オーストリア「LEWITT」社の「LCT 1040」は、同社の新しいフラッグシップとなるマイクロホンである。マイクロホン本体は、1インチのトゥルー・コンデンサー・カプセルをはじめとする高品位な部材で組み上げられ、専用のリモート・コントローラーによってシームレスにポーラー・パターンを制御することが可能。また、サウンドに温かみを付加する真空管回路とピュアなFET回路の両方を搭載し、それらの出力をリモート・コントローラーを使って自在にブレンドすることが可能だ。第一線で活躍するエンジニアやプロデューサー、ミュージシャンとの密接な協力によって開発されたという、“究極のマイクロホン・システム”「LCT 1040」。その開発ストーリーを「LEWITT」社のCOO(最高執行責任者)であるモーリッツ・ロックナー(Moritz Lochner)氏に伺ってみることにした。

すべてのクリエイターが卓越した音質で簡単に自己表現ができるようになることがLEWITTのビジョン

─── はじめに、モーリッツさんの役職をおしえていただけますか。

モーリッツ・ロックナー(以下、ML) 私は現在、COO(最高執行責任者)とプロダクト・マネージメントの責任者を兼任しています。「LEWITT」社に入社する前は、プロのオーディオ・エンジニアとして、レコーディングからライブ・サウンド、放送局に至るまで、様々な分野で仕事をしてきました。私は常に、従来の手法では解決不可能なことや、自ら探求すべき技術革新や創造的なプロジェクトに大きな関心があり、これらが仕事を行う上での大きな推進力となっています。

「LEWITT」社のCOO(最高執行責任者)、モーリッツ・ロックナー(Moritz Lochner)氏

─── 「LEWITT」社の開発拠点は、現在もオーストリア・ウィーンにあるのでしょうか。

ML はい。会社がスタートしたときから現在に至るまで、製品開発は一貫してウィーンで行っており、私たちは技術者をはじめとする人材、測定機器、R&D設備を充実させるため、多大な投資を行ってきました。現在は、製品開発とテスティングのための2番目のインハウス・スタジオを建造中です。

 現在の社員の総数は約120名で、25カ国から有能な人材が集まっています。約120名の社員のうち、およそ半分のスタッフが製品開発に直接携わっており、非常に多様性に富んだ職場と言っていいでしょう。社員のほとんどがウィーンで働いていますが、中国やアメリカにも拠点があり、ヨーロッパ各地には営業スタッフを配属しています。

─── 会社設立から約10年で、マイクロホン市場を代表するメーカーの一つにまで成長した「LEWITT」社ですが、ターニング・ポイントとなった製品を挙げていただけますか。

ML そうですね……。「LCT 440 PURE」は、個人的に大きなハイライトとなった製品です。1インチのラージ・ダイアフラムを搭載したコンデンサー・マイクロホンである「LCT 440 PURE」は、ハイエンドなプレミアム・マイクロホンから学んだすべての要素を、音質に妥協をすることなく、より手頃なパッケージでまとめました。これは言い換えれば、最高の性能を誰もが気軽に手に入れられるようになったということです。私は現在の仕事に従事してから、プロ・オーディオの世界の大きな変化の一端を担っていると考えており、多くの人がより簡単にクリエイティブな表現ができるようになっていると実感しています。これはとても素晴らしいことだと思います。

 もう一つ挙げるなら、昨年販売を開始した私たちの新しいフラッグシップとなるマイクロホン・システム、「LCT 1040」でしょうか。

─── 「LCT 1040」については、この後詳しく伺います。製品開発における「LEWITT」社のフィロソフィーがあればおしえてください。

ML 私たちのビジョンは、すべてのクリエイターが卓越したサウンドで、簡単に自己表現ができるようになることです。私たちは常に、お客様にインスピレーションを与え、ワークフローを容易にする製品を提供したいと願っています。私たちの製品開発でモチベーションの源になっているのは、現状に対する疑問と課題の解消、そして他にはない独自性を持った製品を生み出したいという想いです。私たちは自分たちのことを、音楽制作やコンテンツ制作業界におけるテクノロジー・カンパニーだと考えています。また、私たちは多くの分野で専門性を築き、ユニークな製品をゼロから生み出すことを可能にしています。

─── 他のマイクロホン・メーカーと比較した「LEWITT」社の特色、アドバンテージというと?

ML 私たちの最大の強みは、専門知識と変革を楽しめる姿勢を兼ね備えていることだと思っています。「LEWITT」社では、人々が創造的に自己表現するのを助ける、技術的に優れた製品を開発するために、素晴らしい人材が働いています。

 私たちのユニークな点は、さまざまな分野の専門知識を社内に蓄積し、それらを自由に組み合わせることができることです。私たちが夢見るものは何でも、大規模に開発・生産することができるのです。工業デザイン、機械デザイン、音響学、アナログおよびデジタル電子工学、アルゴリズム設計、組み込みシステムやPC用のソフトウェア開発、製造テスト…… さらには、科学研究者の専門チームもあり、我々が“LEWITTラボ”と呼ぶ場所で「LEWITT」社製品の未来のために斬新で難しい技術を研究しています。

 生産面では、一貫した信頼性の高い品質を提供するために非常に高い基準を持ち、継続的に改善されています。私たちは最新の製造技術やオートメーションを駆使し、非常に正確な測定を行っています。製造中にマイクロ・コントローラーを介して、多数のパラメーターをモニターしてします。そのため、出荷前に個々のマイクロホンの重要な仕様をチェックすることができます。

─── コロナ禍は会社にどのような影響をもたらしましたか。

ML それほどでもありませんでした。なぜなら弊社の購買部門は、非常に早い段階から世界の状況を把握し、サプライヤーと調整を行いましたからね。その結果、生産体制における問題を回避し、お客様に変わらず製品をお届けすることができました。逆にコロナ禍が追い風となり、私たちはこの数年の間も大きな成長を遂げることができました。なぜなら多くの人が自宅で創作活動を行うようになり、レコーディング機器への需要がこれまで以上に高くなったのです。

 

“究極のマイク・システム” LCT 1040

「LEWITT」社の新しいフラッグシップ・マイクロホン、「LCT 1040」

─── 「LEWITT」社の新しいフラッグシップ・マイクロホン、「LCT 1040」について伺います。シームレスに制御できるポーラー・パターン、自由にミックスできる真空管回路およびFET回路、操作性に優れた専用リモート・コントローラーなど、フラッグシップに相応しい仕様のマイクロホンという印象ですが、開発のスタート・ポイントはどのようなものだったのでしょうか。

ML 「LCT 1040」のアイディアは、何年か前の『The NAMM Show』の期間中に思い付きました。『The NAMM Show』の会場で、50年前に非常に革新的だったマイクロホンのクローンや復刻版の数々を目の当たりにした私たちは、この業界には何か新しいもの、真に感動的なものが必要だと考えました。そして、レコーディング・セッションで完璧なサウンドを得るためのプロセスをできるだけ簡単にする、“究極のマイクロホン・システム”を開発するというビジョンを持ったのです。その後の研究開発の結果、真空管回路が異なる音の特性を作り出すのに最も適していることが分かりました。また、同時期に業界のプロフェッショナルたちと協力し、さまざまな音源の組み合わせを検討し始めたのです。

 私たちはこの開発プロジェクトを『Project 1040』と名付け、非常に早い段階から、3Dプリンターで製作したプロト・タイプを持って世界中を回り、実環境でのテストとシステムの微調整を行いました。さらに、世界中の2,500人以上のオーディオの愛好家を対象とした科学的なオンライン音響調査によって、私たちのアプローチの有効性を確認したのです。

 「LCT 1040」は、“究極のマイクロホン・システム”と称するに相応しい製品に仕上がっています。ユーザーのクリエイティビティを中心に据えながら、技術的に最高の結果を得るために、これほどまでに力を注いだことは、マイクロホン技術の歴史上、稀有なことだと思います。そして「LCT 1040」は、価格が高いにも関わらず、商業的な成功も収めています。

「LCT 1040」の開発プロジェクトは『Project 1040』と命名され、世界中のエンジニア、プロデューサー、アーティストの協力のもとで進められた

 

─── 「LCT 1040」に搭載されている1インチのトゥルー・コンデンサー・カプセルについておしえてください。

ML 「LCT 1040」では、「LEWITT」のハイ・エンド・マルチ・パターン・トゥルー・コンデンサー・カプセルを採用しています。このカプセルは、高い感度と極めて低いノイズを実現するために、非常に高い電圧で分極しているのが特徴です。また、カプセルの分極電圧はデジタルで制御されているため、シームレスにポーラー・パターンを制御することができます。

 ポーラー・パターンがサウンドに与える影響は、過小評価されがちです。その理由の一つとしては、通常はリモートでポーラー・パターンを変更できないということが挙げられます。私たちが初めてリモートでポーラー・パターンを変更できるようにしたところ、この方法でサウンドのカラーを変えることができることに、多くのプロフェッショナルたちが夢中になりました。

カスタム・デザインの1インチ・トゥルー・コンデンサー・カプセル

─── ポーラー・パターンをシームレスに制御できるだけでなく、マイクロホンの前面を反転できるというのもユニークです。なぜこのような機能を搭載したのですか?

ML 『Reverse』スイッチは、素早く反対方向の音を聴くために実装しました。ルーム・マイクのセットアップやステレオ・レコーディングで特に興味深い効果を発揮し、1台のリモート・コントローラーに複数の「LCT 1040」を接続して同期させることができます。発売後、多くの人が『Reverse』スイッチを使用し、普段はアーティストの方を向いている真空管側を観客に見せているのを目にしました。それがとても嬉しかったですね。

─── DAW用プラグインやアプリからコントロールする仕様ではなく、専用のリモート・コントローラーを用意した理由をおしえてください。

ML もちろん、どのような操作方法がベストか、いろいろと検討しました。最終的に、毎回スムーズなセッションを実現することを優先して、最も信頼性の高い専用リモート・コントローラーという選択肢に落ち着いたのです。ワイヤレス接続は、スタジオによっては不安定になることがあります。DAW用プラグインの場合は、OSのアップデートでクラッシュしたり、壊れたりする可能性もあります。XLRで接続された専用のリモート・コントローラーは、最も安全で便利な方法です。パッチベイを経由して、どのレコーディング・ルームにも接続することができます。また、リモート・コントローラーを直接PSUにドッキングすることもできます。

「LCT 1040」のプロト・タイプ。リモート・コントローラーの筐体も、3Dプリンターによって何度も試作されたとのこと

 

─── リモート・コントローラーの『Tube』スイッチで、4種類のサウンドを切り替えられるというのもレコーディングの現場ではとても有用そうです。

ML 先ほども言ったとおり、真空管回路というのは異なる音の特性を作り出すのに最も適しています。「LCT 1040」では、真空管を最適な技術的性能で動作させる『Clear』、真空管の温かみを強調する『Warm』、明るすぎる音源を和らげたり、親密なサウンドにする『Dark』、真空管から可能な限りの倍音を引き出す『Saturated』という4種類のフレーバーを切り替えることができます。

専用のリモート・コントローラー。マイクロホン本体とは3ピンのXLRケーブルで接続する

─── FET回路で目指したのはどのようなサウンドですか?

ML 「LCT 1040」のFET回路で目指したのは、真空管回路と対をなすクリーンで正確なサウンドです。そして「LCT 1040」では、真空管回路とFET回路をシームレスにブレンドできる設計になっているため、理想とするサウンドを追求することができます。また、真空管回路とFET回路をブレンドした出力だけでなく、FET回路のみの出力も備えています。なぜFET回路のみの出力を搭載したかと言えば、ミックス・ダウン時に音源間をブレンドするオプションを残したかったからで、「LCT 940」でユーザーから要望の多かった機能なんですよ。

─── Webサイトなどで謳われている『カプセル・ゴールド・スパッタリング』とはどのような技術なのでしょうか?

ML マイラー・ダイアフラムの上に導電性物質を塗布することで、カプセルをバック・プレートとコンデンサーで形成する技術です。金は非常に優れた導電体なので、この用途で使うのは理にかなっています。ダイヤフラムの両面で金色に見えるのはマルチ・パターン・カプセルです。片側だけに見える場合は、シングル・パターンのマイクロホンです。

─── マイクロホン本体はどのような素材で、どのような仕上げになっているのでしょうか?

ML マイクロホン本体、電源、リモート・コントローラーには、素材として亜鉛ダイキャストを採用しています。これにより、驚くほどの耐久性を実現しています。

─── 外装デザイン面で留意したことはありますか?

ML すべてと言っても過言ではありません。「LCT 1040」は、プロフェッショナルのためのツールであり、彼らの既存の環境に統合できる必要があります。そのため、リモート・コントローラーとPSUを分離し、マイクロホン本体がレコーディング・ルームに設置されていても、コントロール・ルームから設定を調整できるようにしたのです。また、リモート・コントローラーとPSUの接続は、3ピンのXLRケーブルで行うため、既存のスタジオ配線をそのまま活用することができます。

─── ショックマウントとポップ・フィルターはどのようなものが付属しますか?

ML カスタムメイドされたショックマウントが付属し、完璧なチューニングを施すことで、構造に由来するノイズからマイクロホンを分離します。さらにポップ・ノイズからマイクロホンを保護するため、2層式のポップ・フィルターを開発し、完全に統合されたデザインで、磁石で取り付けられるようにしました。アーティストにとって何かの拍子で緩んでしまうグース・ネックではなく、スマートな外観がふさわしいと考えています。また、映像制作をする人も増えているので、顔を遮ることのない、カメラに優しいポップ・フィルターと言えます。

「LCT 1040」のマイクロホン本体。ショックマウントとポップ・フィルターも付属する

─── 開発で難しかったことをおしえてください。

ML そうですね……。いろいろありますが、困難を乗り越えることも、製品開発の醍醐味のひとつです。とはいえ、“究極のマイクロホン・システム”を目標とした、ゼロからの製品開発は大変なことでした。音質に妥協することなく、これだけの機能を持った製品を開発するのというのは特に大変なことです。そして開発が終わった後も、312個のメカニカル・コンポーネントと1000個以上の電子部品からなる製品を、安定した品質で大規模に生産するのは苦労が絶えません。しかし、私たちはその品質に確固たる自信を持っているので、10年間の保証を提供しているのです。

─── 「LCT 1040」が適しているソースというと、やはりボーカルということになりますか?

ML 「LCT 1040」は、あらゆる音源に適応できるように開発されましたが、多くのユーザーの方は主にボーカル用マイクロホンとして購入しているようです。

音質のチェックは無響室でも繰り返し実施されたという

─── 発売後の反響をおしえてください。既に使用しているプロフェッショナルはいますか?

ML 市場からの反応は驚異的なもので、もの凄い量のポジティブなフィードバックが寄せられました。最も評価されているのはサウンドですが、柔軟性やオプションを気に入っている方もいらっしゃいます。例えば、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーは、TVシリーズ『Slow horses』の主題歌を「LCT 1040」で録音しています。ロビー・ウィリアムスも「LCT 1040」でレコーディングを行いました。いくつかのビッグ・スタジオでは、「LCT 1040」が日常的に使用されています。LAとNYのアトランティック・レコード、ロンドンのメトロポリス・スタジオでは、ジョージ・エズラが「LCT 1040」でレコーディングを行いました。そして早くもいくつかの賞を受賞し、TECアワードにもノミネートされています。

─── “1040”という型番の由来をおしえてください。

ML 他の「LCT」シリーズは3桁かつ40で終わるので、フラッグシップ・モデルであることを明確にするために4桁の“1040”という型番を採用しました。

─── これから「LCT 1040」を試用する人に、注目してほしい点があればおしえてください。

ML 「LCT 1040」を初めてお使いになるときは、じっくりと時間をかけてクリエイティブに取り組んでみてください。そして多数搭載しているユニークな機能をフルに使ってみてください。真空管回路で音色を変化させてみたり、FET回路をブレンドしてさらにフレキシブルにしてみたり……。また、普段は単一指向性で済ませているような音源であっても、異なる指向性を試してみてください。「LCT 1040」のサウンド・シェイプの容易さに、きっと驚かれることでしょう。頭の中で思い描いた通りのサウンドを手に入れることができるはずです。

専用ケースが付属。すべてのアクセサリーを収納できる

 

プレミアム・ハンドヘルド・マイク MTP W950

─── 新しいハンドヘルド・マイクロホン、「MTP W950」についても少し話を訊かせてください。1インチのトゥルー・コンデンサー・カプセルを搭載した、“プレミアムな”ハンドヘルド・マイクロホンと謳われていますが、どのようなコンセプトで開発された製品なのでしょうか?

ML 私たちがこの製品で目指したのは、レコーデインング・スタジオの高品位なサウンドをステージでも再現し、アーティストがどんな場所でも使用できるパーソナルなマイクロホンを開発することでした。「MTP W950」は、小さな会場では有線で、大きなステージでは好みのワイヤレス・システムを使って無線で使用することができます。さらには1インチのトゥルー・コンデンサー・カプセルを搭載しているので、レコーディングにも対応します。

 私たちは今回、ブリード・リジェクション(編註:カブり音の排除)を業界トップ・レベルにすることに最も多くの時間を費やしました。クリーンな信号はオーディエンスにとって素晴らしいだけでなく、良いモニター・ミックスにも繋がります。演奏がしやすくなり、FOHエンジニアはフィードバックを恐れることなく自由にミックスすることができるのです。

 そしてもちろん、ツアーで使用するためには、並外れた信頼性を実現する必要があります。そのため、開発中は大規模なベータ・テスト・プログラムを実施しました。

プレミアム・ハンドヘルド・マイクロホン、「MTP W950」

 

─── 「MTP W950」ではどのようなサウンドを目指しましたか?

ML あらゆるライブ・ミックスの中で際立つ、クリーンなスタジオ・サウンドを目指しました。クリーンなスタジオ・サウンドを実現する上で重要なファクターと言えるのが、この製品のために開発したカスタム・デザインの1インチ・トゥルー・コンデンサー・カプセルです。

─── モジュラー・デザインが採用されている点は「MTP W950」の大きな特徴ですが、どのようなシステムと互換性がありますか?

ML モジュラー・デザインの採用は、実に理にかなった決断だったと思っています。より多くのアーティストが、自分専用のマイクを欲しています。衛生面だけでなく、芸術的な観点からもです。ギタリストが自分のギターを持参せず、会場のギターを使うでしょうか? そんなことはありません。私たちは、マイクロホンを楽器として捉えています。シンガーであれば、自分のマイクに慣れ親しみ、その音や癖を知っていきます。アーティストがプレミアム・パフォーマンス・マイクロホンに投資する際に、有線、無線どちらの状況でも使用できるようにしたかったのです。

 ご質問に対する答えですが、「MTP W950」は「BLX」および「GLX-D」シリーズを除く「Shure」製ハンドヘルド・ワイヤレスマイクロフォン・トランスミッター全機種、すべての「Lectrosonics」製ハンドヘルド・ワイヤレス・マイク送信機、「ソニー」製ハンドヘルド型ワイヤレス・マイクロフォン・トランスミッター全機種、「Line6」の「XD-V75」と「XD-V55」、「Mipro ACT」シリーズ といったシステムと互換性があります。また、アダプターを使用すれば、「Sennheiser」のハンドヘルド・ワイヤレス・マイク送信機全機種にも対応します。

─── 「MTP W950」のフィードバック抑制技術と、ブリード・リジェクション技術について詳しくおしえてください。

ML アナログの世界には、適度な大きさを保ちながらブリードを減らすための秘密の技術は存在しません。唯一できることは、ひたすら最適化すること。試作を繰り返すことで、理論的に最適な性能に近づけていく。このカプセルの開発が、製品開発全体の核心でした。

─── 「MTP W950」では、どのような方法でポップ・ノイズ/ウインド・ノイズを抑制していますか?

ML このマイク専用に開発したカスタム・カプセルなので、風切り音やポップ・ノイズの影響を受けないようにすることは早い段階で決まっていました。そのためには2層構造がカギとなります。また、湿気にも強くなっています。

─── 本体の重量と、外装デザインのコンセプトをおしえてください。

ML 重量は397gです。アーティストの自信を最大限に引き出すために設計されたマイクです。いわゆる“クリエイティブな”持ち方でも、きっといいサウンドを得られるはずです。

─── 他社のハンドヘルド・マイクロホンと比較した「MTP W950」の特色、アドバンテージについておしえてください。

ML 業界を代表するブリード・リジェクションにより、ステージ上でスタジオのサウンドを得ることができます。有線から無線に切り替えられるので、どんな環境でも使用できます。そして、多くのアーティストやFOHエンジニア両方が気にいるであろう、カッピングセーフ=マイクを覆うように持つスタイルにも対応するデザインを採用しています。

─── 近々新製品を発表する予定はありますか?

ML 今年、本当にクールな製品を発表予定ですが、残念ながら現時点ではこれ以上の情報をお伝えすることができません。

─── 最後に、この記事を読んでいる日本のプロフェッショナルにメッセージをお願いいたします。

ML 私たちは常に皆様と話をしたいと考えています。ですので「LEWITT」や製品についてもっと知りたい方は、いつでも私たちにメッセージを送ってください。また、お互いから学ぶための意見交換もいつでも受け付けています。お気軽にコンタクトしてください。

─── 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

取材協力:株式会社メディア・インテグレーション MI事業部

LEWITT製品に関する問い合わせ:
株式会社メディア・インテグレーション MI事業部
Tel:03-3477-1493
https://www.lewitt.jp/

 

本記事の掲載は『PROSOUND 2023年4月号 Vol.234』