グランプリを獲得したクワトロリゴのスピーカーRhapsody 2way set(ラプソディ2ウェイセット)、その魅力とは。ここでは鈴木裕氏と藤原陽祐氏によるレビューを紹介する。

とにかく正確で音をきっちりと描いてくれる
その音の透明感はこのスピーカーの最大の良さ

文=鈴木 裕

 メーカー発表の実際の能率89dB以上に鳴らしやすい音の出方をするドライバー・ユニットだ。「アンプラグド」では、ライブ会場にいるオーディエンスの雰囲気が良く出てくるし、クラプトンのボーカルの低い帯域、中音域、高域のそれぞれが合わさった複雑なニュアンスも素晴しい。低音感がしっかりあるが、その密度が濃いのも美点に感じた。女性コーラスの妖艶な感じも聞かせてくれる。ユーミンのアルバム「サーフ&スノウ」から「シーズンオフの心には」を聴くと、冒頭のコーラスのクリーミーな感じが気持ちいいし、そのあとのエレクトリックギターの音色感も暖かい。クラシックのオーケストラで、ワンポイント・ステレオ・マイクによる「ブラームス交響曲第1番」から第2楽章を再生したが、弦楽器のアンサンブルが美しくて聞き惚れてしまった。シリアスな歌ということでダイアナ・クラールのアルバム「ディス・ドリーム・オブ・ユー」から「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン」を聴くと、恩師であり亡くなったプロデューサー、トミー・リピューマへの深い思いが重く伝わってくる。良く歌うスピーカーである。高級なドライバー・ユニットのように精緻で正確極まりないといったような音ではないが、それぞれの音楽のジャンルのうまみを上手に楽しませてくれる、しかもこの値段で装着しやすい2ウェイ。クルマで音楽を聴く楽しさの原点を思い出させてくれる製品とお伝えしたい。

ジャンルに関わらず、落ち着きのある音調で、帯域バランスにも良好
低域は程よい柔軟性を持ち、音の芯、骨格を丁寧に描き上げていく

文=藤原陽祐

 25mm径シルクドームトゥイーターと、165mm径ペーパーコーンウーファーによるシンプルな2ウェイシステム。このクラスになると、軽量化、高剛性、適度な内部損失を追及した新素材のダイアフラムや、小型、軽量でありながら高磁力を備えたネオジウムマグネットを採用するケースが少なくないが、クワトロリゴではそうしたパーツの素材よりも、あくまでも最終的なパフォーマンスを重要視している。音質最優先でユニット設計を進めた結果、このモデルでは色づけのない滑らかな響きが得られる枯れた技術、つまりペーパーコーン振動板、フェライト磁気回路が好ましいという結論に行き着いたようだ。なお本製品にはクロスオーバー回路は用意されていないため、今回の試聴ではDSPにより、4kHzでクロスさせている。

 さて実際のサウンドだが、ジャズ、ヴォーカル、クラシックと、ジャンルに関わらず、落ち着きのある音調で、帯域バランスにも良好。低域は程よい柔軟性を持ち、音の芯、骨格を丁寧に描き上げていく感じで、リズム感の良さが印象的だ。私がオーディオ機器の試聴に重用しているジェニファー・ウォーンズの「First We Take Manhattan」の再生では、音の骨格をしっかりと感じさせ、透明感溢れる清々しい空間がフワッと目の前に拡がる。スネアドラムは鮮やかに張り出し、バスドラ、ベースは確実にピッチを刻んでいく。そしてその歌声は口元の動きを感じさせるほど、ニュアンスが豊かだ。反田恭平のピアノは響きの粒子感が鮮明に浮き上がり、質感が細やかだ。どちらかと言えば、明るめの音調だが、特定の色合いはなく、響きの拡がり、消え際もクセっぽさがない。聴き手を強引に揺さぶるような力強さと、そっと包み込むような穏やかさを兼ね備えた大人っぽいサウンド。懐の深さを感じさせる貴重なスピーカーシステムと断言できる。

クワトロリゴ QUARTORIGO
Speaker
Rhapsody 2way set
¥99,000(セット/税込)

SPECIFICATION
●型式:セパレート型2ウェイスピーカー
●使用ユニット:ウーファー・160mmコーン型(HEX-165)、トゥイーター・25mmドーム型(HEX-28)
●定格入力:90W(HEX-165)、70W(HEX-28)
●最大入力:140W(HEX-165)、120W(HEX-28)
●出力音圧レベル;87dB(HEX-165)、87dB(HEX-28)
●再生周波数帯域:49Hz~3kHz(HEX-165)、1~22kHz(HEX-28)
●インピーダンス:4Ω
●推奨クロスオーバー周波数:LPF2.5〜3kHz(-12/oct.以上)、HPF2.5〜3kHz以上(-12/oct.以上)