『BLACKBOX³』のメイン・スタジオである『BOX STUDIO』。LEDパネルが4面に常設されている

XR演出を見据えた最先端の映像システム

─── それではメイン・スタジオの『BOX STUDIO』の設備についておしえてください。

平良 先ほども言ったとおり、『BOX STUDIO』はテクノロジーに特化したスタジオになっています。ぼくの頭の中にあったのは凄くシンプルで、“LEDパネルが常設された最先端の技術が使えるスタジオ”というイメージですね。ただ、最先端の技術と言っても、現時点ですべての人がそれを活用できるわけではありませんし、佐藤さんには将来にわたって拡張できるようにしてほしいということをお伝えしました。

─── 壁面のLEDパネルは、高さ4メートル、幅9メートルと凄い迫力です。

今井 平良さんは最初、「壁だけでいいんじゃないか」とおっしゃっていたんですけど、ぼくの方から「どうせなら床にも入れましょう!!」とご提案して。

平良 床のLEDは大正解ですね。これがあるのと無いのとでは没入感が全然違います。

佐藤 今回採用したLEDパネルは、壁面のピッチが3.9mm、床のピッチは4.8mmとかなり高精細なもので、カメラを通した映像ではLEDの粒が分からないと思います。

今井 少なくともスマートフォンでは絶対に分からないですね(笑)。

─── 常設のカメラは、どのような構成になっていますか?

佐藤 5カメのシステムで、最初は有人カメラを3台設置するという話だったのですが、カメラ担当の人と話をして、最終的にすべてリモート・カメラにしました。導入したカメラはパナソニックのAW-UE100KとAW-UE150Kという4K/60p対応の最新のもので、カメラレイアウトはAW-UE100Kを床に3台、真俯瞰に1台、AW-UE150Kを斜俯瞰に1台設置しています。これくらいの広さですと、カメラは5台もあれば十分で、もちろんビデオ・スイッチャーの入力にはまだまだ余裕がありますから、手持ちのカメラなどを追加することもできます。そして5台のリモートカメラは、リモート・コントローラーのAW-RP150GJを使って、コントロール・ルームからパン/チル/ズームを遠隔制御できるようになっています。

 パナソニックのAW-UE100Kが凄いのは、リモート・コントローラーで遠隔制御すると、パン/チル/ズームの情報を『FreeD』というプロトコルで出力してくれるんですよ。そのプロトコルをメディア・サーバーに送ることで、現実空間のパン/チル/ズームを仮想の3D空間でトレースすることができるんです。この先に何があるかと言うと、将来UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンに接続すれば、現実には限りのある空間をLEDの境目無しに拡張することができる。要はXR(編注:XR=X Reality/Extended Reality。現実世界と仮想世界を融合した新たな体験のこと)への布石ですね。これまでは同じようなことをやろうとした場合、ガチガチの座標出力に対応したクレーン・カメラなどが必要だったのですが、AW-UE100Kのような手頃なカメラが登場したので、ぼくの方から平良さんに「こういうシステムはどうですか」とご提案しました。

 ぼくはこれまで、ライブ配信の現場をかなり経験してきましたが、映像に凝り始めた人が行き着く先は、ミュージック・ビデオなんですよね。これはあくまでも個人的な意見ですが、視聴者はミュージック・ビデオのような完成された映像からはライブ感を感じられないと思うんです。それを超えるものとなると、もうXRしかないだろうと。現時点で最先端のシステムになっていると思います。

5台常設された4Kカメラ、パナソニック AW-UE100K

4Kカメラのリモート・コントローラー、パナソニック AW-RP150GJ

─── カメラの位置は固定なのですか?

佐藤 真俯瞰と斜俯瞰のカメラは固定ですが、床の3台のカメラは自由に動かすことができます。カメラを動かした場合、AW-UE100Kは自動でキャリブレーションして、新しい位置情報をメディア・サーバーに送る仕様になっているんです。

─── 5台のカメラの映像出力はSDIでビデオ・スイッチャーに送られるわけですか?

佐藤 はい。ビデオ・スイッチャーは今回、Blackmagic DesignのATEM Constellation 8を選定しました。ATEM Constellation 8は、12G-SDI入力を40系統、12G-SDI出力を24系統備えていて、別に分配器などを用意する必要がないので、抜群にコスト・パフォーマンスが高いんです。機能も豊富で、何よりBlackmagic Designのスイッチャーであれば誰でも操作することができますからね。

 そして今回のシステムで肝となる機材が、メディア・サーバーのdisguise vx2です。このvx2からSDIでLEDパネルにコンテンツが出力されるわけですが、これが本当にお化けのような機械で、現在市場に出回っているメディア・サーバーの中で一番スペックが高いと思います。コンテンツを送出するだけでなく、Notch、Unity、Unreal Engine、Touch Designerなどを使えば、エフェクトなども簡単に作り出すことができる。先ほどXRを見据えているという話をしましたが、現実空間との境目が分からない仕掛けを演出するには一番優秀なメディア・サーバーですね。ただ、その分値段も張るので、平良さんには別のメディア・サーバーをご提案していたのですが、最後の最後で「やっぱりvx2でいきましょう」とおっしゃって。凄いチャレンジャーだなと思いましたね(笑)。国内でvx2が入っている常設の施設などなく、海外でもPRGのような大手が使うようなものですから。

ビデオ・スイッチャーのBlackmagic DesignのATEM Constellation 8

─── メディア・サーバーで送出するコンテンツは、『BLACKBOX³』 のLEDパネルのサイズに合わせて作る必要があるのでしょうか。

佐藤 いろいろな画角に対応できるので、いちいち作る必要はありませんが、LEDパネル全面に出力したい場合は専用に作った方がいいと思います。なお、vx2はあくまでもスタジオ内のLEDパネル専用のメディア・サーバーであり、オープニング・タイトルなどの単純な16:9の画像をポン出しするためのPCは別に用意してあります。

─── 映像周りのシステムを構築する上で、苦労した点を挙げるなら?

佐藤 AW-UE100Kが出力する『FreeD』プロトコルによって、現実空間のパン/チル/ズーム情報をトレースできると言いましたが、こういうシステムをマルチ・カメラで組むケースってほぼないんですよ。こういうXRはクレーン・カメラ1台で表現するのが普通なんです。それを今回、5台のカメラでやっているわけですから、ちょっと頭がおかしいというか(笑)、普通は絶対にやらないもの凄いシステムなんです。

 そんなシステムを今回初めて組んでみたところ、各カメラの間にレーテンシーがあるので、上手く切り替えることができませんでした。その問題を解決するため、プログラマーに依頼してレーテンシーを補正するプログラムを書いてもらったんですが、それが一番苦労した点ですかね。メディア・サーバーとビデオ・スイッチャーの親になるPCがあるんですが、レーテンシーを補正するプログラムはそこで動いています。これはマルチ・カメラでXRのシステムを組む場合に必ずぶつかる壁ですね。

─── 照明周りのシステムについてもおしえてください。

畠中 3面プラス床もLEDパネルということもあり、演者が埋没してしまうのが一番の懸念だったので、そこを解消するために高出力の機材を中心に、対カメラ向けに明りの演色性に気を遣いながら機材の選択を行いました。中でもRobeというメーカーのMegaPointは、通常だとこのサイズのスタジオにはまず導入しないであろう高出力のムービング・ライトで、逆に取り扱いに注意が必要になってしまったほどの過剰な機材です。しかし、例えばLEDパネルの外にカメラ画角が出てしまっても、カメラの抜けをLEDパネルに負けない強力なビームで埋めることができるので、非常に重宝すると思います。また、通常のベース・ライトに加え、ズーム機能付きのムービング・ライトが20台以上常設されているので、照明要員が1人でも自在にシーン・メイクできるように設計されています。

 照明卓はAvoliteというメーカーのQuartzという機材がスタジオとコントロール・ルームの両方に入っていて、データをリアルタイムでシェアするように設定されています。つまり、どちらでプログラミングしても、両方からオペレートすることができるので、状況に応じてオペレーターが移動するだけで済むようになっています。肉眼で見ながらプログラムをしたほうが良い場合もありますし、カメラのスイッチアウトに注視しながらオペレートしたほうが良い場合もあるので、そのたびに照明卓のプログラム・データを移し替えたり、あるいは照明卓を移動したりということをやっていたら、時間に限りのある現場においてはクオリティが下がる原因になってしまいます。これは絶対に避けなければいけない問題でした。

 常設の照明は、特に調整することなく、すぐに使えるようになっていますが、持ち込みの機材にも対応できるようになっています。現在、照明の信号プロトコルは主に2種類あるのですが持ち込む機材がどちらでも対応できるように設計しています。照明機材の制御チャンネル数が増大し続けている昨今なのですが、それでもおそらく10年くらいは余裕で対応し続けることができるシステムだと思います。持ち込み機材も常設機材も含めての話ですが、当初、天高を生かして電動昇降バトンを取り付けるという話もあったのですが、それによって天高が低くなり、照明設備が生きてこなくなるのではという懸念から、結局昇降装置は取り付けませんでした。そしてその分、あまり追加をせずに済むような充実した照明設備になっています。

平良 既にビデオの撮影などでも使われているのですが、照明機材で持ち込まれるのはレーザーくらいですね。十分過ぎるくらいの設備になっていると思います。

照明卓のAvolites Quartz

 

本格的なレコーディングにも対応

広大なコントロール・ルーム

プロダクション・スタジオのような施工がなされている

─── 『BOX STUDIO』の音周りは、どういう構成になっていますか。

遠藤 普通のライブ・ハウスでしたらFOHの卓とモニター卓が必要になるわけですが、ここは無観客のライブ配信スタジオですので、FOHのかわりに配信卓がコントロール・ルームに入っています。具体的には、配信卓がAvidのVENUE | S6L、モニター卓がヤマハのCL5で、48chの回線が頭分けで両方のコンソールに入っている形ですね。モニター卓のCL5に関しては、皆が使い慣れたコンソールということで選定しました。スタジオ内のスピーカーはすべてd&b audiotechnikで、これも誰が来てもOKというチョイスです。

LSDエンジニアリングの遠藤幸仁氏

モニター卓のヤマハ CL5

常設のスピーカーは、d&b audiotechnikのY7PとYsub

─── 配信卓としてVENUE | S6Lを選定した理由は?

遠藤 実際のライブ配信では、PAのオペレーターさんが配信を担当するケースと、レコーディング・エンジニアさんが配信を担当するケースがあるんです。なので、どちらのエンジニアさんでも扱えて、96kHzに対応した高いクオリティのものということでVENUE | S6Lを選定しました。今井さんから、レコーディングで使われることもあるという話を聞いていましたし、VENUE | S6Lならばレコーディング・エンジニアさんが愛用しているプラグインもそのまま使うことができますからね。拡張性が高いところも、このハコにはマッチしているのではないかなと。

 VENUE | S6Lは、サーフェースが24フェーダーのS6L-24C、DSPエンジンはE6L-112、ステージ・ボックスはStage 64とStage 16という構成で、Stage 64はスタジオ内、E6L-112とStage 16はコントロール・ルームに設置してあります。また、最近はプラグインを使用するオペレーターさんが増えているので、WavesのSoundGrid Extreme Serverも導入しました。基本Avid純正のプラグインを使ってもらい、Wavesのプラグインを使用する場合は、SoundGridサーバーの恩恵が受けられるというシステムですね。

配信卓として導入されたAvid VENUE | S6L。サーフェースは、24フェーダーのS6L-24C

─── 入力は48chで十分ですか?

遠藤 スタジオの大きさ的に、5~6人編成のグループがマックスですよね。48chで足りなくなったら、そのときに入力やDSPエンジンの拡張を考えればいいのではないかと。

─── VENUE | S6Lは、インターナル・クロックで動かしているのですか?

遠藤 はい。インターナル・クロックで96kHzで動いています。今回のシステムの特徴と言えるのが、VENUE | S6Lから配信機器のCerevo LiveShellにAESで音が入っているところですね。一度DAしてADしてしまうと、ラウドネスなどのマージンが崩れてしまいますから、佐藤さんに「96kHzで送りたいんだけど」と相談して。これまでライブ配信の現場を100本以上こなしてきましたが、配信卓から音をデジタルで送るシステムというのはこれが初ですね。マスター・クロックがあるわけではないので、LiveShellはVENUE | S6Lのクロックにぶら下がっている形になります。

佐藤 配信機器はLiveShellが基本になりますが、持ち込みの機材にも対応できるようになっています。

遠藤 このハコは今後、ツアー・パッケージの一環として使用されることも想定されますからね。そうなると、配信機器だけでなく、コンソールも持ち込みたいというニーズが出てくると思いますので、VENUE | S6Lは完全にバラせるようになっています。

 そしてこのコントロール・ルームには、Pro Toolsも常設であるんです。Pro ToolsはHDXシステムで、オーディオ・インターフェースはPro Tools | MTRXなので、こういったハコ常設のPro Toolsにしては超ハイ・スペックなのではないかと思います。

今井 今後、ライブ配信と同時にアーカイブとしても残したいというケースが増えてくると思うんです。しかしここならPro Toolsが常設であるので、高いクオリティでアーカイブを残すことができる。これは強いですよね。

遠藤 VENUE | S6LとPro ToolsはAVBで接続するのが一番シンプルなのですが、それだと64chで頭打ちなので、拡張性を持たせるためにあえてMADIで接続しています。Pro Tools | MTRXは、16chのアナログ入出力カードも装着してあるので、レコーディング用の持ち込み機材にも対応できます。

コントロール・ルーム奥は中央に配信卓、左手に照明卓を設置。右手にはPro Tools用のディスプレイやキーボードが置かれている

─── モニター・スピーカーにATC SCM25A Proが導入されているのも目を惹きます。

今井 たくさんの選択肢がありましたが、今回はバンド系の音楽でもジャッジしやすいスピーカーということで、いくつか試聴した中からATCを選定しました。ぼくが作る音楽はアーバン系が多いので、ADAMやMusikelectronic Geithainというチョイスになりがちなんですけど、『Fanicon』でコミュニティーを作っているアーティストは幅が広いですからね。ATCは、ラウドに鳴らしても飽和感が無く、それでいながらパンチがしっかり出るのが良いなと思います。Musikelectronic Geithainよりも派手な音で、ライブの高揚感もキャッチできるスピーカーだなと。

入交 このサイズ感で3ウェイってなかなか無いですよね。3ウェイのミニマムというか。最近はATCを入れるスタジオが増えていますね。

今井 スピーカーはコンパクトな方が位相は確実に良いですから。それのこのサイズでも、あの広さのコントロール・ルームではフルで鳴らせないですよ(笑)。今回はATCが上手くハマったと思います。

モニター・スピーカーは、ATC SCM25A Pro

─── Pro Tools | MTRXにATC、Grace Designのモニター・コントローラーと、完全にレコーディング・スタジオのようなセレクションですね。

今井 今回は、ライブ・ハウスやレコーディング・スタジオの垣根を無くすというのがコンセプトでしたからね。配信だけでなく、映像収録だけでなく、ライブだけでなく、それらすべてが高い次元で融合したらどうなるんだろうと。それが今回、このチームが平良さんから受け取ったメッセージだと思うんです。

遠藤 Pro Toolsは、映像のタイムコードにぶら下げることもできるので、MAもここでできてしまいますね(笑)。

─── 音周りのシステムで苦労した点というと?

遠藤 ワイヤリングですかね。先ほども言ったとおり、機材はすべて動かせるようになっているのですが、核となっているケーブルは高い品質のものを入れたいと思い、ドイツ製のSOMMER CABLEを導入しました。SOMMER CABLEは、ヨーロッパのスタジオや放送局ではスタンダードになっているケーブルですね。また、アナログ・ケーブルはAES伝送にも対応したものを選定し、各スタジオ間のネットワークにはCAT7クラスのケーブルとCAT6Aのコネクターを採用しました。各部屋にはAESに対応したパッチ盤がたくさん用意されていますし、あらゆる作業に対応できる仕様になっています。

 

アンディ・ウォーホルのThe Factoryのような場所になれば

─── まったく新しいコンセプトの施設という印象ですが、これからどのように運用していくのですか?

平良 弊社のサービスである『Fanicon』や、ライブ配信のプラットフォームを利用いただいている方に無料で開放します。ぜひ自由に使っていただいて、新しい表現のお役に立てればと思っています。管理人はいますが、技術スタッフは常駐していませんので、今のところ箱貸しをする予定はありません。でも今後は、ここで特殊な撮影をしたいとか、そういう話もあるでしょうし、我々にビジネス上のメリットがあれば柔軟に対応していきたいですね。ビジネス上のメリットが無くても、何か新しい映像作品や音楽作品の企画があって、おもしろそうなものであればぜひ一緒にできれば。ここを起点に、何か新しいことが始められればと思っています。

─── ライブ配信専用のスタジオではないということですね。

平良 この1年、ライブ配信は盛り上がったような印象がありますが、一方でチケットの売り上げは下がっているという話も耳にします。コロナの問題が終息すれば、お客さんは再びライブ会場に戻って、配信の役割は終わると言う人もいますが、ぼくはそれが凄く嫌だったんですよ。インターネットを利用した新しい音楽の楽しみ方が絶対にあると確信していて、それはまだ誰も見つけていないと思うんです。コロナ禍でテレワークが普及し、現在はハイブリッドのワーク・スタイルになっていますが、こういう働き方ってコロナが終息しても続いていくと思うんですよ。音楽ライブ配信も同じで、ライブ会場に行けないから配信ではなく、積極的にライブ配信を選ぶようになってほしい。インターネットには、即時性や双方向性だったり様々な特徴があるので、新しい音楽の楽しみ方をアーティストの皆さんと一緒に見つけていけたらいいなと。

今井 個人的な意見ですけど、すべての人たちが大勢の観客がいるライブ会場を好んでいるかと言えば、決してそうではないと思っているんですよ。好きなアーティストのライブは見たいけれども、人がたくさんいるところは苦手という人も少なからずいると思うんです。ぼく自身も暑いとか寒いとかが苦手なので、野外フェスなどに好んで行く方ではないですし(笑)。でも、フェスの様子は気になるという人は絶対にいて、要はいろいろなニーズがあるはずなんです。収益化というのは後から付いてくる話だったと思っていて、一番大事なのは人を喜ばせること。喜んでくれる人が増えれば、自然と収益化すると思っています。

平良 雑誌の取材でこういうことを言うのも何ですけど、ここがどういうハコかというのは文字では上手く伝わらないんですよ(笑)。事前に資料を作って配ったんですけど、皆さんここに来て初めて理解していただける。

今井 スティーブ・ジョブズがiPhoneを開発したときも、どんなにちゃんとしたモックやプレゼンをして見せても、その凄さが伝わらなかったと言うじゃないですか。本物のiPhoneを見て、ようやくその凄さが分かる。それと同じですよね。

─── 思い描いていたとおりのハコができたという感じですか。

平良 そうですね。今日、脇で話を聞いていても機材の話とか半分以上分からないんですけど(笑)、皆さんにぼくの想いを汲み取っていただいて、凄いハコができたのではないかと思っています。3月からレーベルの人たちやアーティストさんに見ていただいているんですが、皆さん「ぜひ使ってみたい」と言ってくださいますね。そんな魅力的なハコが実現できたのは、今日ここにいる皆さんのおかげ。本当に最高のチームだったなと思っています。

今井 音楽、映像、配信、そのどれにも偏って特化していないスタジオができたのではないかなと。未来からやって来たスタジオという感じがしますね。スタジオと言うより、“舞台装置”と言った方が相応しいかもしれません。とんでもなく新しくて、おもしろい舞台装置。ワクワクが詰まったオモチャ箱のようなスタジオができたのではないかと。

平良 本当にオモチャ箱なので、ぜひ気軽に声をかけていただければと思います。アンディ・ウォーホルのThe Factoryのように、新しいものを生み出したいクリエイターがここに集まってくれると嬉しいですね。

写真手前左から、THECOOの寺戸悠樹氏、アコースティックエンジニアリングの入交研一郎氏、THECOOの代表取締役CEOである平良真人氏、音楽プロデューサーの今井了介氏、LSDエンジニアリングの遠藤幸仁氏、映像センターの佐藤知之氏、写真奥左から、アコースティックエンジニアリングの高野美央氏、同じくアコースティックエンジニアリングの齋藤裕昭氏、THECOOの岡村大輔氏

取材協力:THECOO株式会社、有限会社タイニーボイスプロダクション、LSDエンジニアリング有限会社、株式会社映像センター、LightingETHNO、株式会社アコースティックエンジニアリング 写真:八島崇

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