オーディオ製品の製造・輸入販売や、映画館などの音響設備開発を手掛ける株式会社イースタンサウンドファクトリーは、同社のオリジナルブランド「BWV」のスピーカーを中心とした試聴会「BWV 2026 サウンドツアー」を開催している。その第1回となる東京会場でのイベントが、千駄ヶ谷のテリトリー・ギャラリーで、10月2日(金)と3日(土)に開催された。
千駄ヶ谷のテリトリー・ギャラリー
BWV Home / Studio H-5。奥のラックにはREVOXのテープレコーダーB77 MKIII(最上段)やH-5とコンビを組む、リニアリサーチのプロセッサー兼8chパワーアンプ48M03(上から2段め)が配置されている
イベントでは、同社代表でスピーカーデザイナーの佐藤博康氏がBWV製品について解説しながら、さまざまな音源を再生。製品開発の背景や設計思想とともに、そのサウンドを紹介した。
BWVブランドは、映画館向けの「BWV CINEMA」と、家庭/録音スタジオ向けの「BWV Home / Studio」の2ラインを展開している。今回のイベントは、後者のシリーズのフラッグシップモデルを使用した「BWV H-5デモンストレーション」と、同社が日本の輸入代理業務を担当するRevox(ルボックス)の最新オープンリールデッキを使用した「REVOX B77 MKIIIテープコンサート」の2部構成で行なわれた。
H-5の想定市場価格は、リニアリサーチ製プロセッサーASC48+専用ケーブルの1ペアセットが286万円前後となる(ステレオ再生には、別途6chパワーアンプが必要)。リニアリサーチ製プロセッサー&8chパワーアンプ48M03+専用ケーブルの1ペアセットが462万円前後
「BWV H-5デモンストレーション」では、まずBWV Home / Studioの現行ラインナップを紹介。その後、イースタンサウンドファクトリーが音響面で参画した、2023年4月開業の109シネマズプレミアム新宿についても触れ、「曇りなき正確な音」を掲げた同プロジェクトの概要や音響設計の考え方が解説された。
株式会社イースタンサウンドファクトリーの代表でスピーカーデザイナーの佐藤博康氏。109シネマズプレミアム新宿や、名古屋のミッドランドスクエアシネマ、全国各地のTOHOシネマズなど数多くの劇場音響を手掛ける音の達人だ
続いて行なわれたH-5の試聴では、同モデルのトゥイーターに採用された超薄板ガラス製振動板にも注目が集まった。
H-5は当初、トゥイーターにベリリウム振動板を採用していたが、佐藤氏によれば、近年はベリリウムの調達において納期が不明瞭になるなど、安定供給の面で課題が生じているという。そのため、一時期は窒化チタンを用いた仕様も検討されたものの、ベリリウムとは音色面で異なる部分があったという。そうしたなか、2026年初頭にユニットサプライヤーから超薄板ガラス振動板への変更を提案され、実際に試聴・検証を行なった結果、ベリリウムに近い音色と性能を得られると判断。現在のH-5では、この超薄板ガラス振動板を採用するに至ったという。
試聴では、オーディオラボやルボックスのエレクトロニクスを組み合わせ、アナログレコードやデジタルファイルなど、様々な音源を再生。H-5の性能を引き出すために選ばれた音源について、佐藤氏が録音や音楽的なポイントを交えながら解説した。
H-5とはオーディオラボとルボックスのエレクトロニクスが組み合わされた。写真右のラックは、下から、DC Block6(電源フィルター)、9000Q(コントロールアンプ)、9000CDT(CDトランスポート、以上オーディオラボ)、T77(アナログプレーヤー、ルボックス)となる
H-5のコンプレッションドライバーの振動板には、1.4インチ口径の超薄板ガラスが用いられている
もうひとつのプログラム「REVOX B77 MKIIIテープコンサート」では、長年にわたり放送・録音の現場で使用されてきたルボックスのオープンリールデッキ、その最新モデルとなるB77 MKIIIを使用。同社から発売されているオープンリール・テープを再生し、アナログテープならではのサウンドを紹介した。
ルボックスでは現在、「REVOX アナログマスターテープコレクション」として、38cm/sec、2トラック、1/4インチ幅の録音済みオープンリール・テープ6作品をリリースしている。東京会場では、その中から『J.S.バッハ:イタリアン協奏曲/グレン・グールド』と『Images On Guitar/Baden Powell』を再生。マスターテープに近い仕様で収録された音源を、B77 MKIIIとBWV Home / Studioの最高峰スピーカーによって試聴するプログラムとなった。
BWVのスピーカー開発に対する考え方と、最新のH-5のサウンド、さらにルボックスのオープンリール・テープ再生を一度に体験できる「BWV 2026 サウンドツアー」。東京会場を皮切りに、大阪、名古屋、石川、宮城でも開催が予定されている。
REVOX B77 MKIII
BWV 2026 サウンドツアー 予約方法について
イベントへの参加は各プログラムごとの事前予約制で、先着順となる。定員は各プログラム20名。予約は以下のお問い合わせリンクフォーム、または電話で受け付けている。