優れた音質と安定した基本性能、圧倒的なコスト・パフォーマンスの高さで、世界中のプロフェッショナルから支持を集めている英国「Wharfedale Pro」のラインアレイ・スピーカー、「WLA Series」。発売以来、ここ日本でも人気を博しており、本記事制作時点で39社が導入、500本以上の「WLA Series」が稼働しているという。そこで本誌では、「WLA Series」を導入したライブ・ハウスとPAカンパニーに取材を行うことで、このラインアレイ・スピーカーの魅力にあらためて迫ってみることにした。

Wharfedale Pro User's Interview

【Case1】Funky Flamingo(沖縄・宮古島)

昨秋、宮古島にオープンしたライブ&ダイニング・バー「Funky Flamingo」

昨秋、宮古島にオープンしたライブ&ダイニング・バー「Funky Flamingo」。昔のガレージを彷彿とさせる凝った造りの店内で、'50s〜'60sオールディーズの生演奏と、極上のアメリカン・ダイナーが楽しめる話題のスポットだ。その音響を支える機材として選定されたのが「Wharfedale Pro」で、スピーカー・システムとして「WLA-28」を8本、サブ・ウーファー「WLA-28SUB」と「WLA-218SUB」を各2本導入。パワー・アンプも同社の「DP-4100」が選定され、DSP制御のデジタル・マトリックス・プロセッサー「VERSADRIVE SC-48」も導入された。「Funky Flamingo」の音響システム設計を手がけたサウンド・エンジニアの松尾智博氏に、「Wharfedale Pro」を選定した理由と、その使用感について話を伺ってみた。

圧倒的なコスト・パフォーマンスの高さはWLA Seriesの大きな魅力

PS 最近、宮古島はリゾート地として人気が高いこともあり、「Funky Flamingo」の開店は東京の音楽マニアの間でも話題になっています。6月には、クレイジーケンバンドの公演も予定されているそうですね。

松尾 普段は東京周辺で活動しているバンドに約3ヶ月宮古島に滞在してもらい、ハコバンとしてオールディーズを演奏してもらっているのですが、このところ名前の知れたアーティストの出演も増えてきました。ここは街の中心から少し離れた場所で、他にこういうハコはありませんからね。

PS かなり広いライブ・ハウスですが、キャパシティはどれくらいですか?

松尾 通常営業時の着席で約250名、オール・スタンディングですと600〜800名くらい入るのではないかと思います。客席は大体25m四方の広さで、ステージは間口が約5間、奥行きが約3間で、高さが約1メートル。前方にはダンス・スペースもあり、プロデューサーからは“体育館のようなスペース”と聞いていたのですが、最初に見に来たときは私も驚きました。

PS 松尾さんが関わられるようになったのは?

松尾 プロデューサーから相談があったんです。最初に導入予定の機材リストを見せてもらったんですが、スピーカーは15インチの箱型のが2対向、コンソールは24ch入力のアナログ卓で、“この機材ではちょっと厳しいんじゃないか”という話をして。それで音響システムのプランニングをやらせてもらうことになったんです。それがオープン3〜4ヶ月前のことで、かなり焦りましたね(笑)。

音響システム設計を手がけたサウンド・エンジニアの松尾智博氏

PS コンソールは「ヤマハ QL5」、スピーカーは「Wharfedale Pro」のシステムが導入されていますが、選定ポイントをおしえてください。

松尾 コンソールに関しては、乗り込みのオペレーターさんでも使えるように、スタンダードなものということで「QL5」を選定しました。スピーカーに関しては、ハコの反響のことを考えると、ポイント・ソースではなくラインアレイを吊るしかないと思いました。数あるラインアレイの中から「Wharfedale Pro」のシステムを導入したのは、私の会社が沖縄本島でのイベント用に2年くらい前から使っているのと、圧倒的にコスト・パフォーマンスが高かったからです。時間的な余裕もありませんでしたし、私がよく知っている「Wharfedale Pro」のシステムがベストだろうと判断しました。

PS 「Funky Flamingo」のシステム構成は?

松尾 8インチのドライバーを2基搭載した「WLA-28」が片側4本、サブ・ウーファーは15インチのドライバーを2基搭載した「WLA-28SUB」が1本ずつ、1/4の構成で吊りました。それと18インチのドライバーを2基搭載した「WLA-218SUB」を1本ずつグランドスタックしています。私の会社で使っているのも「WLA-28」なので、直感で決めた構成なのですが、ハコの大きさに程よく合ったシステムなのではないかと思っています。パワー・アンプとシステム・プロセッサーも「Wharfedale Pro」製で、パワー・アンプは「DP-4100」を2台、システム・プロセッサーは「VERSADRIVE SC-48」を1台導入しました。他には「Titan 12Z」も10本導入し、スタンドに立ててサイドで2本、転がしで8本使っています。完全に「Wharfedale Pro」の機材で構成された音響システムですね。

PS 設置にあたっての障害は特にありませんでしたか?

松尾 溶接はあまりできない感じだったので、鉄骨にクランプで取り付けたのですが、特に問題はありませんでしたね。導入後の調整も、メイン・スピーカーの角度を少し下振りに変えたくらいです。ちなみに「Wharfedale Pro」のスピーカーって、非常に軽量なんですよ。先日の外現場でも、1人で5/4対向のシステムを組んだくらいです。リギングの構造もよく出来ているので、本当に扱いやすいスピーカーですね。

「Funky Flamingo」では「WLA-28」を片側4本、サブ・ウーファーの「WLA-28SUB」を1本ずつ、1/4の構成でフライング。加えて18インチ・ドライバーを2基搭載した「WLA-218SUB」を片側1本ずつグランドスタック。パワー・アンプは「DP-4100」が2台、システム・プロセッサーは「VERSADRIVE SC-48」が1台で、「Wharfedale Pro」製品でシステムは構成された

PS ライブ・ハウスの常設スピーカーとして使用されて、「Wharfedale Pro」のシステムはいかがですか?

松尾 「WLA-Series」は、いわゆるハイファイな音ではないというか、キラキラした音のスピーカーではないので、このハコでやっているようなオールディーズ・サウンドにはとても合っているのではないかと思います。指向性コントロールも上手くできていて、音の聴こえ方も良いですね。15インチのサブ・ウーファー「WLA-28SUB」は初めて使用したのですが、さすがは純正のサブだけあって、繋がりがよくなった印象があります。ストレスを感じない音というか。これは私の会社でも欲しいと思っています。

PS 「VERSADRIVE SC-48」はどのような使い方ですか?

松尾 ディレイ、クロスオーバー、EQで使用しています。私の会社では前のモデルを使用しているのですが、PCとLANでも接続できるようになったのがいいですね。グラフィックEQも入ったので、より扱いやすくなりました。

ステージ袖に設置された「DP-4100」と「VERSADRIVE SC-48」

PS 「Funky Flamingo」のプロデューサーやハコバンの皆さんは何かおっしゃっていますか。

松尾 プロデューサーもバンドのメンバーも、“凄く良いじゃん”と言ってますね。皆さん音に関しては非常に満足されています。「WLA-Series」は、安価ながらもしっかりラインアレイの音がしていますし、音の均一性も十分。新しいフラッグシップ・モデルの「WLA-210 Series」も早く使ってみたいと思っています。

 

Wharfedale Pro User's Interview

【Case2】セブンサウンドセンター(和歌山)

和歌山の「セブンサウンドセンター」は、「WLA Series」を大量に保有し、様々な現場で活用しているPAカンパニー。最新鋭の「WLA-210」も他に先駆けて導入、屋外のライブ・イベントなどでフル活用している。「WLA Series」の音質と性能を高く評価する「セブンサウンドセンター」取締役の原陽平氏に、その魅力について話を訊いた。

バンドものにちょうどいいブリティッシュ・サウンド

PS 「セブンサウンドセンター」さんは、「WLA Series」を50本以上保有されていると伺っていますが、導入されたきっかけは何だったのでしょうか。

 一昨年の2月、和歌山で行われた「WLA Series」のデモをお手伝いしたのがきっかけです。そのデモは、弊社で管理している「和歌山マリーナシティ」の小ホールで行われ、地元のPA会社が4社くらい集まって「WLA Series」を試聴したのですが、そのときの印象が凄く良くて。これは現場でちゃんと使ってみたいなと思い、「イースペック」さんにお願いして、地元FM局主催のライブ・イベントで使わせてもらったんです。それは屋外のイベントだったんですが、ラインアレイらしく音がしっかり前に飛んでくれて、肝心のサウンドもブリティッシュっぽいというか、がっつりした音でとても好みだった。これだったらチューニング次第でどんなジャンルにも対応できるのではないかと思い、その場ですぐに「WLA-28」を注文してしまったんです。

PS それまで、「Wharfedale Pro」というブランドには、どのようなイメージをお持ちでしたか。

 若い頃にオーディオ・ショップでアルバイトをしていたことがあって、音に関してはよく知っていたんです。凄くきれいな音がするスピーカーという印象でしたが、当時は高くて手が出ませんでしたね(笑)。

PS その後、どんどん追加導入していったのですか?

 弊社では毎年、和歌山で行われる大きなカウントダウン・イベントを手がけているんですが、手持ちの「WLA-28」だけでは足りなかったので、「イースペック」さんに“今ある在庫を全部買うから送ってくれ”と連絡して(笑)。そのときに、4chのパワー・アンプ「DP-4100」がちょうど発売になったので、それも一緒に導入しました。その後、「WLA-25」も小さな現場用に導入し、最近では「WLA-210」も導入して、今では完全に「Wharfedale Pro」が弊社のメイン・スピーカーになっていますね。

「セブンサウンドセンター」では「WLA-210」を8本、「WLA-28」を21本、「WLA-25」を16本、サブ・ウーファーは「WLA-210SUB」を4本、「WLA-218B」を2本、「WLA-28SUB」を4本、「WLA-25SUB」を4本導入。その他、パワー・アンプ「DP-4100」を4台、「DP-2200」を2台、システム・プロセッサー「SC-48」と「SC-26」を1台ずつ導入するなど、「Wharfedale Pro」を主力機材としてフル活用している

PS 「WLA Series」の魅力についておしえてください。

 音に関しては、バンドものにちょうどいいサウンドというか、音楽系のイベントを主に手がけている弊社のようなPAカンパニーにはバッチリですね。ラインアレイとしての性能も十分で、“音の到達感”をもの凄く感じる。観客が入っていない状態ですと、本当に耳に突き刺す槍のような音ですよ。モジュールの重量が軽い点も気に入っているのですが、だからと言って剛性が劣っているというわけではない。とてもしっかりした造りのスピーカーです。新しい「WLA-210」では、デザインが改良されて、セッティングもかなりやりやすくなりました。そして何と言っても「WLA Series」の大きな魅力は、そのコスト・パフォーマンスです。同じ予算であれば、他社のラインアレイと比べてきっと2.5倍くらいのシステムが組めるのではないかと思います。

「Wharfedale Pro」のセールス・マネージャー、ピーター・ペック(Peter Peck)氏が「セブンサウンドセンター」を来訪した際の記念写真。写真向かって左から、「イースペック」代表取締役社長の秋山逸嗣氏、「Wharfedale Pro」のピーター・ペック氏、「セブンサウンドセンター」取締役の原陽平氏、「イースペック」の山口由晃氏

セブンサウンドセンター業務案内URL
http://www.denkisetsubi.net/matsuri/

 

取材協力:Funky Flamingo、有限会社セブンサウンドセンター、イースペック株式会社

 

Wharfedale Pro製品に関する問い合わせ
イースペック株式会社
http://e-spec.co.jp/  Tel:06-6636-0372

 

https://e-spec.co.jp/soundcat/wharfdale-pro/