最新の映像・放送・通信・音響機器などが一堂に会する国際展示会「インターBEE2019」が、幕張メッセで11月15日(金)まで開催中だ。55回目となる今回は、出展者1158社団体、小間数2125を数える過去最高を記録。ここではステレオサウンド ONLINE編集部が気になった展示を紹介していきます。

NHK/JEITA

 NHK/JEITAブースでは、4K8K放送関連機器類が盛大に展示されていた。正面には大型の8Kディスプレイが3台展示され、美しい8K映像を映し出し、通路を歩く人々の視線を集めていた。中に入ると例年通り4K8K放送の受信システムの紹介、対応機器(レコーダー)の展示などもあり、家庭用(民生)の内容も楽しめるようになっていた。一方、スポーツの現場などでの8K撮影を実現する「ワイヤレスカメラ」システムの展示もあり、撮影、送信、(モニターへの)表示をリアルタイムにデモしていた。また、8K放送の22.2chの信号をデコードする1チップICも参考展示しており、将来同チップがテレビに内蔵されれば、HDMIケーブル1本(ver2.1)でAVアンプへ音声を伝送できるようになるだろう。インターBEE直前に発表された、丸められるシート状のフレキシブル有機ELディスプレイ(30型)も展示されていた。4K/60pSDRの映像(200カンデラほど)を表示していた。

▲中央にはソニーの海外製8Kモデル(98インチ)を展示。左右は65型

▲4K対応レコーダー。左からパナソニック、ソニー、シャープ

▲8K撮影用のワイヤレスシステム。カメラの映像を低遅延で伝送できるシステム(右側の大型リュックみたいなの)をひとまとめにしてある。重量は20kgほどとか

▲今年の技研公開でも展示されていたシート状の88型有機ELディスプレイ。22.2chのサラウンドシステムと組み合わせて展示されていた

▲8K放送の22.2chサラウンド音声(MPEG-4 AAC)を22.2chのアナログ音声にデコードする回路。TI製という

▲デモでは、22.2chにデコードされたアナログ信号を、12本のケーブルを使って出力していたが、将来HDMI2.1が実用化されれば、HDMIケーブル1本で伝送できるようになる

▲30型のフレキシブル有機ELディスプレイ。フィルムにRGBを塗布しており、塗布式では世界最大サイズとなる

▲丸められる

ソニー

 ソニーはブース正面にクリスタルLEDを使った440インチという巨大な画面を構築して8K映像を上映。来場者の視線を奪っていた。また、ブース内では、カメラからレンズ、メモリー、ディスプレイなどなど、4K8K撮影・編集システムを大々的に展示し、業務用機器メーカーの雄としての存在感を存分に発揮していた。

▲440インチのクリスタルLED。288枚のパネルを組み合わせて8K映像を上映していた

▲30型4Kマスターモニターの最新モデル「BVM-HX310」。従来の有機ELディスプレイから液晶タイプに変更されている。ピーク輝度は従来同様1000カンデラを達成

▲CEATECでも展示されていたアーカイブシステムの最新モデル。ディスクの読み出し速度はおよそ1.7倍に高速化されているそう。ディスク容量は1カートリッジあたり500GBになった(片面3層、両面で6層のディスクが11枚収納されている)

▲6Kセンサーを搭載した4Kカメラ「FX9」。Eマウントであり、αシリーズ同様の高速AF搭載が特徴。スーパー35撮影時にも4K解像度に対応する

▲ブースの奥のほうに展示されている85インチの8Kディスプレイ。海外では販売中だが、国内導入は未定とか。NHKブースには同モデルの98インチが展示されている

伊藤忠ケーブルシステム

▲ブースの正面の一番目立つところに展示されているのは、COBALTの4K/HDR対応、アップ・ダウン・クロスコンバーター「9904-UDX-4K」。下側2画面のデモのほうが分かりやすいと思うが、左の2K/SDRの映像を、右の4K/HDRの映像へ、リアルタイムにアップコンバートしていた。色再現(コンバート)の部分には、テクニカラーのノウハウを使用しているそう

▲毎年恒例展示のフィルムスキャナー。写真は6.5Kのセンサーを搭載した「ScanStation」で、5Kまでの解像度でスキャニングできる。同社では、10K解像度でスキャニングできる「Director 10K」の取り扱いもあるそう

キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン

 キヤノンも8K時代を見据え、8K撮影対応のレンズ群から、8Kカメラ、8K上映(4Kプロジェクター×4)、8K/HDR対応の業務用ディスプレイと、対応機器の展示も花盛り。ブース入ってすぐには、55型の8K/HDR対応の液晶ディスプレイを参考展示。精密なローカルディミングを行なうことで、20万対1以上のコントラストを持ち、ピーク輝度は1000カンデラを達成している。参考出品と記されているが、受注は開始しているそう。隣には、8Kセンサーを搭載したEFマウント対応の8Kカメラシステム。キューブタイプの小型ボディながら、8KのRAW収録と、リアルタイム映像出力が可能という。昨年展示のモデルにリファインを加え(昨年は電源を入れていなかった)、画質も向上しているそう。

▲55型の8K/HDR対応の液晶ディスプレイ

▲8Kセンサーを搭載したEFマウント対応の8Kカメラシステム。単板仕様だ

▲8K対応を謳うレンズ群

▲4Kプロジェクター「4K6021Z」を4台使って8K解像度を実現した上映システム。スクリーン奥より田の字型に4K映像を4枚投写して、8K解像度としている

▲2000カンデラの明るさを実現した4K/HDRディスプレイ「DP-V3120」。バックライトの強化でこの明るさを実現しているが、冷却の効率も同時に高めることで、静粛性も兼ね備えている

▲先日、開発発表のあったデジタル一眼レフカメラ「EOS-1DX MarkIII」もひっそりと展示されていた

▲多目的カメラ「ME200S-SH」は、前にNHKの技術展示会でも紹介されていたリアルタイム背景合成システムと組み合わせてデモを行なっていた。カメラ上部に設置されたセンサーが距離を計測し、人物の背景にCG映像をリアルタイムで合成してくれる、というもの

▲右下の画面が合成したもの。NHK展示時よりも人の切り抜き精度は向上しているそう

▲広報一押しが、蛍石レンズの展示。人工蛍石結晶採用レンズの発売から50周年ということで、あまり見ることのない大きな結晶(原石?)の展示も行なわれていた