1975年の802-8Gはいずれもインピーダンス8Ωとなっている。またH811ホーンは1954年のA7、A6システムで採用されたが、同年に発表された家庭用システム820Cでは811Bホーンが採用された。(土井)
新 112号の取材ではアルテック802C+H811をJBL D130と組み合わせ、アルテックH825エンクロージュアにマウントして聴いていますが、そのときの記憶と同様、アルテック3000Hトゥイーターを追加したらどうなるだろうかと思わせる感じがあります。プリアンプのトーンコントロールで対処できる範囲ではあるんですが、それが最初の「マーラー」での印象でした。
「ベイシー」はよく整ったバランスでした。ベイシーのピアノに始まり各パートが素晴らしいのはもちろん、全体としてアメリカン・サウンドとしての良さが際立っていました。先の組合せと比べると、もう少しアグレッシブに鳴ってほしいと感じるところもありますが、これはこれで魅力的な音だと思います。「ちあきなおみ」も同じく素晴らしいバランスでした。ごくわずかな高音の不足感はありますが、全体的な印象からすれば、大きな問題ではありません。
杉井 先ほどのJBL LE75+H91との組合せではJBLのカラーを意識することがほとんどありませんでしたが、このアルテック802C+H811との組合せでは802Cのキャラクターが色濃く出てきました。音像のスケールとしては「ヴォイス・オブ・ザ・シアター」的なイメージに近い。H825に803Aをマウントしたシステムをふと思い起こしました。新さんがご指摘された高音の不足感は私も同感です。この組合せで聴ける音は、60〜70年代のいわゆるアルテック・サウンドよりもっと昔の、50年代以前の音に近いと思います。「マーラー」を聴くと、JBLの組合せはコンサートホールで演奏している感じだったのに対して、こちらは映画館で鳴っている感じに近かったですね。
新 なるほど。おっしゃる通りです。
杉井 「ベイシー」はベースがよりタイトになり、全体としては辛口といっていい鳴り方でした。802Cのキャラクターはよく出ているのですが、先ほどもお話ししたように時代的にはやや古い音という印象です。「ちあきなおみ」を聴くと、昭和歌謡というよりもSP時代を思わせるほどの雰囲気がありました。それはそれで良質な音ではあるのですが、好みは分かれるかもしれません。ランシングのアイコニック・システムに近い鳴り方ともいえます。
先ほどと同様、この組合せもウーファーが励磁型でドライバーがパーマネント型ですが、より励磁型ウーファーの鳴り方に引っ張られていた印象がありました。例えばドライバーを励磁型のランシング801などに替えたらどんな音がするのだろう、と思いながら聴いていました。
土井 杉井さんがおっしゃったように、どこかランシングのアイコニック・システムを思い出させる音ですね。私の印象としては、逆に、やや甘口の音で、辛口のJBLに対して甘口のアルテック。JBLの組合せよりも甘くて軽めな印象です。それともうひとつ、アルテックのドライバーが鳴っているというのが見える音です。先ほどの組合せはJBLの感じが消えて、よくまとまったシステムとして鳴っていたのですが、こちらは新さんがおっしゃったようにアメリカン・サウンド、もっといえば1954年のアルテックA7の音という感じ。そう思いながら聴きました。
「マーラー」の管楽器は分離が良いし、肌触りも良かったと思います。「ベイシー」は、パブロ・レーベルらしいトーンがよく出ていました。昔このレーベルのレコードを聴いて「これがパブロ・トーンか」と感じたことを思い出させました。「ちあきなおみ」もJBLに比べると少し緩めですが、鳴り方としては極めて良質です。全体としてアルテックらしさを主張する音だと思いました。ただし、今回はドライバーユニットを取り付けて5分と経たない状態で聴いていますから、もう少し鳴らし込むことで音がこなれてくる可能性はあります。
新 ドライバーとウーファーの位置関係はどのように調整されているのですか?
土井 ウーファーのダンパー部分とドライバーのダイアフラムの位置を合わせることが目安になりますが、私は最終的に耳で調整するようにしています。この組合せでは、セオリーよりもホーン開口部を3㎝ほど後方に下げています。ホーン開口部とエンクロージュアのバッフル面を揃えると高域が強く感じられたため、J・C・モリソン方式ネットワークで低域の音量を上げたのですが、さらに、聴感上、中高域が出しゃばらないところまでドライバー+ホーンの位置を後方にずらしました。
杉井 A7はウーファーのほうがずっと後ろになりますよね。だから同じアルテックでもA7ではなく、846Aヴァレンシアやモデル19のように、ウーファーとホーンが前面で揃っているタイプに考え方は近いけれど、最終的には聴感で調整するということですね。
アルテックH811の開口部の位置はジェンセンType“E”Systemエンクロージュアの天板上でさらに後退させた。
・Part.1はコチラから、Part.2はコチラから、Part.4は、2月11日の正午に公開を予定しております。お楽しみに!